1971年 アメリカ映画 89分 ホラー 採点★★★
憧れの田舎生活を実現したは良いけど、地元民との軋轢やら不便さやらあれこれあって、結局都会に舞い戻るってケースが少なくないとか。尻の穴の皺の数まで知らないと気が済まないような濃密な人間関係や、文化的とは程遠い娯楽や会話にウンザリしてる身からすると「何を期待してわざわざ来るんだろ?」と不思議でしょうがないんですが、夢と希望は人それぞれなのでまぁいいかと。ただ、「田舎で暮らす!」って決断をする前に、せめて『脱出』と『わらの犬』を10回くらいは観ておいて欲しいなぁと。
【ストーリー】
ニューヨークでの生活で神経を衰弱して入院してしまったジェシカは、退院後、夫とその友人と共にニューヨークから離れた田舎町へと引っ越すことに。新たな生活拠点である湖畔の別荘に無断で住み込んでいた謎の女エミリーも一緒の奇妙な共同生活を始めたジェシカだったが、ほどなく奇怪な出来事がジェシカを襲い始め…。
囚人仲間と共にブロードウェイを目指すという、ニック・ノルティ主演の珍妙な映画『ウィーズ』がほんのり記憶の隅に残ってるジョン・ハンコックが、メガホンと別名での脚本を手掛けて作ったホラー。TVで何度か観た記憶はあるものの、はっきりとは覚えてないので“初めて観た”扱いで。
誕生して間もないモダンホラーや大ブレイク直前のオカルト映画の要素を持ちつつ、後のスラッシャー映画の風味も微かに漂うホラーの架け橋的一本。近い作品として一瞬『ローズマリーの赤ちゃん』が頭をよぎりますが、どっちかと言えば『テナント/恐怖を借りた男』の方が近い感じも。
最初の噂話がオチとなる、捻りも何もないストレートな物語ではあるんですけど、靄に包まれた景色や爺さんばかりの住人、精神的に不安定な主人公に「ビュワワワ〜ン」と鳴り響く不穏な旋律といった味付けが、劇中内の現実に程よい揺らぎを。「現実かどうかわからない」ってのは、主人公がしきりにそう言ってるからそう取れるだけだったりもするんですけど、常に微妙な半笑いで動き方も幾分アレなジェシカの挙動が、その言葉に絶妙な真実味を与えてたのも事実かなぁと。
やりようによっては『ゾンゲリア』や『シャッター アイランド』のような作品にもなりそうなところを、捻らず雰囲気で乗り切った本作。それが結果的に、観ている最中よりも鑑賞後の時間が経過するごとに印象だけが脳内で膨らみ、「なんか面白かった気がする!」って一本に仕上がったのかと。昨日観たばかりなので、今のところ私の中では“何か変な映画”で終わってますが、来年の今頃は“面白かった映画”に変わってる可能性大。
歓迎され過ぎるのもヤダ
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
精神薄弱気味の笑顔が、
本当に病んでる人にみえて
(実際に、精神を病んでる私の、知りあいに似ている)
そこがうすら気味悪かったりして、
結局彼女の統合失調症的妄想なのか、
現実なのか、わからないところも
幻想的な作品でしたね
しかし村人の訪問は突撃過ぎて。
周囲から異常に思われないよう笑顔で取り繕うも、それがかえって不自然という感じがよく出てましたねぇ。
>村人の訪問は突撃過ぎて
でもワラワラ来るだけで、大した攻撃力はないってのが逆に不気味で。なんか昔のゾンビみたいで。