2012年 アメリカ映画 105分 コメディ 採点★★★★
“一発当てる”って夢ですよねぇ。妻もよくソファーと一体化している私に「何かやって一発当てなよ!クリスマスソングとか作ればいいんじゃない?」とか言ってきますが、「ハッピバ〜スデ〜ジ〜ザ〜ス♪」くらいしか浮かばない私に何を言ってるのやら。“一発当てる”って、目的に向かって努力して苦労して負け続けてきた状況が、ある事柄で大逆転することだと思ってるので、私自身そのスタート地点にすら立っていないと思いますし。でもまぁ、夢ではありますよねぇ。そういう夢を持つのは良い事だなぁと。ただ、お金を消費しているだけのギャンブル中毒が言うのは、ちょっと違うんじゃないのかなぁとも思いますけど。
【ストーリー】
かつては最優秀教師にも選ばれるも、今ではその熱意を全て失いだらだらと日々を過ごす公立高校の生物教師スコット。そんなある日、学校の経営難により音楽活動の廃止と顧問のマーティの解雇を知ったスコットは、怒りのあまりつい自分が5万ドル近くの大金を集めると言い放ってしまう。もちろん案など何も浮かばないスコットだったが、ひょんなことで観た総合格闘技の試合で負けても大金が手に入ることを知り…。
アダム・サンドラーのハッピー・マディソンが贈る、『Mr.ズーキーパーの婚活動物園』『もしも昨日が選べたら』のフランク・コラチ監督による闘魂コメディ。主演のケヴィン・ジェームズが製作と脚本も。
「教師が流行の総合格闘技をやる、イロモノコメディでしょ?」と思われそうだが、全くそんなことはない本作。確かにケヴィン・ジェームズがリングに立つ違和感が笑いの重要要素であるし、「負けても大金貰えんならいいんじゃね?」と志も著しく低い。しかし、その低い志ですら叶えるためにすら大きな努力と苦労が必要な様をしっかりと描いているし、主人公はそれを貫き通す。こう見えて王道のど真ん中を突き進む痛快作に仕上がっていた一本。今回も含め複数回鑑賞しているんですけど、その都度面白さに変わりがないのもこの“ど真ん中”故かと。
また、生徒たちとの交流はもちろんのこと、予算削減が教育現場にまで侵食し学びの機会すら失われつつある現状や、多民族国家であるというアメリカの基本を物語に盛り込み、それらが最後までストーリーに絡み続ける脚本の巧みさや、映画栄えを施しながらも思いのほかしっかりしていた試合描写など、テーマや題材を粗末にしない製作姿勢も好感度高し。これらがしっかりしているからこそクライマックスに興奮し、負けることから勝つことへと目標が変わる様に感動を覚える仕上がりになったのでは。
主人公のスコットに扮したのは、『チャックとラリー おかしな偽装結婚!?』『アダルトボーイズ青春白書』のケヴィン・ジェームズ。太めのコメディアンというと“いい人”っぷりを全面に打ち出すことが多い気もするんですが、彼の場合は“でも実はいい人”ってな控えめ具合。程よくゲスで、程よく善人。それが役柄の幅や物語の幅に繋がるんですけど、本作でもそこが抜群。ぐうたらから熱血への変移も、低い志とその一貫性も、彼だからこそのハマり具合。アダム・サンドラー絡みの役者の中では、ずば抜けた巧さってのを持ってるよなぁと。
また、ここ最近アダム映画の常連と化してきた『フロム・ダスク・ティル・ドーン』『ダイヤモンド・イン・パラダイス』のサルマ・ハエックや、これまた常連である『リトル★ニッキー』のヘンリー・ウィンクラー、実兄でケヴィン作品にもれなく付いてくるゲイリー・バレンタインなど、安心印のキャスティングも魅力。
もちろん題材が題材なだけに、ケヴィンとの絡みも多いバス・ルッテンやクシシュトフ・ソシンスキー、ヴァンダレイ・シウバにマーク・デラグロッテ、石井慧などなど本物の方々も登場。
それにしても、数年前に予告編を見た時から日本での劇場公開は諦めてましたが、やっぱりこういった誰にでも楽しめる作品の鑑賞機会を著しく減らしてしまっている現状は納得いかないですよねぇ。洋画の場合は字幕と吹替えでスクリーンを二つ使うって問題と、メジャーな人が出てないと人が来ないってのもあるんでしょうが、少なくても後者に関しては宣伝する側の努力次第じゃないのと。まぁ、いつもの愚痴なんですけどね。
棚からぼた餅が落ちてくるのを待ってるくらいなら作ったほうが早い
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
ケヴィン・ジェームズ好き!!アダムスファミリー随一の技巧派、と言ったイメージです。
単にB級コメディって上っ面だけじゃなく、
こう見えて、結構身体作り込んで来てる=映画愛って事をもっと日本の配給会社には汲み取って欲しかったですね。あなた達の売り込み方次第なんですよ。
最後の一文に激しく同意します!!
ヴァンダレイ・シウバは、強かった(°_°)
この邦題何とかならなかったのかなぁ´д` ;
ヘタな韓流のラブコメみたいだ、と言うと韓流ファンの方々に失礼ですが。
もうコメディは劇場で観る事はないんだろうなぁと諦めてはいるんですけど、こういうことをやってるから業界全体が衰退して行ってるって現状にはもうちょっと大声で騒いだほうがいいかなぁと思うことも。
まぁ、この邦題は最近にしてはまだ工夫した形跡が伺える方かなぁとも。