2013年 アメリカ映画 90分 ラブロマンス 採点★★★
「彼女が欲しい!」と言える立場にも作る立場にも居ないんでアレなんですが、もし万が一そういう状況になったら、やっぱり好きなものが共通している女性が良いですねぇ。若しくは、自分が愛してやまないものを毛嫌いしない人。また、その逆。ただまぁ、それが“映画”のこととなると幅が広過ぎて案外危険。ジャンルの違いなんかもそうなんですけど、相手の女性が「わたしムーラン・ルージュとか好きー!」って言う場合、上っ面の部分が好きなのか、ストレートとゲイの間で揺れ動いてるようなバズ・ラーマンの視点が好きなのかでその後の付き合い方が大きく変わりますし。前者の場合はろくに一緒に映画も観ない浅く短い付き合いになりそうですし、後者は後者で濃くて短い付き合いになりそうだし。
【ストーリー】
クラブで毎晩美女をお持ち帰りするほどモテモテのジョン。そんな女性に困ることのないジョンであったが、彼にとっての“完璧なセックス”は生身の女性が相手のものではなく、ポルノのみが彼を満足させていた。そんなある夜、彼はセクシーな美女バーバラに出会い一目惚れ。見た目とは裏腹にガードが固く恋に真面目なバーバラにのめり込んでいくジョンであったが…。
『50/50 フィフティ・フィフティ』のジョセフ・ゴードン=レヴィットが、自らの脚本を長編としては初めて監督も務めて作り上げたラブコメディ。共演に『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のスカーレット・ヨハンソン、『フライト・ゲーム』のジュリアン・ムーア、『21ジャンプストリート』のブリー・ラーソンらが。
見た目と中身のギャップ若しくは行動のギャップってものには、男女問わず弱いもので。不良が捨て犬に餌やってるのを目撃したり、普段男勝りの女の子が不意に見せるしおらしい仕草とか。そこによろめいて付き合い始めてもそんなシーンに出くわすのは極々稀なんですけど、たまたま当たった宝クジの興奮を味わいたいが如く、それを待ち続けてしまうんですよねぇ。一種の中毒で。
また、私もそうなんですが、自分の予想と違う行動やリアクションを取る“ちょっと変わった子”ってのにも弱いものなんですよねぇ。主導権を握ろうとしていたら知らぬうちに逆に握られてしまう状況に、なんかより一層マイルドになったソフトSM的な悦びすらあるのかも。
そんな男女関係を構築する上で陥ってしまいがちな状況や、双方の本音、そして相互理解の大切さに気づくまでの過程をポルノをモチーフに描き出した本作。テーマを浮かび上がらせるまでちょっと遠回りしすぎた感もあるし、テーマを明確にするためには仕方がなかったにしても、“ポルノはポルノ、本物は本物”と両立させたい派の私としては、“ポルノ=独りよがり”とバッサリいかれるのには若干納得いかないって面も。それでも、捉えるべき本質はしっかりと押さえているし、持て余す女を演じさせたらピカイチのスカーレット・ヨハンソンの使い方など役者ならではのキャラ活かしも光っていた、なかなか侮れない一本でも。
『(500)日のサマー』のレヴィットを期待するとショック大な本作。ネタがネタなだけに「キーッ!下品!」と怒られる方も居られるのかも。ただ、もし「ま、描いてる本質は似たようなもんだよね」と楽しんでくれた女性が身近に居たら、もうその人と結婚しちゃえば良いんじゃないのかなと。
こっから先は蛇足な上に結末に思い切り触れてるのでご注意を。
夫と子供を事故で失ったエスターに相互理解の大切さを教わったジョンはプレイボーイからもポルノからも卒業し、エスターと共に“二人は幸せに過ごしたとさ。めでたしめでたし”的な結末を迎えるんですけど、どうもその締めくくりに違和感が。別にアップにならずとも若いお婆ちゃんみたいになってきちゃったジュリアン・ムーアとの年齢差に感じているわけではなく、逆にそこには西原理恵子のマンガだったと思うんですけど“最初の結婚は年上を選んでアレコレ学び、二回目の結婚では若い子を選んで自分が教える”的な深さってのを感じたんで良いんですけど、二人の関係はイコールじゃないのにその結末はどうなんだろうって違和感が。
確かにジョンにとってエスターから得れるものは非常に多いし、真の人間関係を味わえるって意味でも必要な存在。じゃぁ、エスターにとってはどうかと考えると、別に「若い彼氏ができてヤッホーイ!」ってわけでもないし、ジョンから何かを得れるわけでも、ジョンが家族を失った悲しみを誤魔化してくれる存在でもなさげ。そもそも“恋愛”って感情の上に成り立ってるとも思えず。
“必要とされることで”とすると何か陳腐だし微妙に違うとも思うんですが、人間として大切なものに欠けていたジョンに自分の経験や考え、その肉体も含め与えることで辛うじて自分のバランスを保っているように思えるんですよねぇ。もちろんそういう上に成り立つ関係ってのは否定しませんし、“結婚”がグッドエンディングで“別れ”がバッドエンディングだとも思わないんですが、結末に至る前まではちゃんと描かれていたエスターの内面が、結末に突然無くなってしまってるかのような印象がちょいと残念だったなぁと。物憂げな眼差しが一瞬でも入ってれば、後々いろいろと考えさせられる作品になるほど印象が大きく変わったのに。
それでも、『ブギーナイツ』の時と同様にセックスの持つ様々な側面までも含めて教えてくれる、母親というか子宮そのもののような懐の深さや存在の大きさを、惚れ惚れするほどチャーミングに且つ豊かに表現してくれたジュリアン・ムーアが素晴らしい。ただベンチに座ってるだけのような小さなシーンにすら感情がある彼女の存在が、本作に非常に大きな影響を与えてたなぁと。
関係性ってのは自ずと顔に出るもので
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
ジョセフ・ゴードン=レヴィットは、たおさんの「50/50フィフティ・フィフティ」のレビューを拝見して、レンタルを借りて見てからのファンです。
日本では、その容姿と繊細な演技から窪塚洋介に似ていると言われていますが、個人的には山田孝之だと思います。陰と陽の振り幅とか、子役時代から培った演技の地に足着いた感じとか。山田孝之子役ではないですけどね。
聞いたことはないですけど、間違いなくレヴィット=窪塚ではないですねぇ。。。
山田孝之も面白演技の時しか見たことないんでピンと来ないんですけど、なんとなく言わんとしてることは分かる気も。
なぜかこちらからは送れないので
(内容が内容だから?笑)
コメントで失礼します
ジュリアンの役どころって、
妙齢の女性であれば誰でも良かったような気もして、なんだかなあと思いました
結局男性って包容力のある母親のような女性を理想としているのでしょうか
あらあら、それはお手数をおかけしました!
シーサーはどうも妙なところが厳しいみたいで。わたしなんかいっつも“おっぱい”とか“うんこ”とかレビューで連呼してるのに^^;
>妙齢の女性であれば誰でも良かったような気もして
ちょっと結末の持って行き方に慌しさがあるんですよねぇ。両天秤して「やっぱコッチ!」って印象も。
>結局男性って包容力のある母親のような女性を理想と
否定しきれず。。。