2011年 アメリカ/カナダ映画 86分 SF 採点★★
実家の自分の部屋から出てきた中学時代の愛読書“人類は地球人だけではなかった”を、最近になってまた読み耽っている私。如何せん元ネタがフェイクドキュメンタリーの傑作『第三の選択』なもんで読み返すとだいぶアレな内容なんですが、アポロやジェミニ計画の宇宙飛行士が目撃した怪異を管制官に伝えるやりとりの緊迫感は、この歳になってもワクワクする仕上がり。矢追純一の文才って、案外侮れないんですねぇ。

【ストーリー】
公式には17号で終了していたはずのアポロ計画であったが、偶然見つかった映像には存在しないはずのアポロ18号によるミッションが映っており…。

『オープン・グレイヴ 感染』のゴンサーロ・ロペス=ガイェゴによるSFホラー風味のフェイクドキュメンタリー。『ナイト・ウォッチ/NOCHNOI DOZOR』のティムール・ベクマンベトフが製作を務め、主演には『沈黙の宿命 TRUE JUSTICE PART1』のウォーレン・クリスティーが。
“極秘裏にアポロ18号がぁ!”“月になんかいる!”“国家による隠蔽!”と大好物がてんこ盛りなのにも関わらず、ビックリするほど面白くない。満腹の時でさえアンコ餅の3つや4つ軽く平らげられるのに、この作品はさっぱり喉を通らない。ファウンド・フッテージの形式は臨場感や緊迫感を高めるってよりは低予算っぷりを際立たせるのみで、ドキュメンタリー風味で陰謀の全体像を見せていないとは言っても“何かいた→死んだ”だけで終わる物語はお粗末極まりなし。そもそもドキュメンタリーにしろモキュメンタリーにしろ、映像素材を組み立ててテーマなり主張なり物語を形成しなきゃならないのに、本作はホントただただ「なんかいたねー、怖いねー」って言ってるだけ。
また、計画する側がそこに何かがいることを知って送り出したのかどうかすら定かじゃない。たぶん知ってるっぽいんですけど、それにしては「感染したから戻ってこなくていいからネ」はあまりに乱暴。「一体何がしたいの?」と。細菌だか月ヤドカリだか分かりませんが、宇宙飛行士がどうのこうのよりそっちを持ち帰る方が大事なんじゃないのか?
まぁ、不満だらけの作品ではありましたけど、きっとこの後なんとかして地球に帰還した宇宙飛行士が、細菌により顔をドロドロに溶かしながら田舎町で数人殺して歩くんだろうなぁ、ってなちょっと楽しい妄想も出来たので★一つオマケで。

月の影が蟹に見える国もありますしねぇ
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓


ですね〜、存在しないはずの18号計画・見つかったテープと如何にも美味しそうなエサに釣られて見ちゃいました。
いないはずの人影・監視カメラと置き換えると、まんま「おわかりいただけただろうか」シリーズになるんですよね〜。ただアチラの方が一本の尺が短いし、何話も入っているみたいなもんなんでお得てますよね。
子供の頃、大して欲しくもない食玩を必死で親を説得して買ってもらい、帰って箱を開けて組み立てたら、やっぱり大して欲しくなかったと落ち込んだのを思い出しました。あの頃も今も、中身は変わっていないんだなぁ(泣)
それが本質なんだろうと思ってるんですけど、映画の良し悪しって“嘘の巧さ/下手さ”なんですよねぇ。
で、これは嘘が下手。端から信じさせようとすらしておらず、面白そうなネタだからってそのまんま出しただけなんですよねぇ。ちゃんと調理してよと。
こっちは騙される気満々なんですから。