2013年 アメリカ/スイス映画 125分 SF 採点★★
「大きくなったらマーガレットやらニコラやらを読んだり、どこぞのアイドルなんかを追っかけて、お父さんなんかとは分かり合えなくなるんだろうなぁ…」と寂しく思ったりもした娘も、縦に横にすくすく育ち今では立派な中学生に。で、実際どうなったかといえば、コミックジーンとやらを愛読し、ウォークマンにはボーカロイドやら“〜歌ってみた”とやらがみっちみちに。これはこれで分かり合えないことに違いないが、なんか釈然とせず。
【ストーリー】
宇宙からやって来た知的生命体“ソウル”にほとんどの人類は寄生され、飢餓や犯罪はなくなり、秩序が保たれ礼儀正しい世界となった地球。数少ない人間たちは潜伏し反撃の機会を伺っていたが、劣勢を強いられていた。その中の一人の少女メラニーも抵抗敢え無く寄生されてしまうが、彼女の意思は消えず一つの体に魂が二つ存在することに…。
“トワイライト”シリーズのステファニー・メイヤーによる原作を、『ロード・オブ・ウォー』のアンドリュー・ニコルが監督・脚本を務めて映画化したSFラブロマンス。原作者の名前に大きな不安を感じたが、『ガタカ』の監督だから大丈夫だろうとたかをくくった私が悪かった。
無味無臭と化した世界と人間性の対比とか、人間の多面性や本音と建前的なものをえぐって描かれてるのかと思いきや、それっぽいのは冒頭のみで残りは「愛してるわー!」「愛してるよー!」「やっぱ愛っすね!」と“愛”の大バーゲン開催。感情表現は台詞で済ませ、人物像ってのもありそうで全くないペラッペラさ。
じゃぁ“一つの体に二つの魂”ってのが巧く活かされてるかというと、これがまた全然。特に人格的違いのない二つの心は「私はこの人が好きー!」「いやいや、私はこの人が好きー!」と恋愛事情を面倒臭くする為だけに機能し、それも結局「中身が大事ー!」「そうよ愛よ!」「愛っすね!」で解決する愛の大安売り。結局「私は一体何を観させられてるんだろ?」との疑問だけが頭を廻り続ける2時間ちょいに。隙さえあればキスしてるだけですし。
ただまぁ、いい歳したオッサンが少女マンガを読んで「つまらん!」と憤慨したり、アイドルのコンサートに行って「音楽とはなぁ…」とうんちくを垂れる行為の無意味さ同様、こればっかりは観た私が悪いとしか。そもそものマーケットが違うんでしょうし。
主人公に扮したのは、『ラブリーボーン』『ハンナ』のシアーシャ・ローナン。ある種かつてのジェニファー・コネリー同様に撮り手を狂わせアレコレやらせたくなってしまう魔性の持ち主なのか、背景が現実離れすればする程映えるそのファンタジー顔がそうさせるのかは不明なんですが、今回も青天の荒野に一人立ち尽くしたり、額に惨い傷を付けながらも凛とした表情でカメラを見据えたりと、その彼女の持ち味を存分すぎるほど発揮。そんなシアーシャ・ローナンが観たいってのが本作を手に取った動機のほとんどなので、そういう意味では特に不満はなし。まぁ、画像を見てるだけでも事足りるんですけど。
その他、『アイ・アム・ナンバー4』のジェイク・アベルやら、ジェレミー・アイアンズの倅マックスやらといったトワイライト面した精子の薄そうな若手が出ているが、「なんか雑誌の表紙みたいだなぁ…」って以外は特に心に残らず。
ただ、『ラスト3デイズ 〜すべて彼女のために〜』『アンノウン』のダイアン・クルーガーや、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』『ロビン・フッド』のウィリアム・ハート、ただ居ただけだった感もある『告発のとき』のフランシス・フィッシャーら実力者勢が、その薄い若手と中身を補う好演を。特にウィリアム・ハートの深く優しい声がそのまま役柄となったかのような叔父役は印象的。
そう言えば、シアーシャの中からチンチクリンなのが出てきて驚いた『エンジェル ウォーズ』のエミリー・ブラウニングや、『デビル』のボキーム・ウッドバインもちょろりと出てくるが、カメオ的な嬉しさは特になかったなぁと。
女子高の学園祭の出し物を見せられてるが如く
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シアーシャ・ローナンとグレース・モレッツはついつい見てしまう不思議な魅力がありますが、出演する映画の選び方に毎回ハラハラさせられますね(笑)
ガタカは今見ても面白いです。なんか、手塚治の漫画を実写化したらこんな風になるのかなという感じで。
何にでもブチ込まれてる感の強いモレッツと比べると、シアーシャは自分の縄張りってのを確立してるような感じもしますねぇ。ただ、その縄張りは他の人が近づこうとしないジャンルでもあるんですけど。最近のジュリアン・ムーア的な^^;
確かに。それにしても、「最近のジュリアン・ムーア的な」は言い得て妙、ですね。
たおさんのそういう発想がサブタレの醍醐味のひとつなんだと思います(笑)
暴言にならないよう気をつけつつも、ついつい思ったことをそのまんま^^;