2013年 アメリカ/イギリス映画 119分 SF 採点★★★
ハリウッド映画が続編やリメイクに埋め尽くされてるってのは今に始まったことではないんですが、最近はそこにリブートやらリ・イマジネーションとやらの平たく言えば「まぁまぁ、前のはなかったことにして」って作品が増えてきましたよねぇ。面白くなってれば別に良いんですけど、得てして前の作品から大して年月が経ってなかったりもするので、映画を完成させる意味というか重みってのが随分と薄くなってきたなぁって気も。
【ストーリー】
ネクロモンガー族の頂点に立つも、策略により荒れ果てた名も無き惑星に置き去りにされた、宇宙一のお尋ね者リディック。苛酷な環境を生き抜き無人シェルターまで辿り着いたリディックは、非常用ビーコン発信し賞金稼ぎをその惑星に呼び寄せる。一方、その惑星にある出来事が迫っており…。
前作『リディック』から9年振りとなる、銀河最凶の男リディックの活躍を描くシリーズ第3弾。このキャラクターが大のお気に入りというヴィン・ディーゼルが製作を務め、メガホンを握るのはシリーズの生み&育ての親である『パーフェクト・ゲッタウェイ』のデヴィッド・トゥーヒー。
続編というよりは一作目『ピッチブラック』のリブート的趣の強い本作。それならそれでのんびりと楽しめそうだが、9年前の前作から物語は続き、中盤以降の本筋はフラッシュバックすら入らない13年前の一作目からの因縁話で展開するという、こちらの記憶力が試されてしまう油断できない一本。作り手は思い入れが強いんでしょうから13年なんてどうってことないんでしょうが、こっちはそうでもないんだよっていう観客と作り手との間の温度差が如実に出てしまう結果に。
とは言え、子供の頃見聞きしたSF冒険譚を思い起こさせるとにかく乱暴な惑星に、そこに棲む宇宙ディンゴやらトカゲとサソリが合体したっぽい宇宙リザルピオン(勝手に命名)など、ワクワク要素は豊富。また、リディックのダークヒーローとしてのキャラクター像も完成されているので、時に凶悪で時に頼もしく、レズビアンすら惚れてしまうっていうワンパクにも程がある魅力を堪能できる仕上がりになってるのも嬉しい。
関わりたくなかった『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』に出ることを交換条件にしてまで、リディックの権利を手に入れたヴィン・ディーゼル。その思い入れの強さと、本作がとりあえず興行的に成功の部類に入った結果も踏まえ、今後本格的にシリーズが始動してくれたらいいなぁと思わせてくれた一本でも。
ヴィン・ディーゼルと言えば、『トリプルX』のザンダー・ケイジに『ワイルド・スピード』のドミニク・トレット、そしてリディック。方向性はほぼ一緒とは言え、これだけハマリ役とヒット作が連続したスターってのもそうそういないですよねぇ。「オレはもうちょっと違うことがやりたいんだ!」と、それらの続編をことごとく蹴り続けたスターってのもそうそういませんが。
ただ、今回は最も思い入れのある役柄リディック。凄みや漢っぷりをこれでもかってほど発揮するだけではなく、宇宙ディンゴと「アハハーウフフー」と戯れてみたりするお茶目な一面も見せたりもして、完成されてるキャラクターに更に磨きをかける好演。額には皺が増え、モチモチ感も若干増してた今回のヴィンではありましたが、是非とも一生リディックしていただきたいと切に願う限りで。
その他、前作から『スター・トレック』のカール・アーバン、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でも共演しているデイヴ・バウティスタ、『コロンビアーナ』のジョルディ・モリャ、『ザ・ホスト 美しき侵略者』のボキーム・ウッドバインらが共演。なかなかの顔ぶれが揃ってはいるんですけど、如何せんリディックの存在感がでか過ぎるので、それ以外で一番印象に残るのがあっという間に成長しちゃうリディックの忠犬だけなんですけど。
ペットからして猛獣
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強いだけの、人を寄せ付けないような孤高の犯罪者だったら、ここまで魅力的なキャラにはならなかったですよね。
お茶目な一面も含めて、人好きのする悪い奴“リディック”の魅力!
是非これからも“リディック”でいて頂きたいと、哀生龍も思います♪
“頼りになる男”と“始末に負えない男”のバランスが見事なんですよねぇ。劇画的アウトローのお手本。