2012年 イギリス/アメリカ/アイルランド映画 118分 ドラマ 採点★★★
私には兄妹程度にしか歳の離れていない姪っ子がおりまして。で、この辺の田舎では特に珍しくもない話なんですが、若いうちにそこらのボンクラと結婚し娘を出産、早々に離婚してそっから10年以上シングルマザーに。しかも早いうちに両親を病気で亡くし、父方一族はばたばたと不幸が重なりほぼ消滅。母方(私の実家)とも、母親(私の姉)の結婚に関する遺恨が呆れ返るほどまだ残っているようで疎遠状態。唯一絡む血族が私ら夫婦のみという過酷な状況のせいか、母娘の繋がりがまぁ濃いったら。「一卵性の双子か?」ってほど濃い。この調子じゃ、子供が嫁に行ったら姪は死んじゃうんじゃないかとちょい心配。まぁ私自身も、自分の娘が嫁に行く時よりも泣いちゃうんじゃないかと心配なんですけど。だって、可愛いんですもの姪の子が。

【ストーリー】
寂れた海辺の町へとやって来た、可憐な少女エレノアと妖美な女クララ。彼女らは200年の時を生きるバンパイアの母娘であった。奔放に生きるクララは町で出会った冴えない男が所有する古ホテル“ビザンチウム”に転がり込み、そこを瞬く間に娼館へと変えてしまう。一方のエレノアは、白血病で余命幾許もない青年と出会い恋に落ちる。そんな二人を、謎の男たちが追ってきて…。

モイラ・バフィーニによる戯曲を、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のニール・ジョーダンが映像化した、母娘の愛憎と壮絶な過去を描き出すホラードラマ。
永遠の命と引き換えに時の流れを失ったバンパイアの薄れることのない記憶の如く、過去と現在を幻想的に織り交ぜて描いた本作。過去の過ちから娘を守りたいが故にその過去と宿命から目を逸らし続ける母と、その母の愛に包まれながらも重荷に感じ始める娘。そんな二人の200年越しの親離れ/子離れを丹念に描き出した本作には、ここしばらく元気のなかったニール・ジョーダンの“らしさ”ってのが垣間見えて嬉しかった一本。
確かに、タブーにソフトタッチしながらエロスを醸し出すような湿気は感じられないし、良家の男子しか受け入れないバンパイアの“同盟”なんて、向こうから「掘って下さい!」と言ってるような題材にもほぼ無関心。しかしながら、生存本能のまま動く母と、死に行く者に対する最期の慈悲として吸血を行う娘の対比と、その母娘の心の動きを繊細に描き出す語り口、伝統を踏まえながらも新しい吸血鬼像など見るべきポイントが多いのも事実。社会的マイノリティの姿ってのもちゃんと描けてましたし。ちょっとまた映画から遠ざかってるニール・ジョーダンではありますが、次回作に期待が高まる一本でも。

やはりなんと言っても、『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』『ラブリーボーン』のシアーシャ・ローナンが素晴らしい。端から私がメロメロだってのも大きいんですが、“永遠の16歳”且つ“繊細な吸血鬼”ってのを持ち前の幻想的な佇まいとおぼろげさで見事にモノにしていたなぁと。おぼろげなのに圧倒的な存在感。また、赤いフードというか赤頭巾姿もピッタリで、是非とも『狼の血族を』彼女主演でセルフリメイクして欲しいと思ったほど。これまでの作品もそうだったんですが、本作でも多用される彼女の囁き声によるナレーションの心地よいのなんのって。こんなのが玄関先に立っててあの声で囁かれたら、吸血鬼だって知っててもドア開けちゃう。で、咬まれる。遠のく意識の中で、「ま、いっか」って思う。きっとそう。
一方の母親役には、『アリス・クリードの失踪』『タイタンの戦い』のジェマ・アータートンが。『007/慰めの報酬』で観た時は「なんか下品なボンドガールだなぁ…」と思ったものですが、その品の無さが「女手ひとつで育ててます!なにか?」ってな強さと必死さを感じさせる好演。
その他、吸血鬼ものの少女マンガに出てきそうな感じだった『ロシアン・ルーレット』のサム・ライリーや、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』のケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、「あれ?この人も招かれないと家に入れない人なの?」と思わせるもそれだけだった『ワルキューレ』のトム・ホランダーらが共演。
ところで、このトム・ホランダー。本作のほか、『ハンナ』『ザ・マペッツ2/ワールド・ツアー』とシアーシャとの共演が続いてますが、なに?バーターなの?

頼んだプレイが思ってたのとちょっと違う
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ストーリーは中盤まではやや眠くなるような静かなものでしたが、終盤一気に盛り上がります。
どこまでも寒そうなイギリスの天候でしたね。
基本的にシアーシャを愛でる作品として楽しんでたんですが、彼女の透明感とアイルランドの風景のマッチぷりも見事でしたねぇ。
シアーシャちゃんのハマリ役ですね。
はかなげな感じがとっても良かったです。
ずっと“永遠の16歳”でいてほしい〜
ジェマの荒々しさとの対比もまた効いてたんでしょうねぇ。本人はもうちょっと大人になりたいんでしょうけど、まだしばらく16歳でいてもらいたいもので。