2014年 アメリカ映画 117分 コメディ 採点★★★
結婚っていう一大イベントを前にして「ホントにこの人で良いのかしら?」っていう女性の不安と、夢を追うことも捨てることも出来ない男のジレンマと自分への自身の無さを描いてた『ウェディング・シンガー』にしても、短期記憶喪失障害の女性に対し何度も最初のデートを繰り返し愛を育もうとする『50回目のファースト・キス』にしても、アダム・サンドラーとドリュー・バリモアのコンビ作品って、ラブコメディにしては重過ぎる題材を笑いに昇華させつつシットリと締め括る見事な作品ばかり。そんなのが二度続いたんだから、ファンとしては否応がなしに三度目もあると期待しちゃいますよねぇ。
【ストーリー】
互いに一人親であるジムとローレンは知人を介しお見合いデートをするが、印象最悪のままデートを終える。二度と会うつもりは無かった二人であったが、ひょんなことから行けることとなったゴージャスなアフリカ旅行で鉢合わせし、ひとつの家族として一週間過ごす羽目となり…。
三度目の顔合わせとなる、『ウソツキは結婚のはじまり』のアダム・サンドラーと『ローラーガールズ・ダイアリー』のドリュー・バリモアによるラブコメディ。アダム作品でお馴染み『闘魂先生 Mr.ネバーギブアップ』のフランク・コラチがメガホンを。
一人親の家族同士が互いに足りない部分を補い合い、一つの大きな家族へとブレンドされていく様を全編安定した調子で描いた本作。「この顔ぶれ、この監督であればまぁこうだろう」という事前に抱く最低限の信頼感は守ってくれる安心印はさすが。
ただまぁ、全体を通して安全運転過ぎる印象があるのも確か。子持ちでの恋愛の難しさをベースに、父親・母親の役割、子供たちの成長などなど、一人親のみならず家族が直面する問題や課題の数々を題材として盛り込んでいるが、いささか盛り込み過ぎたのかその全てにソフトタッチする程度で終わっている感が強し。その平等ソフトタッチのおかげで、浮気男と別れたヒロインと最愛の妻と死別した主人公、父親が構ってくれないから寂しい息子と見えない亡き母と語り続ける娘といった、明らかに重さの違う境遇ですら同じように扱う、平等がかえってバランスを悪くしている印象も。
また、その“重さ”ってのを消化し切れなかった為なのか、対極にある“笑い”も全体的に低空飛行。面白いことは面白いのだが、非常に単発的な笑いの詰め合わせって感じ。アフリカってのが然程効いていないってのも残念で。
そんな不満も多かった作品ではありましたが、中盤までの低空飛行っぷりを終盤で一気に取り戻していたってのも事実。それもこれも、アダムとドリューのコンビネーションの素晴らしさ故かと。正反対の方向を向きながらも最後は一つにまとまっていく様を自然に描けたのも、この二人の相性の良さと個性のブレンド具合の絶妙さからでは。作品のタイトルはまさにこの二人の事を言い表していたのではと思えるほどのコンビ芸を堪能。
この二人以外にも、ジェシカ・チャスティンの少女時代を見ているかのようだったベラ・ソーンを筆頭とした子役たちも魅力的であったし、アフリカってのを一人で背負わされていた『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』の筋肉芸人テリー・クルーズの強烈過ぎる存在感、隅々に出ているだけではなくエンディング曲まで披露するサンドラー一族など見所も豊富。
また、町の名前が『ウェディング・シンガー』と同じであったり、アダム作品でお馴染みのアレン・コヴァートが『50回目のファースト・キス』に続いて10秒毎に自己紹介するトム役出ていたり、『ウェディング・シンガー』ではジョージだったアレクシス・アークエットがジョージーナって役名で出ていたりと、過去作のファンにとっては嬉しい仕掛けが多かったってのも踏まえて★ひとつオマケ。子供の成長っぷりに驚愕するたびにR.E.M.の“世界の終わる日”が流れるベタさ具合も好きでしたし。
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