2015年08月10日

ヘンゼル&グレーテル (Hansel & Gretel: Witch Hunters)

監督 トミー・ウィルコラ 主演 ジェレミー・レナー
2013年 ドイツ/アメリカ映画 98分 ファンタジー 採点★★★

一本の作品として完結したものとして捉えてるせいなのか、単純に想像力に欠けているせいなのかはちょっと定かじゃありませんけど、“物語のその後”ってのには然程関心のない私。“いつの間にかマチェーテ構えて先回りしているジェイソンさんの見えない所での全力疾走”とか、“『宇宙戦争』でひとり先に家に帰った時の長男のヌケヌケとした顔”といった、劇中で描かれなかった部分については思いを大いに馳せたりもしますが。

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【ストーリー】
親に森の奥に捨てられ、そこに潜んでいたお菓子の家の魔女を退治したことで一躍有名になった、幼い兄妹のヘンゼルとグレーテル。その後彼らは成長し、いまでは最強の魔女ハンター兄妹としてその名を轟かせていた。そんなある日、子供の行方不明事件が多発する村から事件の解決を依頼された彼らは、背後に潜む黒魔女ミュリエルを追うが、彼女の狙いは別のところにあり…。

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“ヘンゼルとグレーテルが魔女狩り専門の賞金稼ぎに成長した”って設定でワンパクに描く、『処刑山 -デッド・スノウ-』のトミー・ウィルコラ監督/脚本によるアクション・ファンタジー。製作に『俺たちニュースキャスター 史上最低!?の視聴率バトルinニューヨーク』のウィル・フェレル&アダム・マッケイらフェレル映画組が多く集結してるって時点で、もう大いにワンパク
変化球って、どんなボールが投げられるのか分からないからこそ効果があるんですよねぇ。「今からカーブ投げまーす!」って宣言されてから来るボールなんて、ちょいと曲がる遅い球でしかないですし。ふとそんなことを思ったのも、変化球を謳いながらもコースも球威も予想の範囲内に収まっていた棒球映画スノーホワイト』を、本作を観ながらちょいと思い出したから。本作もまた所謂変化球映画ですし。ところがどっこい、変化の幅も作品解説や予告編から容易に想像できる範囲内に収まっているにもかかわらず、球威も球速も直球と変わらない豪変化球映画になってて大いに驚いた。この違いたるや。
エロとグロとバイオレンスに笑いといった、ハリウッド初進出作とは到底思えぬほどウィルコラの好きなものだけで出来ていた本作。この手の作品にありがちな、作り手だけが楽しい一本に仕上がっているのかと思いきや、思いのほか描き込まれていた人物描写や兄妹の関係図、魔女より恐ろしい人間とその集団心理、魔女として裁かれる女性の悲哀などもさらりと盛り込まれる、手堅さの土台の上で思う存分暴れるワンパクさが魅力。
バラエティ豊かだがちょいと取り止めがなく、「ヒャホーィ!」と楽しむパーティ映画の枠を出ていないのは惜しいが、そのパーティ映画としては十分過ぎるほど楽しめる仕上がりなので特に文句もなし。

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お菓子の食べ過ぎで糖尿病を患ってるヘンゼルに扮したのは、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のジェレミー・レナー。もともと“戦う男”ってのが抜群に似合う役者なので、特に驚きはないがバッチリと様になる好キャスティング。普段はまんま小学生男子の如きやんちゃさ&バカさ加減なんだが、妹の危機には俄然“お兄ちゃんモード”へと変貌する、ジェレミー・レナーの良さってのを存分に活かした役柄も魅力。
一方のグレーテルには、『ビザンチウム』のジェマ・アータートン。兄に対し普段は「バカ男子」としか思ってなくても、その根底には100%の信頼感が存在している故に、力の兄に対し頭脳で徹底的にバックアップする妹役を好演。この“二人っきりで今まで頑張ってきました”感が非常に良く出ているのが、本作成功の要因かと。
にしてもこの映画、女優陣がなんともエロい。知性的だが退廃的でもある顔立ちと胸元を強調したピッチピチの黒コスチュームに身を包む、なんかその手のプロっぽささえ伺えるジェマ・アータートンもさることながら、美人というよりは“村の良い娘”って風貌とのギャップが大きい肉感的な身体を、惜し気もなく披露するピヒラ・ヴィータラ、そして極めつけが大黒魔女として登場する『96時間/レクイエム』のファムケ・ヤンセンときたもんだ。“抗えない誘惑”ってのを具象化したかのようなファムケ姐さんに対峙するのがジェマという、この作り手の“分かってる”感が嬉しい。こういう性の目覚めを呼び起こすような作品って大事だよなぁ。
その他、『バッド・マイロ!』のピーター・ストーメアや、兄妹の母親に扮した、スタントウーマン中心の活躍がもったいないほどの美貌とスタイルを持ったモニーク・ガンダートン、『オブリビオン』のゾーイ・ベルに、ごっついおっさんにしか見えなかったトロールのエドワードなんかも印象的な一本で。

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後悔するのは分かってるけど抗えない誘惑

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posted by たお at 10:31 | Comment(4) | TrackBack(5) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは!
バカバカしい中に笑いもいれて、
楽しいアクション作品になってました♪
当たり前なんだけども、実際に魔女が箒で空を飛ぶシーンのシュールさが凄い!
これなら続編欲しいなあって思います

Posted by maki at 2015年08月28日 09:40
maki様、こんにちは〜♪
トロールのオッサン臭さも堪らなかったですねぇ。
デタラメなようでキッチリ作り込んでいる、意外と高い完成度も見所でしたねぇ。
続編に関しては、一応アナウンスだけはされてるようなんで可能性はありかと。
Posted by たお at 2015年08月29日 14:04
>球威も球速も直球と変わらない豪変化球映画になってて大いに驚いた。
“予想の斜め上を行く”どころじゃない面白変化球に、思いっきりハマってしまいました。

>この作り手の“分かってる”感が嬉しい。
色んな部分に、“分かってる”感が!
趣味が会う人と一緒に、わいわい喋りながら見るのにも向いている作品だと思いました。
Posted by 哀生龍 at 2015年08月31日 06:13
哀生龍さま、こんにちは〜♪
奇をてらっただけのワンパク映画ではなく、そのアレンジのひとつひとつのクオリティが高い、思いのほかしっかりとした娯楽作品なんですよねぇ。人物の描き分けなんかも上手いですし。
ホント、パーティ映画としても優れてた一本で。
Posted by たお at 2015年09月03日 06:48
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【DVD】ヘンゼル&グレーテル
Excerpt: 【監督】トミー・ウィルコラ 【出演】ジェレミー・レナー/ジェマ・アータートン/ピヒラ・ヴィータラ/ファムケ・ヤンセン 【公開日】未公開 【レンタル日】2013年 7月19日 【製作】ア..
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