2015年10月31日

凶悪

監督 白石和彌 主演 山田孝之
2013年 日本映画 128分 サスペンス 採点★★★

犯罪に巻き込まれない為には犯罪者のテリトリーに身を置かない”ってのをモットーにしているので、これといった犯罪に巻き込まれたこともなければ、それっぽい知り合いもいない私。なもんで、ニュースや映画などで知る犯罪の内容を、ただただ「怖いねぇ、怖いねぇ」とお茶でもすすりながら言ってるのみ。でも、考えてみれば目や耳にするものって明らかになったものだけなので、知られないまま埋もれてる犯罪や、何食わぬ顔した犯罪者がその辺に居る可能性が高いんですよねぇ。そっちの方がもっと怖い。それでもまぁ、「怖いねぇ、怖いねぇ」と他人事のように言ってるだけなんですけど。

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【ストーリー】
スクープ雑誌“明潮24”の記者である藤井に届いた死刑囚の須藤からの手紙。そこには、判決を受けた事件の他に、彼が関わった知られざる3件の殺人事件について書かれていた。半信半疑であったが、取材を進めるうちにその告白が真実であると確信する藤井。やがて、事件の背後に“先生”と呼ばれる男の存在が明らかになり始め…。

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“新潮45”のスクープ記事によって明らかになった上申書殺人事件を基に、その凄惨な内容と記者の執念の姿を描いた実録犯罪サスペンス。死刑囚の告白やそれを基にした実録ものというと『冷血』や『カポーティ』を思い起こさせるが、どちらかと言えば怖いもの見たさの下世話な好奇心を満たしてくれる“劇場版ウィークエンダー”のような趣があった一本。
怒りや恨みではなく、欲や利益を満たすためである故に殺人に対する躊躇や罪悪感のない“先生”や、殺人が日常における特殊なイベントと化してる須藤の姿を中心に、借金清算の為に家族の殺害依頼をしたり、断り切れずに遺体処理を手伝う一般人、土地持ち老人を斡旋するブローカー、立件の難しい犯罪には手を出したがらない警察など、ありとあらゆる“悪”が描かれる本作。もう、隅々“悪”だらけ。善側に思える記者も、痴呆の母親を妻に押しつけている現実からの逃避と、「オレがやらなければ!」「正義の為に!」と正義を言い訳に取材を重ねているに過ぎない。明らかに感覚のズレた本物の怪物と、そのズレは僅かだがやってることは悪事に変わりがない所謂一般人との織り交ぜ方も上手い。
淡々と殺人を繰り返す犯罪者の思考や行動、またそれが日常と化してる様に戦慄を覚える“怖い映画”としては十分であるし、その“なぜ”が分からない怖さこそが本作の肝なんでしょうけど、「怖いねぇ」で終わってしまうそこに少々の物足りなさを感じたのも事実。人相の悪さを最大限に活かしたピエール瀧や、内から滲み出てくるような変態性が絶品だったリリー・フランキーが素晴らしかっただけに、彼らのそもそもの接点や形成過程をもう少し知りたかったなぁとも。

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欲に素直

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posted by たお at 12:16 | Comment(4) | TrackBack(24) | 前にも観たアレ■か行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
猟奇殺人よりもおぞましくも、実話からのフィクションと言う白々しい一面も感じた本作なんですが、
確かに「怖いよねえ」というのが他人事なんですよね
当たり前だけど観ている本人に迫る怖さには直結にはならない。
しかし、こんな事件が目の前で起こっていたら、私たちはどうしたらいいのか。
目をそらしてしまう、一緒にぶっこむ、法に訴えると色々手はありますが、出来る事って限られてきちゃいますよね
そもそも、関わりたくないというのが一般的で。
Posted by maki at 2015年11月02日 18:16
実話の方がはるかに怖いというのは、極めて珍しいですね。
リリー・フランキーの心の中に潜む「悪」の部分が、彼の温和な表情や声と重なると、とても恐ろしく感じられました。
やっぱり関わり合いになりたくないというのが本音ですね。
Posted by ミス・マープル at 2015年11月03日 15:21
maki様、こんばんは〜♪
実録ものの怖さとあっけなさを表現できてた一本だとは思うんですけど、ちょっと突き抜け過ぎてて「怖い怖い」で終わっちゃった印象があるんですよねぇ。
犯罪者には犯罪者のテリトリーがあると思ってるので、やっぱり近付かないのが一番なのかなぁとも。
Posted by たお at 2015年11月05日 19:27
ミス・マープル様、こんばんは〜♪
人を殺すのにそんなにドラマチックな理由を必要としていないからこその怖さなんでしょうねぇ。
その怖さを顔一発で表現したピエール瀧も見事ながらも、内側からの怖さを出したリリー・フランキーには一歩及ばずだったかなあと。
Posted by たお at 2015年11月05日 19:29
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