2014年 ドイツ映画 106分 サスペンス 採点★★★★
「ホギャー!」と産まれた子供が高校に行き始めるくらいのパソコン歴を持ってるんですけど、未だにパソコンのことはチンプンカンプンな私。何が起こるか分からないから触れたことのないキーが結構ありますし。なもんで、ハッカーなんて輩は私の想像を超えるジャンルの連中なんですよねぇ。映画なんかで見るとキーボードを猛スピードで連打しちゃってますけど、もう何をやってるのやらさっぱり。まぁ、そういう演出の方が“何か凄いことやってる”って感が出るからなんでしょうけど。終業時間10分前くらいになると、なんとなく机の引き出しを開けたり閉めたりし始めるみたいな感じで。
【ストーリー】
殺人事件への関与を疑われ国際指名手配されていたハッカーのベンヤミンは、ユーロポールへ自ら出頭してくる。彼はユーロポールがその存在を追い続ける大物ハッカー“MRX”逮捕への協力と引き換えに、事件の経緯の供述を始めるのだが、そこにはあるトリックが隠されており…。
「ネタバレしたら怒っかんな!」って人はもうここまで。だってバレちゃうもの。
「ウソぴょーん!」で終わる『ユージュアル・サスペクツ』にしろ個人的には好きな作品ではないんですが案外ファンも多い『アイデンティティー』にしろ、考えてみればどんでん返しとしては反則技に近いんですよねぇ。それがアリならなんでもアリじゃんみたいな。ただ、そこに至るまでのドラマ作りの上手さだったり、嘘の整合性の見事さなどが伴ってるんで、今現在まで語り継がれる傑作になり得たんだろうなぁと。
本作もそんなジャンルの一本で、「ボクはこれから嘘をつきます!」と宣言してるのと同様のセリフが繰り返されるおかげでラストのインパクトこそ薄くなってるが、嘘をつく必然性や理由が説得力あるものとして作られているので好印象だった作品。“ハッカー版ユージュアル・サスペクツ”をベースに、『アイデンティティー』と劇中ポスターが貼ってあった『ファイト・クラブ』をミスリードに使用する、好きなものとやりたいことが容易に想像できる新鋭らしい素直さと、下手に背伸びしないでそこに真っすぐ進む真面目さも好みで。
トリックのみならず物語そのものも楽しめた本作。
修学旅行先で取り残され一人列車で帰って来たという逸話を持つほど存在感の無い主人公。そんな透明人間な彼が叶うことのない仄かな恋心を発端に犯罪に手を染め、これまで出会うことのなかった刺激的な犯罪グループと知り合う。その人生の変化や成長、混乱や刺激などがしっかりとベースとして機能していたのも大きい。また、小悪党の魅力をちゃんと伝えきってたのも見事だったなぁと。
憧れの女性とやたら偶然に出会い過ぎる展開や、その女性がどう見ても同世代に見えないって難点も少なくはなかったんですけど、サイバー空間の演出方法の目新しさや音楽の使い方、嘘の見事さにしてやられた捜査官の爽やかさすら漂うラストの表情など素晴らしい描写も多いので、そんな難もあっさりクリア。
早速ハリウッドに招かれ現在アクションスリラー『Sleepless Night』を製作中のバラン・ボー・オダーですが、ちょいと今後目が離せない映画人の一人かも。
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