1983年 アメリカ映画 91分 ドラマ 採点★★★
若者の将来って、親はもちろんのこと学校の先生や会社の面接官といった大人の胸先三寸で決定しちゃうことが多いですよねぇ。バイト先の店長なり、会社の最初の上司によって先の30年が決まってしまうことさえ。さらにもっと突き詰めると、生まれ育った土地そのものが既に強い影響力を持ってたりも。その仕組みを根本から変えるってのは難しいので、先のある若者の皆さんにはそんなことを頭の片隅にでも入れて社会に出てもらいたいなぁと。ただただ流されるのではなく。
【ストーリー】
ペンシルベニア州の廃れてしまった鉄鋼の町で育った高校生のステフ。一日でも早くこの町を出るため、そして夢であるエンジニアを目指すために大学進学を希望するも、不景気の煽りを受け彼の家には進学させるだけの経済的余裕はなかった。しかし、彼には各地の大学が注目するだけのフットボールの才能があり、彼もその奨学金を獲得する為に日々練習に明け暮れていた。だが、チームのコーチと衝突してしまったことから退部させられてしまい…。
『タクシードライバー』や『ハリソン・フォード 逃亡者』など数多くの名作やヒット作の撮影監督を務めてきたマイケル・チャップマンが、初めて監督を務めて作り上げた青春ドラマ。今となってはリー・トンプソンのフルヌードとトムちんのトムチンが拝めるお宝映画として知られる本作ですが、見どころはそこだけにあらず。一番の見どころはもちろんそこですけど。
それはさて置き、死にゆく田舎町から一刻も早く脱出したい若者の焦りと、功名を立て栄転をしたい大人の思惑、そしてその衝突が思いのほか生々しく描かれている本作。出世の邪魔になる存在を排除する行為が若者の人生を大きく狂わせてしまう事実を、文字として頭で理解しているが実感はしていない大人のリアルさや、自分の力だけではそれに対抗できない若者の苛立ちのリアルさが、どんよりとした雲に覆われたロケ地ペンシルベニア州ジョンズタウンの風景の閉塞感も相まって観る側にダイレクトに伝わってくる。
また、フットボールを題材にしている割に試合シーンがわずか一試合の短い時間なのだが、これがまたなかなかの臨場感。この辺は、撮影監督を務めたヤン・デ・ボンの手腕なんだろうなぁと。
積み重ねてきた切実さを一気に台無しにする強引ハッピーエンドは確かにアレだったんですが、“悪いことしたら出来るだけ早くゴメンなさいする!”って教訓だけは活きてるので、まぁいいかと。
それはそうと、普通エンドクレジットはキャストかメインのスタッフから流れてくるもんなんですが、本作のエンドクレジットはいきなり挿入歌のリストから流れてくる。しかも、どのシーンで使われてたかの注釈付き。ちょっとそれは親切でいいなぁと。
本作やスマッシュヒットとなった『卒業白書』を含め、この年だけで4本もの出演作が公開されてた『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』のトム・クルーズ。絶賛売出し中のフレッシュさにこそ溢れていたが、如何せんまだまだブレイク前夜。劇中ずっとアホちゃんみたいに笑ってるか、アホちゃんみたいに怒ってるかのどっちかなので、正直“スター”と呼ぶにはまだまだ役不足感否めず。ただ、役柄がちょいとアホちゃんなジョックスなので「トムちん可愛いなぁ」と愛でる分には不足なし。また、西海岸の青い空と白い砂浜ってのが案外似合わないタイプなので、本作のような田舎町に佇む可愛い高校生役は見事にハマってたなぁと。
そんなトムちんの相手役には、こちらも絶賛売出し中ながらもやはりブレイク前夜にいた『ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀』のリー・トンプソンが。なんとも初々しく生々しいラブシーンのインパクトに目を奪われがちだが、それ以外はいつもの愛くるしく可憐なリー・トンプソンを堪能。どんなシーンであっても、彼女が出てるだけで画面が和む。“彼氏の家の前にある電信柱に寄り掛かりながらサックス吹いてる女”と文字にすると危険な感じがするが、それがリー・トンプソンだと全然許せてしまう可愛げ爆弾。トムちん共々軽くアホちゃんっぽいので、なんか応援したくなるカップルだったなぁと。
その他、『スタスキー&ハッチ』のクリス・ペンに、『ポルターガイスト』のクレイグ・T・ネルソン、ワンシーンのみの登場だった『ミレニアム』のテリー・オクィンや『グレムリン』のディック・ミラーらも印象的だった一本で。
可愛い娘だからって可愛い下着を着ているとは限らず
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