1984年 アメリカ映画 113分 SF 採点★★★★
太陽系の惑星では木星と土星が大好きな私。もう、堪らなく好き。あの呆れるほどの巨大さもさることながら、異様な色彩に覆われた模様にも目を奪われるんですよね。で、ただでさえ好きな木星と土星だっていうのに、以前見たTV番組で、地球が太陽という巨大な星の引力によって軌道を狂わされることなく生命が存在するに適した距離を保ち続けていられるのは、外側にある木星と土星という巨大な惑星の引力によるものであり、また、太陽系外からやって来る隕石によって壊滅的なダメージを負う事がなかったのも、地球に隕石が到達する以前に木星と土星がブロックしていたからだと。ありがとー木星!ありがとー土星!
【ストーリー】
米ソ間の緊張が極限まで高まり一触即発の状態に陥った2010年。9年前に木星の衛星イオで巨大なモノリスに遭遇し、原因不明のまま帰還することのなかった宇宙船ディスカバリー号の下へソ連の宇宙船レオーノフ号が旅立つことになり、9年前の計画の最高責任者であったアメリカ人科学者フロイド博士も乗船することに。イオ上空に辿り着いた彼らは、木星上で起きたある“素晴らしい出来事”を目撃することになる。
大まかにかいつまめば、人類を猿から人間へと進化させたのは神さまなんかじゃなくて高度に進化した宇宙人で、その宇宙人から「次の段階に進化させたるから、ちょっくら木星まで来いや」と呼び出しを食らうって話だった『2001年宇宙の旅』。その物語を分かりやすくする為の描写を全て省き、「想像を超えるものは想像できない」と神の如く進化した宇宙人の姿を真っ黒い板っぺらにした結果、「難解だ!」「神秘的だ!」「哲学的だ!」「LSDキメながら観るとスゲー効く!」と大評判に。そんな“新しい宗教の聖書”の様相すらみせる『2001年宇宙の旅』の続編を作るなんて、並大抵のプレッシャーじゃなかったはず。どう転んでも失敗作にしかなりえなさそうだった本作だが、これがまた面白い。
地球上での緊迫関係を狭い宇宙船内に反映させ、緊張・対立・和解の人物間の心の動きが物語に一層の膨らみと人間味を与え、アクションやSFで切れ味のいい演出を見せていたピーター・ハイアムズの絶頂期なだけあって、作品全体のテンポも迫力も申し分なし。とても『サウンド・オブ・サンダー』を撮っちゃった監督とは思えず。
そういえば、この頃ポリスのアンディ・サマーズが“ツァラトゥストラはかく語りき”を何とも微妙なバージョンでリリースしたような記憶もあるが、まぁいつも通り曖昧ですねぇ。
渋味がピークに達していた“似顔絵を描くならまずは横顔”のロイ・シャイダーや、女王芸で一躍脚光を浴びたヘレン・ミレン、“性転換したフットボール選手”や“多重人格者”など強烈なインパクトを放つ役柄が多いものの、わたし個人的に一番好きな出演作が『ハリーとヘンダスン一家』であるジョン・リスゴーら俳優陣も実力派揃いであるが、本作の主役はやっぱりHAL9000と木星。自らの使命と運命を悟ったHAL9000がとる行動は非常に人間的で、“恐怖”を知った高度に進化したコンピューターも新たなステップへ迎えられる結末は感動的ですらある。また、新たな太陽としてこれから生まれる生命を育む役割を担う木星の姿に息を呑む。
“木星が太陽に”と言えば真っ先に本作を思い出したいものだが、どういうわけか真っ先に思い出すのが、宇宙ステーションで白装束の新興宗教の信者がデモやって暴れたり、三浦友和が無重力セックスしたりする『さよならジュピター』だったりも。真っ先に忘れたい映画なのに。
相変らず放り投げられっぱなしの謎も多いですが
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
人気blogランキングへ