2012年 アメリカ/カナダ/イギリス映画 110分 ホラー 採点★★★
なんだかんだ言って『リング』は怖い映画ですよねぇ。あのビデオが怖い。何が怖いって、観たら呪われるとかそんなこと以前に、誰かがカメラを持って撮影しないと存在しないはずの映像なのに、誰もカメラを持ってないってのが怖い。そんな恐ろしいものを、「ほれ観ろ!」とばかりに身近に置いてかれるのが怖い。観てもらいたがってるくせに、観たら呪うってもうワケわかんない。

【ストーリー】
10年前にヒット作を出すも、それ以降は鳴かず飛ばずで経済的にも困窮状態に陥ったノンフィクション作家のエリソン。彼は再度一発当てようと、家族には詳細を伏せ一家惨殺事件の現場となった一軒家へ妻子と共に引越し、その事件についての執筆を始める。やがて屋根裏部屋で8mmフィルムを発見したエリソンは、書斎でその映像を確認すると、そこにはその家だけではなく様々な一家惨殺の瞬間が映し出されていて…。

間もなく続編も公開される、『地球が静止する日』のスコット・デリクソンが監督と脚本を務めた、掻い摘めばミイラ取りがミイラになるみたいなホラー・サスペンス。主演に『プリデスティネーション』のイーサン・ホーク、ノンクレジットで『ラン・オールナイト』ヴィンセント・ドノフリオも出演。
Jホラーの影響も垣間見れる、ジワジワ系のホラーとしてなかなかの雰囲気を持った本作。スナッフフィルムとしての陰惨さと変態さをしっかりと表現できている8mmフィルムの完成度も高く、一見バラバラに思える事件が大きな輪を描き始める展開も巧い。終盤間際までは「お?今日のデリクソンは調子がいいなぁ」と感心させられる完成度。
しかしながら、因果関係をモヤモヤさせた締めがどうにも弱い。これが40分前後の作品であれば、そのモヤモヤさが恐怖を増大させるのだが、2時間近い作品を引っ張るにはちょいと弱い。しかも、ある行動パターンが惨劇を生むようなのだが、そうなると肝心の8mmの存在が意味を成さなくなってくる。別に観ても観なくても結果が同じ。また、他の一家がそれを観ていたって描写が全くないので主人公だけが観ていたってなると、何の為に見せてるのかが判らず。もし全員が観ていたとするならば、主人公はその手の作家だから調査して因果関係を発見できたものの、普通のお父さんが観たって「ウェッ!」ってなって終わっちゃうんじゃないかと。まぁ、引越しさせるための嫌がらせの一環なのかもしれませんが。
そんなこんなで、雰囲気だけは非常に良いんですけど、題材に対する煮詰めが相変わらず甘い惜しい一本だったなぁと。一時のスポットライトが忘れられないって感じをイーサン・ホークが見事に表現していただけに、尚更にもったいない。

上映中はお静かに
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>観てもらいたがってるくせに、観たら呪うってもうワケわかんない。
(笑)
他の亡くなった一家も見ていると思います。みた事で霊障が起き、それに慄いて引越し→一人除いて一家殺害の流れでしょうから。
ただそれが、主人公のように全部見たかは別ですね。「なんだこのフィルム→うわー」でひとつでやめた可能性も。それでも、霊障が起きてのろわれてる!引っ越そう!→引越し先で全滅を繰り返していたのだと。
冒頭のたおさんの観て欲しいくせに呪うのって何、ってほんとそうだよなーと思いますですよ
でもそこが恐ろしい
邪神の姿は現さないほうが良かったとは思いますが、そこ以外はイーサンの慄く姿も含めて秀逸な作品だったと思います
>慄いて引越し→一人除いて一家殺害の流れ
たぶんそうなんでしょうけど、主人公がノンフィクションライターだって所に引っかかっちゃってるんだと思うんです、わたし。事件について調べてるから見せてるって思い込んじゃうんですよねぇ。一般人なら調べる前に通報でしょうし。
ま、雰囲気は悪くないですし、イーサン・ホークも良かっただけに不満を感じただけなんでしょうけど^^;
呪いものって見てもらいたいとか聞いてもらいたいくせに、それをしたらえらいことになるという展開が多いですよね。でも不気味だからこそ見たくなる、聞きたくなるという気持ちもなんかわかります。ラスト付近はもうひとひねりほしかったかな。
切れ切れに見る8mm映像は怖かったんですけど。
怖がらせるためだけに見せてるってなると、ちょい物足りなさを感じちゃうんですよねぇ。主人公が作家である意味とかもなくなっちゃうし。。。