2011年 アメリカ映画 91分 ホラー 採点★★
一時ほどの集中砲火はなくなりましたけど、いまだ青少年による凶悪犯罪が起きると「ゲームがぁ!ホラーがぁ!」と喚き立てる方々がおられますよねぇ。概ねそう言う方々ってのは、それらをチラ見した時に感じた嫌悪感のみを頼りに喚いてるだけなので、耳を傾ける価値がある意見とは思えないんですけど。ただまぁ、ホラーとゲームをこよなく愛する身としては全否定したい気もやまやまですが、そうとも言い切れない一面も。そりゃぁ、一日一歩も外に出ず誰とも接せず何十時間もゲームやホラーに興じてればおかしくもなるし、臨界点に達した精神状態であればそれらは切っ掛けにもなり得るだろうなぁと。ただ一番の問題は、そんな状況や精神状態を許し続けたり放置し続けたていた環境や社会にあるんじゃないのかと。このスイッチやツールの問題点にばかり目を向けてる状況ってのは、極端な話、殺人事件が起きるたびに包丁反対運動が起きるかのような馬鹿馬鹿しさとも言えるのでは。
【ストーリー】
ロンドンの地下駐車場で働くちょいとアレなマーティンは、DVDを繰り返し観て関連記事を集めたスクラップブックを自作するほど映画『ムカデ人間』の大ファン。「医学的にも可能なんだから自分にも出来る!」と妙な自信が芽生えた彼は、駐車場利用者を次々と拉致。ムカデ人間の主演女優もまんまと呼び寄せ、総勢12人による大ムカデ人間を作ろうとするのだったが…。
要は強制的にウ○コを食わせるシステムの話だった『ムカデ人間』の続編。監督/脚本はもちろんトム・シックス。
題材の割には遠慮がちだった前作から比べれば、断然好き放題やった感の強かった本作。前作の大ファンが凶行を繰り返すだけという前作に辛うじてあった物語ってのは消えうせ、ムカデ係は二桁超え。一言も台詞のないチビデブハゲの三冠王を主人公に据え、その汗と脂とあらゆる汁を画面一杯に映し出し、赤子を踏み潰し、下痢が飛ぶ。もう、生理的嫌悪感のみを叩きつけてきた野心作。
ただまぁ、相変わらず本物の変態の香りはせず。本物過ぎても確かに困りますが、なんと言うか「どうだ?オレのアンチモラルっぷりはどうだ?」とイキってるような印象。また、“前編モノクロ(パートカラー)”の“パートカラー”の部分がウ○コってのから察せられるように全力で笑かせに懸かっているようなんですけど、デヴィッド・リンチや悪趣味をこよなく愛する本物の方々が笑かせに懸かった時のような、追い詰められた末の引きつった笑いが出てくるような感覚はなく、やはり芸としてのアンチモラルが前に出ちゃってるためか、観ているこっちに浮かぶのはただただ苦笑い。なんかこう、アンチモラル芸人の先輩マリリン・マンソンのPVを観ているというか、器用な人が真似た丸尾末広風の漫画を読んでいるような感じがした一本で。
そんな小奇麗にまとまった悪趣味って感じの作品ではありましたが、主演のローレンス・R・ハーヴィーが発するホンモノ臭さは絶品。「あ、コレ見ちゃいけない人だ…」と本能的に感じてしまう、圧倒的な存在感。
チビデブハゲという見た目逆三冠王者の風貌の中に子供の純粋さと残酷さを詰め込み、尚且つ見たまんまの悪意までも兼ね備えた、まさに本作の主人公としては最高のキャラクター。これを生み出せたって事に関しては、素直にアッパレと。
ただただ気持ちが悪いだけではなく、慣れてくると愛らしく見えてくるって一面も。
夢の大ムカデ人間作りの為にせっせと材料を集め、繋げる順番やらを「むふーむふー」と楽しそうに思案するマーティン。ただ如何せんDVDで観ただけなので頭の中での予定図とは異なり、力加減なり工具での無茶な手術の影響で材料が死んじゃうと「むふー!」と怒るマーティン。怒りたいのはオマエじゃないと思いますが。結局ホチキスとダクトテープという万能道具で無理やりムカデ化に成功させるも、別に消化器官云々といった学術的な興味があるわけじゃなく、ただただウ○コチェーンを実践したいだけなので下剤投入。それで満足したのか、「むふー」とムラムラするマーティン。
そんな様を(電気棒かなんかで)仕込まれた芸を実践する動物のようにたどたどしく演じるローレンス・R・ハーヴィーに、なにか新しいホラーアイコンが生まれた瞬間を見させられた感じもしたので、★ひとつオマケで。
マーイムマーイム
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
このぽっちゃりさんったら、ド変態ですよね。
それが全て外見に出ているという圧倒的な存在感。
次は見ちゃダメ、と思いながらきっと見るのだろうね。
一応控えめな方の画像を選んだつもりだったんですが^^;
にしても、すげぇ奴を見つけてきたなぁと。
この“発見”だけは評価できるのでは。