1995年 アメリカ映画 97分 コメディ 採点★★★★
自己啓発セミナー帰りの人みたいな若干気持ち悪い物言いではありますけど、なんだかんだ言って“素直な人”にこそ幸せって訪れると思うんですよねぇ。してもらったことを素直に喜ばず、してもらわなかったことを僻んだり、他者の劣ってる点を探し出すことで優越感を感じたりするように、妬み・嫉みが基本成分の方には幸せが来ないと。まぁ、来てたとしても気付きませんし。やっぱり、アホでも素直が一番だよなぁ。
【ストーリー】
ビバリーヒルズの裕福な家庭で暮らすシェールは、ファッション、エステ、デート、パーティが全てな女子高生。ある日「人気者はなにか良いことしなきゃ!」と思い立ち、イケてない転校生のタイを人気者に仕立て上げようと奮闘し始める。しかし、人気者の座をタイに奪われた揚句、タイに義兄ジョシュとの仲を取り持つよう頼まれた時に初めてシェールは自分の愚かさと本当の気持ちに気付き・・・。
『初体験/リッジモント・ハイ』のエイミー・ヘッカリングによる、ジェーン・オースティンの“エマ”を骨組みにした学園コメディ。後にTVシリーズ化も。
何不自由なく暮らす甘ったれなお嬢様が、なんだかんだある内に自分本位でしかない善行の愚かさや、今まで見失っていた大切な人の存在に気付く様を、軽妙なテンポと魅力溢れる登場人物たちで描いた本作。古典的な骨組みと現代的学園ドラマとの融合も巧い。また、ヘッカリングらしい学園生活描写の詳細さや、キャラクターに対し深い愛情が注がれている様も楽しめる一本。女子高生の傍若無人な元気っぷりとその勢いに任せているようでいて、主人公の関わった人たちがその行動により主人公も含め最善の幸せを手にしていくように、良く練られた脚本がベースにあってこその勢いだったりするのも見事。確かに言葉やファッションなどの文化面では時代の経過を感じざるを得ないが、笑いの質やスピード感、物語の本質などは一切古びていない、現在の学園コメディのひな型的作品として忘れてはいけない一本で。ボウイ絡みの曲が2曲使われているのも好ポイントのひとつだってのは、もう言わずもがな。
そしてなんと言っても、主人公シェールの魅力が本作の輝きのほぼほぼ全て。10代や20代の気持ちに余裕がない頃に観ていれば、その自分本位さや考えの浅さに苛立ちを感じてたかも知れませんが、いい加減オッサンの歳になるともうただただ可愛い。その行動には基本的に悪意はなく、ただ素直なアホちゃんだから大切なことに気付かないだけ。で、素直なアホちゃんだからこそ、改善行動が早い。浅はかな行動の数々にハラハラするも、「でも(アホだけど)素直な娘だから大丈夫だろう」と親目線で見守ってしまう可愛らしさが絶品だったなぁと。学園ドラマを親目線で観るのもどうかとは我ながら思いますが。
主人公のシェールに扮したのは、『アレックス・ライダー』のアリシア・シルヴァーストーン。大きな垂れ目と若干だらしなく開いた口元が、ものの見事なアホちゃん風味を醸し出す抜群のキャスティング。ちょいと悪い子って役柄が続いていたが、本作では悪気もなければ考えも特にないスコーンと突き抜けた明るいキャラを好演。よく動く目と口が非常に魅力的だっただけに、バットガールなんぞに手を出さずもうちょっとこの路線を続けて欲しかったなぁと。
また、痩せて化粧を変えるだけで女性はガラリと変わるんだなぁと実感させられた、『サウンド・オブ・サイレンス』のブリタニー・マーフィのジャガイモっぽさも衝撃で。この世にもう居ないなんて、やっぱり未だにシックリこない。
そんな女性陣に押され気味ではありましたが、男性陣もなかなかの顔触れが揃ってた本作。中でも本作が劇映画デビューとなる『アントマン』のポール・ラッドと、『ロード・トリップ』のブレッキン・メイヤーは絶品。特に『初体験/リッジモント・ハイ』のスピコリ的ポジションのブレッキン・メイヤーの可愛らしさたるや。やっぱり男子はアホが一番。
その他、既にニセトラボルタ風味が出ていた『呪い村 436』のジェレミー・シストや、『コマンドー』のダン・ヘダヤらも印象的だった一本で。
自分で気づいて自分で直せるのも素直だからこそ
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