2014年 ドイツ/カナダ/イギリス/南アフリカ映画 120分 ドラマ 採点★★★★
他人の悪いところばかりに目が行く人っていますよねぇ。で、会話の切り出しは得てして誰かの悪口。どういう心理状態がそうさせるのかはちょいと分りかねますけど、そういう人って自分より劣ってる部分を見つけだすことで優越感とか幸福感を味わってるんでしょうかねぇ。比較することによって得れる幸せって、なんかあっという間に手からこぼれ落ちそうな気が。

【ストーリー】
ロンドンに暮らす精神科医のヘクターは、美しい恋人クララと共に何不自由ない生活を送っていた。しかし、患者たちの不満を聞き続けている内に自分までもが幸せなのかどうか分からなくなってしまう。意を決して本当の幸せを調べるため、イギリスを飛び出し旅に出たのだが…。

精神科医フランソワ・ルロールによるベストセラー“幸福はどこにある 精神科医へクトールの旅”を、『マイ・フレンド・メモリー』のピーター・チェルソムが映画化したコメディドラマ。
様々な幸せの形を巡った末にたどり着く“本当の幸せ”が、思いのほか説教臭くも宗教臭くもない、目に見える形も含め非常に分かりやすく腑に落ちる形で示してくれた本作。“笑い6:真面目4”のドラマバランスも安定感抜群。そんな作品の出来自体も悪くないんですけど、やはり本作の良さは『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』のサイモン・ペッグがほぼほぼ全て。
その素直さ故に日常に不満を感じることもなく、ある種流されるままホワンと生きているヘクター。なんかラッコ。攻撃的になることも他者を見下すこともないその性格が様々な人たちのと出会いを生み、その人たちの言動を素直に正面から受け入れる。一方でアホちゃん的な頑固さを持ち合せ、一度自分で決めたことはどんな状況に陥っていてもやり遂げないと気が済まない。また、表立って頑丈を高ぶらせることもないが、それは心の中に子供時代の自分をシェルターとして持ってるからだったりも。
ホワホワンとした人当たりとアホちゃん要素、困り顔の入り混じった笑顔と残る子供っぽさ。そんなヘクターを、サイモン・ペッグが“TOP3可愛いペッグ”に入る持ち前の可愛らしさで抜群の好演。悪くないが記憶に残りにくい一本を、印象深い可愛い映画に仕上げてくれていたなぁと。

そんなほぼサイモン・ペッグで出来ていた作品ではありますが、共演陣の充実っぷりと妙演も忘れ難し。
中でもヘクターの恋人クララに扮した、ペッグとは『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』でも共演しているロザムンド・パイクが素晴らしい。恋も仕事も好調なクララ。母親的な懐の深さと物事を順序立てて進めれるだけの心の余裕を持ち合せているようでいて、実のところ常に追い詰められて心がパンク寸前の状態にいるって様を、冷たさと怖さを感じさせる貼りついた笑顔で好演。“不安”ってのを表現するのが非常に上手い女優だなぁと。
また、男女間での時の流れ方の違いってのを明確過ぎるほど分かりやすく表現してくれた『フライトナイト/恐怖の夜』のトニ・コレットや、基本的にはゲスな人種なのだが、ヘクターと接する中で抑え込んでいた人の良さが漏れ出てしまう様を巧みに見せてくれた『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のステラン・スカルスガルドや、『バレッツ』のジャン・レノ、老いたヒッピーというかグルのような雰囲気すらあった『ドラゴン・タトゥーの女』のクリストファー・プラマーらも印象的だった一本で。

この状況全部が幸せの塊
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