2014年 インドネシア/アメリカ映画 146分 アクション 採点★★
感動的なストーリーや高い演技力、高尚なテーマなんかが必ずしも“良い映画”に必要な条件だとは思ってない私。作り手の撮りたい物やこだわった物と、受け手である観客の観たい物が合致して満足感を与えれば、もうそれは“良い映画”なんだろうなぁと。ひたすらカッコ良い銃撃戦を描きたかった『誘拐犯』や『シューテム・アップ』はその目的を達成していたから“良い映画”だし、トム・クルーズがハンサムだったらもうそれは最高のトム映画。その解釈をもうちょい広げてみれば、セガールが楽しそうであればそれは“良い映画”と言えるんじゃないのかと。あ、それは違うな。
【ストーリー】
地元マフィアへの潜入捜査を命じられた新人警官のラマは、マフィアのボス、バングンの息子ウチョに接近するために囚人として刑務所に潜入。ウチョの信用を得たラマは出所後バングンの下で働き始める。そんな中、なかなか認めてくれない父親に不満を持つウチョに、対抗組織のボス、ブジョが接近。やがてそれは日本のヤクザも絡む大抗争へと発展していき…。
殺す格闘技の怖さをまざまざと味あわせてくれた『ザ・レイド』の続編。前作同様、監督/脚本をギャレス・エヴァンスが手掛けたバイオレンスアクション。
最低限のストーリーと舞台設定により恐怖感すら覚える緊迫感が生まれていた前作とは打って変わり、物語を軸にアクションを動かす作風に変わった本作。ストーリーを強化したいって気持ちも分からなくもないし、その結果ランニングタイムが2時間半近くになっても構いやしないって意気込みも悪くはなし。しかしながら、その厚みを増したはずのストーリーがてんでダメ。
監獄パートはボスの息子に接近するって目的以外になんのドラマも生み出さず、組織に潜入したらしたで主人公は単なる傍観者に過ぎないので、これまた何にも生み出さない。“バレる/バレない”のサスペンスも、身分を隠しながらの友情もなにもない、ただの舞台設定にしか過ぎない。それなりに人物に動きを持たせてはいるのだが、物語に参加したての殺し屋に重たい役割を背負わせたりする唐突さがそこかしこに見られる、ストーリーの膨らませ不足も否めず。時間をたっぷり使ってるはずなのに、肝心な部分には使われていないチグハグさ。雰囲気だけはジョニー・トー映画のようなだけに、なんとももったいない。
まぁ、これでもアクションに対して良い影響を与えていれば文句もないんですけど、ダラダラしたドラマと同様に、やってる事は凄いはずなのに“長さ”ってのを感じてしまう悪影響を。
イコ・ウワイスをはじめ、前作でも強烈なインパクトを残したヤヤン・ルヒアンといった凄腕や、ジュリー・エステル“両手にハンマーを持った聾唖の女殺し屋”なんていう最高にオイシイ上に無残な顔の傷ひとつでわざわざ描かなくても背景が伺えるキャラクター、どんな役柄でも素にしか見えない松田龍平など逸材が揃っていただけに、これまたなんとももったいなかったなぁと。
ただこう不満だけ並べてはしまったが、静と動を巧みに使い分けて生み出した緊迫感や、カーアクションのシーンで見せるカメラワークなど今回も「おぉっ!?」と驚かされる演出を見せたギャレス・エヴァンスではあったので、製作がアナウンスされた第三弾に期待したいところで。
「普通の父親は返り血浴びて帰ってこないわよ!」って詰られるのもちょっと悪くないかも
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