2015年08月05日

フッテージ (Sinister)

監督 スコット・デリクソン 主演 イーサン・ホーク
2012年 アメリカ/カナダ/イギリス映画 110分 ホラー 採点★★★

なんだかんだ言って『リング』は怖い映画ですよねぇ。あのビデオが怖い。何が怖いって、観たら呪われるとかそんなこと以前に、誰かがカメラを持って撮影しないと存在しないはずの映像なのに、誰もカメラを持ってないってのが怖い。そんな恐ろしいものを、「ほれ観ろ!」とばかりに身近に置いてかれるのが怖い。観てもらいたがってるくせに、観たら呪うってもうワケわかんない

sini02.jpg

【ストーリー】
10年前にヒット作を出すも、それ以降は鳴かず飛ばずで経済的にも困窮状態に陥ったノンフィクション作家のエリソン。彼は再度一発当てようと、家族には詳細を伏せ一家惨殺事件の現場となった一軒家へ妻子と共に引越し、その事件についての執筆を始める。やがて屋根裏部屋で8mmフィルムを発見したエリソンは、書斎でその映像を確認すると、そこにはその家だけではなく様々な一家惨殺の瞬間が映し出されていて…。

sini03.jpg

間もなく続編も公開される、『地球が静止する日』のスコット・デリクソンが監督と脚本を務めた、掻い摘めばミイラ取りがミイラになるみたいなホラー・サスペンス。主演に『プリデスティネーション』のイーサン・ホーク、ノンクレジットで『ラン・オールナイト』ヴィンセント・ドノフリオも出演。
Jホラーの影響も垣間見れる、ジワジワ系のホラーとしてなかなかの雰囲気を持った本作。スナッフフィルムとしての陰惨さと変態さをしっかりと表現できている8mmフィルムの完成度も高く、一見バラバラに思える事件が大きな輪を描き始める展開も巧い。終盤間際までは「お?今日のデリクソンは調子がいいなぁ」と感心させられる完成度。
しかしながら、因果関係をモヤモヤさせた締めがどうにも弱い。これが40分前後の作品であれば、そのモヤモヤさが恐怖を増大させるのだが、2時間近い作品を引っ張るにはちょいと弱い。しかも、ある行動パターンが惨劇を生むようなのだが、そうなると肝心の8mmの存在が意味を成さなくなってくる。別に観ても観なくても結果が同じ。また、他の一家がそれを観ていたって描写が全くないので主人公だけが観ていたってなると、何の為に見せてるのかが判らず。もし全員が観ていたとするならば、主人公はその手の作家だから調査して因果関係を発見できたものの、普通のお父さんが観たって「ウェッ!」ってなって終わっちゃうんじゃないかと。まぁ、引越しさせるための嫌がらせの一環なのかもしれませんが。
そんなこんなで、雰囲気だけは非常に良いんですけど、題材に対する煮詰めが相変わらず甘い惜しい一本だったなぁと。一時のスポットライトが忘れられないって感じをイーサン・ホークが見事に表現していただけに、尚更にもったいない。

sini04.jpg
上映中はお静かに

↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
blogramのブログランキング   

        

        

posted by たお at 10:14 | Comment(4) | TrackBack(10) | 前にも観たアレ■は行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは♪

>観てもらいたがってるくせに、観たら呪うってもうワケわかんない。
(笑)

他の亡くなった一家も見ていると思います。みた事で霊障が起き、それに慄いて引越し→一人除いて一家殺害の流れでしょうから。
ただそれが、主人公のように全部見たかは別ですね。「なんだこのフィルム→うわー」でひとつでやめた可能性も。それでも、霊障が起きてのろわれてる!引っ越そう!→引越し先で全滅を繰り返していたのだと。
冒頭のたおさんの観て欲しいくせに呪うのって何、ってほんとそうだよなーと思いますですよ
でもそこが恐ろしい

邪神の姿は現さないほうが良かったとは思いますが、そこ以外はイーサンの慄く姿も含めて秀逸な作品だったと思います
Posted by maki at 2015年08月06日 09:37
maki様、こんにちは〜♪
>慄いて引越し→一人除いて一家殺害の流れ
たぶんそうなんでしょうけど、主人公がノンフィクションライターだって所に引っかかっちゃってるんだと思うんです、わたし。事件について調べてるから見せてるって思い込んじゃうんですよねぇ。一般人なら調べる前に通報でしょうし。
ま、雰囲気は悪くないですし、イーサン・ホークも良かっただけに不満を感じただけなんでしょうけど^^;
Posted by たお at 2015年08月06日 10:26
イーサン・ホークなので期待していると少しがっかりするかな。
呪いものって見てもらいたいとか聞いてもらいたいくせに、それをしたらえらいことになるという展開が多いですよね。でも不気味だからこそ見たくなる、聞きたくなるという気持ちもなんかわかります。ラスト付近はもうひとひねりほしかったかな。
切れ切れに見る8mm映像は怖かったんですけど。
Posted by ミス・マープル at 2015年08月06日 16:45
ミス・マープル様、こんばんはー♪
怖がらせるためだけに見せてるってなると、ちょい物足りなさを感じちゃうんですよねぇ。主人公が作家である意味とかもなくなっちゃうし。。。
Posted by たお at 2015年08月10日 21:17
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

劇場鑑賞「フッテージ」
Excerpt: ブギーマン… 詳細レビューはφ(.. ) http://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201305140001/ デイ..
Weblog: 日々“是”精進! ver.F
Tracked: 2015-08-06 05:22

フッテージ
Excerpt: イーサン・ホークは作家と言うのが結構似合う。「イリュージョン」でもそうでしたよね。 スランプ気味の主人公は家族に内緒で一家惨殺があり末娘だけが行方不明になった家に引っ越してきます。ある日屋根..
Weblog: いやいやえん
Tracked: 2015-08-06 09:25

フッテージ
Excerpt: SINISTER 2012年 アメリカ 110分 サスペンス/ホラー PG12 劇場公開(2013/05/11) 監督:スコット・デリクソン『地球が静止する日』 製作総指揮:スコット・デリクソ..
Weblog: 銀幕大帝α
Tracked: 2015-08-06 13:59

フッテージ
Excerpt: JUGEMテーマ:Horror「フッテージ」原題:Sinister監督:スコット・デリクソン2012年 アメリカ映画 110分 PG12キャスト:イーサン・ホーク     ジュリエット・ライナンス  ..
Weblog: マープルのつぶやき
Tracked: 2015-08-06 16:47

フッテージ 【劇場で鑑賞】
Excerpt: シネコンのポイントが貯まったので 一本無料で映画を観る事に、ホラー映画 の「フッテージ」にしてみました。フッテージ [Blu-ray] フッテージ 原題:SINISTER 製作:2012アメリカ 作品..
Weblog: 映画B-ブログ
Tracked: 2015-08-06 18:30

フッテージ
Excerpt: 評価:★★★【3点】(10) イーサン・ホークってホラー映画はお初なのね。
Weblog: 映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ〜
Tracked: 2015-08-06 21:28

フッテージ  監督/スコット・デリクソン
Excerpt: 【出演】  イーサン・ホーク  ジュリエット・ライランス  フレッド・ダルトン・トンプソン 【ストーリー】 作家のエリソンは、妻と子どもの一家4人で郊外の家に転居してくる。そこは一家が首をつるという..
Weblog: 西京極 紫の館
Tracked: 2015-08-06 21:46

フッテージ/SINISTER
Excerpt: スランプ中のノンフィクション作家が、 執筆のために家族に内緒で惨劇の舞台となった一軒家に引っ越したことから 想像を絶する恐怖に見舞われるさまを描いた、ホラー。 ホラーに初めて興味..
Weblog: 我想一個人映画美的女人blog
Tracked: 2015-08-06 23:44

フッテージ
Excerpt: 【SINISTER】 2013/05/11公開 アメリカ PG12 110分監督:スコット・デリクソン出演:イーサン・ホーク、ジュリエット・ライランス、フレッド・ダルトン・トンプソン、ジェームズ・ラン..
Weblog: ★yukarinの映画鑑賞ぷらす日記★
Tracked: 2015-08-07 10:54

フッテージ   ★★★.5
Excerpt: 落ち目の作家が引っ越してきたとある殺人事件の現場となった一軒家を舞台に、のろいにまつわる恐怖体験を描いたホラー。『ビフォア・サンセット』『クロッシング』などのイーサン・ホーク演じる作家が、8ミリフィル..
Weblog: パピとママ映画のblog
Tracked: 2015-08-07 12:11