2015年06月22日

スパイ・レジェンド (The November Man)

監督 ロジャー・ドナルドソン 主演 ピアース・ブロスナン
2014年 アメリカ/イギリス映画 108分 アクション 採点★★★

陰ではどうなのか知りませんが、表立ってのあだ名ってのを付けられた事がない私。そのせいか、ちょっとあだ名に憧れのようなものも。“メガネおにぎり”とか“一人バナナマン”とかはさすがにイヤですけど、“死神”とか呼ばれるのはちょっといいなぁと。でもまぁ、こんな平和な国で“死神”と呼ばれる人って、大概は痩せぎすで辛気臭いなんか死んでるっぽい人に対してなので、やっぱヤダ。

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【ストーリー】
“ノーベンバー・マン”と呼ばれていた伝説的なCIAのスパイ、ピーター・デヴェローは、愛していた女性ナタリーの危機を知りモスクワへと飛ぶ。しかし、彼女はピーターの目の前でかつての弟子メイソンによって殺されてしまう。ナタリーが持っていた情報を元にアリスという女性に出会ったピーターは、やがてチェチェン紛争にまつわる米露の陰謀に巻き込まれていき…。

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あんな辛気臭い連作になってしまうくらいなら、もうちょっとこの人のジェームズ・ボンドを観続けていたかったワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』のピアース・ブロスナンが、自ら製作総指揮も兼ねて主演したビル・グレンジャーのスパイ小説シリーズを映画化したサスペンスアクション。メガホンを握ったのは、『ハングリー・ラビット』のロジャー・ドナルドソン。
二大国家の陰謀に伝説的スパイと美女が巻き込まれるという、なんか久しぶりに直球ど真ん中なスパイ活劇だった本作。そこに“荒ぶる初老男”やら“師匠と弟子”って要素をぶち込み、ロジャー・ドナルドソンらしい非常に手堅い演出で楽しませてくれた一本。
「次期ロシア大統領の弱み握っておけば楽勝じゃね?」って如何にもCIAらしい陰謀がベースになるのだが、そのCIAもチェチェンでの自作自演テロに加担しちゃってるからお互い様で弱みになってなかったり、大統領候補が弱みのネタになる写真を後生大事に取ってたり、あれもこれも粗だらけというか粗でしか出来ていないような脚本には多少辟易させられもするが、王道スパイ活劇としての雰囲気だけは十分なので多少目をつぶれば不満も少なし。

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やっぱり本作を楽しませてくれた最大の要因は、ピアース・ブロスナンが持つボンドイメージなんでしょうねぇ。ボンドに比べればかなり荒々しいんですけど、人間味や力強さをボンドに求めてたのならこのピアースでも全然いけたのではと。
また、元弟子のメイソンに扮したのは、『ハートブルー』のリメイク“Point Break”の公開が控えているルーク・ブレイシー。見ようによってはショーン・ビーンに似ていなくもないので、いくら頑張っても007に敵わない006の物語に見えてきたりするお楽しみも。
その他、『007/慰めの報酬』では水着にすらならないボンドガールとして大いに失望させられましたが、今回もその抜群のスタイルを活かして私の鼻の下を存分に伸ばしてくれたオルガ・キュリレンコや、黒幕にしてはちょっと悪人っぷりもエセ善人っぷりも中途半端だった『テッド』のというか、やっぱり“ミレニアム”のビル・スミトロヴィッチ、疑いが晴れると同時に画面から消えちゃう『クロッシング』のウィル・パットンなど、好みの顔ぶれが揃ってるのも嬉しい。
それにしても、“奴が通った後に、生き残ったものはいない”からノーベンバー・マンと呼ばれる主人公。なんかセガールの『グリマーマン』みたいなそのあだ名の由来はめちゃくちゃカッコイイんですけど、「地味目な祝日がちょっとある以外なんの特徴もない11月なのに?」と疑問に思い調べてみたら、欧米では11月は死をイメージさせるそうで。日本だったら驚くほど何の特徴もない地味な人に付ける、可能な限り派手なあだ名って感じなのにと、「文化が違うといろいろ違うネー!」と驚きましたよってことでオシマイ。

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まだまだ若い衆には譲れないポジション

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posted by たお at 11:17 | Comment(4) | TrackBack(14) | 前にも観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
たおさん、今日はm(_ _)m

ご無沙汰していますが、ブログは欠かさずチェックしています(笑)
ビル・スミトロヴィッチに思わず反応してコメントした訳ではないですが、私ら世代にはやはり、ボンド=ブロスナンなんですよね〜。そう言えば深夜やってた探偵レミントン・スティールも毎回見ていましたし。
Posted by 双子の新米パパ at 2015年06月27日 15:13
あら、双子の新米パパ様ごぶさたしておりまーす!
私的にはボンド=ロジャー・ムーアな世代なんですけど、ブロスナンは歴代ボンドの中でも一番バランスに優れているって意味で今思うと降板はもったいないなぁと。これ観る限り、荒くれボンドもお手の物なのに。
因みに、ビル・スミトロヴィッチが出ているってのが本作を手に取った決定打で。
Posted by たお at 2015年06月29日 13:58
こんにちは!
物心ついたときには、ブロスナンがボンドだったので、この人の老けちゃったのを観るとなんか残念な気分にさらされるんですよねえ…
で、本作、途中までわかりづらかったですねえ。話が繋がると、「お!そうか!そうかそうか!」と言う感じで盛り上がったのですが…。
それにしても弟子の隣人の女性、災難…。この行動がなければデヴェローのほか作品もみてみたいなって思ったのですが。
Posted by maki at 2015年07月19日 08:53
maki様、こんばんは〜♪
>物心ついたときには、ブロスナンがボンドだった
おぉ!世代の差がくっきりと!
私はダニエル・クレイグと言いたいところですけどロジャー・ムーアが最初のボンドで、初めて観た時には既におじいちゃん化が始まってたから“ボンド=初老”のイメージなんですよねぇ。
Posted by たお at 2015年07月20日 23:18
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