2013年 中国映画 99分 アクション 採点★★
「プロレスが好き!」と言うと、「でも、八百長なんでしょ?」「台本があるんでしょ?」とよく聞き返されますよねぇ。まぁ、私自身はリングに上がったことがないのでどちらとも断言はできませんが、確かにボクシングや柔道のように“決められたルール内で相手を倒す”ことで勝敗を決する類の種目と同列に捉えると、プロレスは八百長と言われるのも仕方なしかと。ただ、技術や美しさを競うフィギュアスケートやシンクロ、若しくはボディビルなんかと同ジャンルのスポーツとして捉えると案外違和感も少ない気が。“美しさ”ってのを“強さ”に変えて、“どちらが強そうか?”“最強を表現できてるのはどっちだ?”ってのを競い合ってるスポーツとして考えれば。もうちょい枠を広げれば、アクション俳優なんかも似たようなものなのかなぁと。

【ストーリー】
警察官への復職を願いながらも叶わないまま、長年黒社会のボスであるホンの組織に潜入捜査を続けているロン。そんな中、組のブツを奪い逃走したかつての兄弟分サニーを探すよう命じられるロン。同時に警察からもサニー確保の指令を受けたロンは、香港を離れ本土へと向かうのだったが…。

『レジェンド・オブ・フィスト/怒りの鉄拳』のドニー・イェンが主演とアクション監督と務めた犯罪格闘アクション。スタントコーディネートをドニー・イェンから全幅の信頼を得ている谷垣健治が務め、クラレンス・フォクがメガホンを握った一本。
高速タックルからのジャーマンスープレックスが衝撃的だった『導火線 FLASH POINT』でも顕著だった総合格闘技スタイルがより深化した本作。寝技の攻防から関節技および絞め技が決め手となる分、ぱっと見は地味であるが凄味と殺伐さ、闘いそのものの怖さってのが伝わる非常にレベルの高いアクションを堪能させられる。スクリーン上での強さをとことん追求した結果、ドニーさんが何か新しい扉を開けかけている瞬間を垣間見させられた気さえ。
しかしながら、ドラマ部がそのレベルの高いアクションに全く付いて行けていない。と言うか、とことん足を引っ張る。ある意味、洗練とは程遠いかつての香港映画らしいといえばらしいのだが、今回は三枚目気味のドニーさんらが繰り広げるバタ臭いドラマはまるで昭和のラブコメを観ているかのようで、シビアなアクションとの食い合わせ悪し。ギャップを狙っていたのならば、生憎その狙いは外れ。
まぁ、別な目論見が見える感じがする香港/中国映画が多くなってきた中で、こういう単純にドロ臭い作品を観れたってのも久しぶりの感覚ではあるので嫌いではないんですけどね。ずっと見てるとだんだん幽霊顔に見えてきたりもしますが、ジン・ティエンの美人っぷりも堪能できましたし。

ホイチョイ版ドニー・イェン
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