マイティ・ソー／ダーク・ワールド (Thor: The Dark World)

監督　アラン・テイラー　主演　クリス・ヘムズワース
2013年　アメリカ映画　112分　アクション　採点★★

公開まで一ヶ月を切った『アベンジャーズ／エイジ・オブ・ウルトロン』へ向けた予習というか、夏休み最終日の追い込み継続中。ＴＶシリーズの方も観ておいた方が良いのか分かりませんが、もしそうだとしたらちょっとキツいなぁ。



【ストーリー】
全宇宙を闇へと変える強大なダーク・エルフの力を体内に取り込んでしまったジェーン。彼女を救うためソーはジェーンをアスガルドへ連れて帰るが、封印から目覚めた闇の王マキレスとその軍勢がその力を求めてアスガルドを襲撃する。壊滅的な被害を受けたアスガルドとジェーンを守るため、ソーは幽閉中のロキと手を組みマキレスに戦いを挑むのだが…。



“神話”って背景があるだけに史劇としての面白さもあった『マイティ・ソー』の続編。前作のケネス・ブラナーに代わってメガホンを握ったのは、『ターミネーター：新起動／ジェニシス』が控えるＴＶ畑出身のアラン・テイラー。
闇の軍勢の復活による全宇宙の危機からアスガルドのお家騒動と王位継承者の恋愛事情など、非常に内容が盛り沢山な本作。9つの世界が舞台なだけに、場面もコロコロと変わる目まぐるしさ。ただ、その盛り沢山さを矢継ぎ早に描いているってよりは、追いかけるのでいっぱいいっぱいな“手に余している”感が非常に強いのが気になるところ。矢継ぎ早なのに淡々としているというか。「次はあぁしよう！」「今度はこうしよう！」と、ソーらが先の展開を事前に台詞で説明してから進む様にもその印象を強めている感じが。
また、メカニカルな神話的世界を描こうとしたのか、他のマーベル・シネマティック・ユニバースとの世界観統一を図ったのかは不明ですけど、如何にもＳＦ的なメカが多数登場するのは、アスガルドを舞台にした場合に関してのみ言えば好みではなし。同時に世界観の統一によって、確かにそうではあるんですけど、オーディンやソーの神性が損なわれ単なる偉そうな宇宙人の一種に格下げされた感じも。
キャプテン・アメリカがちょっとしたお遊びで登場したり、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のコレクターが意味深な台詞を吐いたりと、相変わらず他の作品との関連付けに余念のなかった本作。それはそれで嬉しいですし、結局のところ全てが“アベンジャーズ”に向けた繋ぎみたいなもんなのである程度は仕方がないんですけど、もうちょっとコレ一本の価値ってのを追及して欲しい気も。



ソーに扮するのは、もちろん『キャビン』のクリス・ヘムズワース。その地方のジョックス的風貌も相まって、工業高校生的というか偏差値低めの腕っ節自慢神様を今回も好演。ただ、物語を淡々と進行させるだけの役割って側面も強かったせいか、鈍器を振り回しながら上からものを言うガキ大将的な可愛らしさは薄まり、仕事に疲れた現場作業員のような印象が。
また、化粧が濃い目だったせいか逆に背伸び感が出てしまっていたナタリー・ポートマンも前作に引き続き登場。ソーと並ぶと、なんか早くに結婚して形から大人になった田舎のヤンキーカップルみたいに見える瞬間も。
その他、『ザ・ライト　-エクソシストの真実-』のアンソニー・ホプキンスや、登場時間のほとんどでちゃんと服を着ていなかった『ドラゴン・タトゥーの女』のステラン・スカルスガルド、老けたドリュー・バリモアっぽかった『ザ・シークレット・サービス』のレネ・ルッソ、『プロメテウス』のイドリス・エルバに、他のメンバーには各々活躍の場が与えられていたのに一人だけそれがなかった『バトルシップ』の浅野忠信など、前作組も引き続き登板。新顔として『２８日後...』のクリストファー・エクルストンも。
そんな豪勢な顔ぶれが揃っていた本作でも、やっぱり一番輝きを放っていたのは『アベンジャーズ』のトム・ヒドルストンでしょうねぇ。一連の作品で“最強の小物”を演じてきた彼ですが、今回もその卑屈さ全開の熱演。己の卑屈さや卑劣さ、野心の大きさに全くそぐわない器の小ささを自覚している人間の無敵さや、その感情や本心が全然見えてこない怖さってのを見事に表現していたなぁと。ネガティヴな方向に振り切ってる分、愛されキャラへと成長したのかと。


出番待ちの間の余興

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Comments

＞もうちょっとコレ一本の価値ってのを追及して欲しい気も。
そうそう、そうなんです！
「アベンジャーズ」のためのサイドストーリーとか、キャラ紹介とか、そのレベルでＯＫにしないで欲しかったなぁ･･･と。

＞ネガティヴな方向に振り切ってる分、愛されキャラへと成長したのかと。
もしや、ロキのための作品？

＞出番待ちの間の余興
この画像のソー、ベンチで出番待ちの“なでしこジャパン”のあの方に似ているな・・と思ってしまいました（笑）

Posted by 哀生龍 at 2015年07月03日 21:45

哀生龍さま、こんにちは〜♪
＞もしや、ロキのための作品？
今後の予定作品のキャストを見ると、ロキがずいぶんと絡んでくる様子が見えるので、あながち否定できないですねぇ。
にしても、アベンジャーズが集大成になるならまだ我慢できるんですけど、アベンジャーズ自体がその後の作品につなげる役割を果たし始めたので、ちょい本末転倒かなと。

Posted by たお at 2015年07月04日 06:28