2013年 アメリカ/アラブ首長国連邦映画 112分 アクション 採点★★★
“親ってのは何があっても子供の味方であるべき”って意見には、全く異論のない私。もう当たり前。ただ、その“味方”の捉え方を大いに誤解されてる親御さんってのも少なくないなぁと思ったりも。うちの子供らの同級生の親御さんなんかでも、明らかに子供が悪くて先生や他の大人に怒られたのに、そのことについて子供と話すのではなく、「そこまで言わなくてもいいのにねぇ」みたいに子供の不満に同調してしまう親御さんが見受けられますし。悪いことをしたら正しい償い方を教えるってのが、将来のことを考えても“子供の味方をする”ってことになると思うんですけどねぇ。

【ストーリー】
運送会社社長のジョンは、別れた妻に引き取られた18歳の息子ジェイソンが、麻薬密売人を密告すれば罪が軽くなる制度を悪用されて逮捕されたと知らされる。ジェイソンも密告すれば罪が軽くなるのだが、他の売人は知らない上に友人を罠にはめることもしたくない。このままでは最低でも10年の禁固刑になってしまう息子を救うため、ジョンは運び屋を装い麻薬組織へと自ら潜入するのだが…。

『ブロブ/宇宙からの不明物体』や『ゼイリブ』にも参加していたベテランスタントマンであるリック・ローマン・ウォーが監督と脚本を務めた、実話を基にするアクション風味のサスペンスドラマ。主演のドウェイン・ジョンソンも、製作者の一人として名を連ねている。
芋づる式に犯罪者を捕まえることが出来るメリットがある半面、減刑目的に一般人を罠にはめるケースも少なくないチクリ制度の問題点と、家族を守るために奮闘する父親の姿を描いた本作。巨大麻薬組織に単身潜入する父親の物語で主演がドウェイン・ジョンソンとくれば、角材片手のロック様が素手ゴロで組織を壊滅する様を想像してしまうが、たとえロック様のような筋骨隆々の大男であっても拳銃を向けられれば竦んでしまう、そんなリアルな人間像を描いているので過度な期待は禁物。
アクションを期待すると少々痛い目に遭う本作ではあるが、その一方で筋肉幻想が通用しない怖さや緊迫感の生み出しには成功している一本でも。また、別れた妻のもとに居る息子を全力で救おうとする行動が今の家族を苦境に陥れてしまうジレンマや、元犯罪者の更生を阻む厳しい現実など考えさせられるドラマに仕上がっていた。
ただ、リアルさを求め過ぎた結果なのか少々メリハリに乏しく、これといって心に強く残る印象や個性に乏しいってのも否めず。また、法のシステムとしての不備を訴えたいのは分かるが、罠にはめられた方も犯罪行為をしている自覚があるので、ちょっとメッセージとして誤解される恐れもあるのかなぁとも。

主演には『ワイルド・スピード SKY MISSION』『ヘラクレス』のドウェイン・ジョンソンが。相手が凶悪な巨大麻薬組織であろうが素手で背骨を引き抜いて歩きそうなロック様だが、今回はその肉体的な強さは完全封印。ただ、その肉体的な強靭さに匹敵する精神的な強靭さを表現できる器用さを兼ね備えるロック様なので、フラストレーションは全く溜まらず。様々な角度から強さを表現できる、ホント稀有なアクションスターだよなぁと感服。「オレが居ればこんなことにならなかった!元嫁は何をやってたんだ!」と妙なプライドが現実把握の邪魔をする、男の足りなさ加減もしっかりと演じ切れていましたし。
また、善人の中に潜む邪悪を表現させたらピカイチである『リベンジ・マッチ』のジョン・バーンサルや、少々潜入捜査が長過ぎたのかなと思わせる眼差しの絶望感が光っていた『トゥルー・グリット』のバリー・ペッパー、作品にちょっとした格と知性を与えていた『ハッピーニート おちこぼれ兄弟の小さな奇跡』のスーザン・サランドンらが、本作のドラマ部分をがっちりと固める好演を。
その他、『ロボコップ』のマイケル・ケネス・ウィリアムズや、『デモリションマン』のベンジャミン・ブラット、自己主張の少ないサラ・ジェシカ・パーカーみたいだった『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』のメリーナ・カナカレデスらも共演。

この親父に怒られるのが一番の罰
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失礼ながらレスラー時代は全然知りませんが、ガタイのいい肉体派アクションも出来ればチュチュ着て妖精にもなれるという「やれば出来る親父」ぶりに惚れます。
はげヒゲがかっこいいですよね!
強さや痛さ、その他もろもろの喜怒哀楽をライブで表現するレスラーって、実際舞台俳優並の表現力が必要なんでしょうねぇ。そういう意味でロック様は天性の役者だなぁと。芸幅広いですし。