1993年 アメリカ映画 88分 コメディ 採点★★★★
最初の子である長女が産まれた時、仕事の都合で県外に居た私。「やっとこ産まれた!」との連絡をその日の夜に受け、翌朝一番の列車に飛び乗り5時間ほど掛け病院に到着。「どんな子なんだろう?」「やっぱ、対面したら感動しちゃうんだろうなぁ」とか色々思いを巡らせながら病室へ行くと、女房の隣に寝ていたのは難産による吸引分娩により妙に頭の伸びた赤ん坊。「なんだい?このコーンヘッズはなんなんだい?」ってのが、わが子に対して思った第一印象で。
【ストーリー】
遠く離れたレミュラク星から地球征服のためにやって来るも、宇宙船の故障により母星からの救助が来るまでの間地球で過ごす羽目となったベルダーとプライマットの夫婦。やがて愛娘コニーも生まれ幸せなアメリカ市民として地球生活を満喫していたが、移民局によって目を付けられ…。
サタデーナイト・ライブ初期の人気スキットを、生みの親である『大逆転』のダン・エイクロイド自ら脚本を書き、SF絡みの仕事が多いスティーヴ・バロンが映像化したコメディ。製作はもちろんSNLの父ローン・マイケルズ。
元のスキットで描かれていた設定を巧みに盛り込み持ち味を生かしつつ、一本の劇場映画にスケールアップさせた正に“ザ・ムービー”な本作。徹底したホームコメディスタイルで描きながら、そこに見た目からして異物のコーンヘッズ一家を放り込むことで、異文化から見たアメリカや移民に対するの現状を皮肉りながら笑い飛ばす一本に仕上がっている。
また、客観的に外側から眺めているスノッブな笑いだけではなく、思春期の娘を持つ親の戸惑いや、倦怠期を迎えた夫婦の関係など等身大の題材をも描いているので、確かに元ネタを知ってるかどうかが楽しめるポイントの大部分を占めている作品でありながらも、初見の方でも“なんか宇宙人が地球で奮闘する映画”としてそれなりに楽しめる作品に仕上がっている。
もちろん元ネタを知っていた方が、全シーンで爆笑出来るほど圧倒的に楽しめるのも事実。そういう意味では誰にでも楽しめるフェアな作品じゃないかも知れないので、本作を手にとる前に動画サイトなんかを漁って元のスケッチを見ておくのも手かと。それが笑えなかったら、まぁ向き不向きってことで。
そういえば、ポール・サイモンの“僕のコダクローム”や、a−haのモートン・ハルケットによる“君の瞳に恋してる”のカバーなどが流れるサントラも結構好みだった本作。特にソフト・セルの“汚れなき愛”を耳にすると、今でもついついベルダー版の合いの手「エ゛ッ!エ゛ッ!」を口にしちゃうほど印象的で。
ダン・エイクロイドに『40男のバージンロード』のジェーン・カーティンという、オリジナルメンバーが主演した本作。さすがにコニー役は『バッド・チューニング』のミシェル・バークに代わったが、ラレイン・ニューマンももちろん登場。この主演二人による、言葉選びからトーン、リズムに細かな動作全てに至るまで名人芸の域に達したコーン劇が素晴らしいの一言。特に良妻賢母としてダン・エイクロイドの後ろに回りながらも、随所で爆発力満点の笑いを生み出すジェーン・カーティンが見事。ナスだけであそこまで笑わせてくれる人も、そうそう居ない。
また、『ジャックとジル』のアダム・サンドラーや、ジョン・ベルーシに強い憧れを持っていただけにダンとの共演姿を見るとなんか感慨深いクリス・ファーレイ、『がんばれ!ベンチウォーマーズ』のデヴィッド・スペード、『リトル★ニッキー』のジョン・ロヴィッツ、初代メンバーのギャレット・モリスといった、それこそいちいち名前を挙げていたらきりがないほどの数のSNL組が顔を出しているのも魅力。80〜90年代SNLオールスターって感じ。まぁ、大体お馴染みの顔ぶれなので衝撃度はないんですけど、ここまで揃うと有難味は大きい。
それにしても、エピソードから音楽パートまで全てを収録した“サタデー・ナイト・ライブ コンプリート・ファースト・シーズン”が2008年に発売されてから、このコーンヘッズも登場するセカンド・シーズンの発売を7年間待ち続けてるんですけど、やっぱり日本版は出ないんですかねぇ。確かに爆発的に売れるタイトルとは思えないので仕方がないんでしょうけど、字幕があると一家で楽しめて良いんですよねぇ。
国も星も家族の集合体
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