2014年 アメリカ映画 89分 コメディ 採点★★
気持ちに変化が現れた女性って、男からするとまるで別人になったかのように見えることが。付き合う直前や付き合ってる最中の自分が好きだった女性とは思えぬ、なんか知らない人って感じ。たぶんそれって女性が持つ特有の技みたいなもんなんでしょうけど、その技に対し男はただただうろたえることしか出来ないんですよねぇ。
【ストーリー】
別れを考えていた矢先に、恋人ベスを不慮の事故で失ってしまったザック。深い悲しみに暮れるも、数日後ベスが墓から蘇って来る。これを機にベスとやり直そうとするザックだったが、どんどんゾンビ化が進むベスにザックはついていけず…。
『ハッカビーズ』の脚本を手掛けたジェフ・ベイナが監督・脚本を務めた、ゾンビ・ラブコメディ。
“彼女がゾンビで大変”ってのを、独特のテンポとユーモアで描いた本作。「死んだ彼女が戻ってきた!嬉しい!でも臭い!」と、異様な状況に翻弄される男の様がなんとも悲しく可笑しい一本。
ただ、男には理解できない女性の心の変化をモンスター化したわけでも、特殊な状況下で恋愛の本質を描いたわけでもなく、ただ“彼女がゾンビ”って特異なネタに乗っかりっきりで、それをモノにして消化しきれてるとは言い切れない浅さが気になる所でも。ある程度の記憶を保ってるので普通に会話できたり、かつての家に帰って来て現住人とひと悶着起こしたり、地面に埋められてたのが相当嫌だったのか、可能な限り高い場所をねぐらにしたがるなど良いアイディアが垣間見られるゾンビ描写なのに、それを膨らませず掃討して終わらせちゃう荒っぽさも然り。他のゾンビにそういう描写がなくベスだけが人を襲うのも、“ザックがゾンビ呼ばわりする→ゾンビって人食べるよね→じゃ、私も”と読み取ることも可能なだけに、その辺の雑な扱いが残念。
また、過剰に感傷に浸る彼氏とワガママ彼女、別れたい彼氏に別れたくない彼女であるベスとザックを、若干感情移入しづらい突放し気味の視線で描いてるようでいて、急に愛の深さを物語るかのようなシーンをクライマックスに持ち込み、でもラストは都合のいい新規の彼女をザックにあてがうという、視点とペース配分のチグハグさもアレだった一本で。
自分がゾンビであるってことの切なさをもうちょっと描いて欲しかったベスに扮したのは、『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』のオーブリー・プラザ。ゾンビ化したことで本質が現れたのか、彼氏が作った愛の歌をキレ気味に酷評する素直さが素敵。
また、一家の中で一番取扱いが面倒くさそうなザックには、『デビルズ・ノット』のデイン・デハーンが。このザックの行動や見た目がどうにも生理的に受け付けなかったのが、本作に心が入り込まなかった一番の要因だったのかと。なんかもう、ただただイヤ。
ただ、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のジョン・C・ライリーや、『エバン・オールマイティ』のモリー・シャノン、『セッション』のポール・ライザーといった好みの面々が、そんな不満を少しばかり解消してくれるのが救いだったかと。
そう言えば、妙に都合のいい新規彼女役として『ピッチ・パーフェクト』のアナ・ケンドリックが。扱い的にはスペシャルゲストなんですけど、あんな中身のない役柄を何故受けたのかは少々ナゾで。
“彼女がゾンビ”ってのも嫌だけど、“彼女が臭い”ってのも嫌だ
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
ベスの可愛くなさっぷりがコメディエンヌとして昇華してるのがよかった。
あとは、普通のいい匂いのする肌がきれいな女の子のアナケンが、登場は少ないのにいいポジションだなあと。
人間の時ですら多少面倒くさそうなベスのはっちゃけ具合は良かったですねぇ。アナケンはまぁ、なにかと得するポジションで。