2015年06月11日

オオカミは嘘をつく (Big Bad Wolves)

監督 アハロン・ケシャレス/ナヴォット・パプシャド 主演 リオル・アシュケナージ
2013年 イスラエル映画 110分 サスペンス 採点★★★★

普段は可能な限り想像したくないんですけど、痛ましいニュースを見聞きすると頭をよぎる“もし自分の子供が殺されたら?”って想像。凄まじいまでの怒りと悲しみに飲み込まれながら、たぶん“復讐”って選択肢が浮かぶと思うんですよねぇ。正当化は出来ないけど“子供を殺されたから復讐する”って目的と、“犯人に同じ苦痛と絶望を味合わせたい”って理由は響きとして間違っていない感じも。ただ、そのそれぞれの行動の理由と目的を屁理屈にならないようとことん突き詰めていくと、結局行き着くのが“自分の憂さ晴らし”になっちゃうんですよねぇ。「俺がこんな辛い思いをしてるのはお前のせいだ!」って。もう、響きからしておかしいことに。

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【ストーリー】
連続少女誘拐殺人事件を捜査する刑事ミッキは容疑者ドロールに対し非道な取調べを行うが、その様子をネットに流されてしまい担当を外されてしまう。警察組織そのものの威信が揺らぎかねない事態を回避するため、ミッキは単独でドロールを追い詰め自白させようとするが、そこへ被害者の父親ギディが現れドロール共々拉致されてしまい…。

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『ザ・マッドネス 狂乱の森』のアハロン・ケシャレスとナヴォット・パプシャドとのコンビによるサスペンススリラー。
被害者の父親、事件を捜査する刑事、そして曖昧な目撃証言によって目をつけられた唯一の容疑者。その三者が、復讐や自己保身といった基本的に“自分の為だけ”に行動し、その結果どんどん常軌を逸していく様を描いた本作。それぞれの人物に対し同調や共感も出来なくはないが、その反面全員に対し嫌悪感も生まれる、観ている側の内側にある二面性をも同時にさらけ出していく様な人物描写や、“自分のためだけ”に動いたが為に“本来守るべき者”の存在が忘れられていく物語構成が非常に巧い。
また、情報として与えられる事件の概要や、直接的に描かれる拷問の様子などかなり血生臭いが、その一方で凄惨さが増すと同時にユーモラスさもが増していくという一風変わった味わいが印象的。状況が状況なだけに笑っていいのか迷うがやっぱり笑ってしまう、なんというか葬式中に笑いたくなるようなこの性質の悪いユーモアは案外好み。
事件としては若干疑問も残る描写が少なくはないが、“真実”を求めているようでいてそこは全く重要なテーマではないので問題はなし。ただし、重要ではないとは言え“嘘をついている”ってのは観客をミスリードする上で重要な仕掛けでもあるので、巧いことを言ってるようでいて全て台無しにしちゃってる邦題には難ありかと。

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悪いオオカミしか出てこない赤ずきん

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posted by たお at 09:16 | Comment(2) | TrackBack(10) | 前にも観たアレ■あ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントありがとうございます。
復讐に燃える姿は理解できましたが、あまりにも凄惨で、それを喜ぶ人々の姿を見ると、人間の心の奥に潜む残虐性を感じました。
おお怖い!
バレエのシーンですね。赤ずきんちゃんはいっぱいいいます。
Posted by ミス・マープル at 2015年06月30日 08:39
ミス・マープル様、こんにちはー!
大義名分として子供が存在しているだけで、あとは全て自分のためだけの復習ですからねぇ。敢えて笑いってのを強め、そこの馬鹿馬鹿しさと恐ろしさを強調したのは巧いなぁと。
Posted by たお at 2015年07月01日 06:37
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