2016年01月26日

Mr.タスク (Tusk)

監督 ケヴィン・スミス 主演 ジャスティン・ロング
2014年 アメリカ映画 102分 ホラー 採点★★★

なんかユーチューバーとやらが人気でございますねぇ。うちの子供らも、TVを観る時間よりもゲーム実況とか観てる時間の方が圧倒的に多いですし。ただまぁ、全員が全員とまでは言いませんが、一方通行ならではの自分だけが楽しそうな喋り方とか、コミュニケーション能力に疑問を感じざるを得ない笑い方とか、モノマネのモノマネでしかないキャラ作りなど、どうにも好きになれないんですよねぇ。まぁ、ネットで自己主張をしているって意味では、私も同じ穴のむじななんですけどね。

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【ストーリー】
ポッドキャストを運営するウォレスは取材のためカナダを訪れるが、その取材は空振りに終わってしまう。しかし、地元のバーにあったメモに興味をそそられ元船乗りという老人のもとへ向かい取材を行う。だが、その最中に猛烈な眠気に襲われたウォレスは昏倒、目を覚ますと車いすに縛られており、しかも片足が切断されてしまっていた。そこへ現れた老人の口から、恐ろしい計画が語られ…。

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自身が行っているポッドキャストで喋ったネタを映画化した、『コップ・アウト 刑事(デカ)した奴ら』のケヴィン・スミスによるホラーコメディ。
本作に収録されていたインタビューで「メジャー作はなにかと面倒!」「いい加減プライベートにネタがない」「映画作りに興味が薄れてきた」など語っているように、ここしばらく元気もらしさもない作品が続いていたケヴィン・スミス。前作『レッド・ステイト』に続いてホラージャンルに挑んだ本作も、その“らしくない”作品のように見えるが、“ポッドキャストで盛り上がったネタ”という一種のプライベートネタを、セイウチ人間という“誰も作らないけど自分が観たい作品”を撮るインディーズ魂とジャンル映画愛を込めて製作する、非常に彼らしい一本に仕上がっていて嬉しかった一本。怖い/怖くない、面白い/面白くないをさて置いて、まず嬉しい

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“旅先でエライ目に遭う”という定番ネタであるが、そのエライ目ってのが“セイウチ人間にされる”というふっ飛んだ設定だった本作。ケヴィン・スミス版『ムカデ人間』と言えばそれまでだが、些細なものから品の無いものまでバラエティに富んだ笑いを提供しつつ、しっかりとジャンル映画の系譜を守った恐怖演出を展開し、クライマックスにはそれらがものの見事に混在した、笑っていいのか怖がっていいのか観てるこっちが困惑する、ここ数年振り返っても味わったことのない衝撃&唖然&困惑するシーンを披露。あれは確かにセイウチだ。“セイウチ人間”としか表現できない衝撃的な生物を、スクリーンの中央にドドーンと据えて、それを若干突放し気味の距離感で撮るなんて、ありとあらゆる人の期待を裏切ってでも自分の観たいものを撮るケヴィン・スミスならではのセンス。もう悶絶。人間の皮膚で作ったセイウチスーツを縫いつけられたセイウチ人間と半裸の老人が肉弾戦を繰り広げる映画なんて、これまでありましたか?そんな唯一無二の作品を作ったってだけでも評価に値するのでは。陰惨なはずなのに不思議と生理的嫌悪感が少ないってのも味でしたし。
成り上がって調子づいたオタクを主人公に据え、オタク仲間の友人とゴージャス過ぎる彼女、ネジが吹き飛び過ぎて原形をとどめていない狂ったキャラにコンビニ店員と、ならではの人物設定も楽しかった一本で。

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“Wallace”と“Walrus(セイウチ)”という、ダジャレレベルの名前が付いた主人公に扮したのは、『ギャラクシー・クエスト』『アフターライフ』のジャスティン・ロング。オタク系青年を演じさせたら右に出るものがいなかった存在ながらも、若手の台頭で脇に追いやられ最近元気がなかった印象もあったんですけど、本作ではそこに“成り上がり”要素を加えて元気いっぱい。まぁ、今後「あぁ!あのセイウチの!」と認識されやしないかと心配にもなりましたが。
また、セイウチ愛に溢れ過ぎちゃってた老人に『アルゴ』のマイケル・パークス、これはこれで良い感じの成長だなぁと個人的には思ってる『シックス・センス』のハーレイ・ジョエル・オスメント、「彼女がこんなんだったらいいよねぇ」って夢と希望と妄想が込められた『ラン・オールナイト』のジェネシス・ロドリゲスに、ケヴィン・スミスの嫁と娘という、らしいキャスティングも楽しめた一本。
そういえば、ジョニー・デップが役名のままでキャスティングされてましたが、まぁ相変わらずだなぁって感じで。

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行きすぎたペット愛みたいなもの

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posted by たお at 12:34 | Comment(4) | TrackBack(8) | 前にも観たアレ■ま行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは
見どころはなんといっても
セイウチ人間と、セイウチになりきった爺さんとの死闘でしょうね〜
あのシュールな図柄はいかんともしがたく…(笑)
ラストも「人間性とは」と深いメッセージ性を感じられそうで結構どうでもいい感じがよかったです
Posted by maki at 2016年01月27日 20:29
maki様、こんにちは〜♪
展開も演出も王道的“人獣映画”なのに、肝心のモンスターがアレだっていう、ある種ハイレベルなパロディなんですよねぇ。シュール過ぎて扱いに困りますがw
Posted by たお at 2016年01月29日 09:43
>本作に収録されていたインタビューで
レンタルDVD/BDに入っているのでしょうか?
どんなことを話していたのか気になるので、特典映像が見たいです。

>陰惨なはずなのに不思議と生理的嫌悪感が少ないってのも味でしたし。
かなりエグイのに、なんで生理的嫌悪感が少ないんでしょうね。
ジャスティン・ロングの面影はほぼゼロなのに、ちゃんとセイウチの中に彼が見え隠れしてしまうところも興味深かったです。
Posted by 哀生龍 at 2016年02月14日 22:52
哀生龍さま、こんばんは〜♪
レンタルのブルーレイに収録されてましたよー!
劇場で観る醍醐味も捨て難いですが、本編鑑賞後にすぐ裏話も聞ける自宅鑑賞も捨て難いんですよねぇ。

>なんで生理的嫌悪感が少ないんでしょうね
随所に「ウェッ!」ってなるシーンがあるんですけど、如何せん完成したのがあのセイウチスーツですからねぇ。少なくもなるわけでw
Posted by たお at 2016年02月16日 01:05
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