2014年 日本映画 132分 ドキュメンタリー 採点★★★★
テレクラや風俗ってのを、これまで一度も使ったことのない私。別に真面目ぶってるわけでもなければ、そこで働く人や利用する人を見下してるわけでも、性欲に乏しいわけでもなし。むしろ過多。ただ単に、セックスのどこに喜びを感じてるかの違いだけなのかと。もちろん行為そのものも好きなんですけど、そこに至るまでの手間暇とか経緯が大好き。ついこの間までただの知人の一人にしか過ぎなかった人が今目の前で全裸になってる、そんな日常の大きな変化が好き。たぶん、「やりてー!風俗行くか!」って人よりもエロいんだろうなぁ、私。
【ストーリー】
東京から札幌までを各々車やバイクで移動し、各都市で制限時間内にテレクラやナンパを駆使して見つけた女性をビデオ撮影に持ち込めるかを競うレース。前回、最終決戦地の札幌まで首位を独走しながら逆転敗退してしまったバクシーシ山下は、雪辱を果たすべく今回も首位をキープしたまま札幌入りを果たすのだが…。
ヌキどころがないとはいえ基本的にはアダルトビデオなので、エロ・グロ・スカトロに全く耐性のない方や、女性問題に関し日々戦ってらっしゃる方々には全くお勧めできないことをあらかじめ。うちは女房と二人でゲラゲラ観てましたが、それは特殊ってことで。
なにやら人気シリーズらしいAVの2013年度版を、劇場用に再編集したゲームバラエティ系ドキュメンタリーである本作。まず、そのゲーム性と面白さが共存して成立しているのが、観ていてなんとも楽しい。年齢、プレイ内容、顔だしの有無、「あ〜ん、今までで一番〜!」と言ってもらえるかどうかなど、アダルトならではのルールでポイントを競いあうのだが、それらのルールが現場で変化していき、自ら変化させたルールで自分たちが苦しめられていく様の可笑しいこと可愛いこと。最終的にウ○コが勝敗の行方を握ってしまうのだが、たとえAVであっても勘弁願いたいシーンのはずが、レースに勝ちたい一心の男たちの姿をそこに至るまで散々観てきているので、不快感より先に「偉いよ、君たちは!」と感心してしまうことも。
普段見ることのない、若しくは居ないことになっている人々の生態を文字通り丸裸で観察できる、“人間博物館”としても興味深かった本作。ある種の珍獣のような女性たちとのセックスを成立させるために、その道のプロであるはずのAV監督たちがあの手この手で難関を乗り越え奮闘する様は、もう笑えるを通り越して手に汗握る瞬間すら。日常では観ることの出来ないものをたっぷり見せてくれるって意味では立派な映画だし、何気に爽やかに締めくくるのも好みだった一本で。マイノリティのグループ独特の密度の高さや一種の温かさってのを感じられた作品でも。
ホラー映画の嫌いな人は、あんな作品を作る人は普通じゃないって認識を持ってたりするんですけど、ゴアシーンのメイキングなんかを見ていると、結構スタッフの皆さんが悲鳴を上げながら働いてたりするんですよねぇ。自分の妄想や欲求を形にしてるのではなく、ただただ凄いものを作って観客をビックリさせたいって意識というのか。私自身も少々勘違いしてたんですが、本作に登場するAV監督たちもそういう人種なんだなぁと、ウ○コに悲鳴を上げる彼らを観ながらふと。なんとなくジョン・ウォーターズとディヴァインの関係性を思い起こさせた一本でもあったなぁと。
いや、あなたはホント凄いよ。勇者だよ。
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