ちょっとした考え方や行動など、些細な事ながらも完全に男性とは違う女性のそれにもの凄く惹かれるし、だからこそ女性は好きなんですが、その絶対相容れない違いが堪らなく嫌だったり怖かったりすることも多いんですよねぇ。実際怖い思いもしちゃいましたし…。
『カタカタ』
監督 雨宮慶太 主演 中越典子 評価★★
【ストーリー】
前妻と離婚したばかりの婚約者と会った帰り道、OLの加奈子は暗い夜道のどこからともなく聞こえる“カタカタカタ…”という物音に気付く。その瞬間、包丁を持った異形の女が現れ…。
オムニバスの第一話を飾るに相応しいストレートな恐怖劇なのではあるが、あまりに直球ど真ん中過ぎな気も。凄まじい形相をした女が包丁を持って髪を振り乱しながらこっちに向かって走ってくれば、そりゃぁ怖いですもの。もう、“女”じゃなくても怖い。とはいえ、“因縁”が香る設定と、上から何かが降ってきた時点で割れてしまうネタを充分にカバーするスピーディな展開とスピーディな女のおかげで、楽しむことは出来る。ただ、まぁこれは私のヒアリング能力の問題なのだが、邦画を観ていて時折困るのが“何を言っているのかよく聞き取れない”って点。本作のオチがまさにそれで、目の前にまで迫った“カタカタ”に問う主人公の「なんなのよー!」の答えが、よく聞き取れない。「オマエだよ」と言っているような気もするが、「オバケだよ」とも聞こえてしまう。多分前者だろうと思いながらも何度も繰り返し聞いていると、やがて「オマケだよ」に聞こえてきてしまう。もうそうなると「オマケだよ」以外には聞き取れず、そんなわけで“カタカタ”の正体は何かのオマケだということで。
『うけつぐもの』
監督 豊島圭介 主演 目黒真希 採点★★★
【ストーリー】
離婚を機に息子の道夫と共に実家へ戻った冴子。かつて冴子の兄が幼少期に行方不明になったこの家の古い蔵で、冴子はある物を発見する。その日以来、冴子の道夫に対する態度は豹変し…。
順番は前後するが、このオムニバスを締めくくる一本。“ある物”に触れると、途端に我が子を誰の手にも触れさせたくないという思いが強くなり、遂には自らの手で子供を殺めてしまうという忌まわしい因習を代々受継ぐ家系を描く怪談話。ロケーションの効果もあり、その逃れられない因習の恐怖はある程度伝わってくるのだが、如何せん尺が短すぎるのか、子供にとって最大の守護者であるべきの母親が徐々に気が触れていき、逃れられない状況の中自分を殺そうとする恐怖や絶望、そしてその母親の葛藤が上手く伝わってこない。あっけなさの中に、非常に根の深い恐怖が眠っているのは伝わるし、後から考えれば考えるほど怖い話なのだが、もう少し登場人物の心の動きが知りたかったところ。監修に『呪怨』の清水崇が関わっている分、怪談話特有の滲み出るような怖さがあるだけ残念。
『鋼−はがね−』
監督 鈴木卓爾 主演 柄本佑 採点★★★★
【ストーリー】
勤めている自動車修理工場の社長から、「妹とデートしてくれないか?」と頼まれる関口。写真を見る限りとても可愛い妹なのだが、デート当日関口の前に現われたのは、ミニスカートが非常に似合う美しい足をしているが、上半身からすっぽり麻袋を被った女だった。
スラリと美しく長い脚をしているが、上半身をスッポリと包んだ麻袋が玉に瑕の鋼ちゃん。「ウフフ、アハハ」と笑い声はカワイイが、同時に「シューシュー」機械音のような音が混じっちゃうのが玉に瑕の鋼ちゃん。恋した相手には意外と積極的だが、積極的過ぎて吹き矢を撃っちゃうのが玉に瑕の鋼ちゃん。麻袋の中身はどうやら臓物系がみっちりっぽいのが玉に瑕の鋼ちゃん。そんな“玉に瑕”だらけの鋼ちゃん相手の不条理ホラーに見えてしまうが、実のところ女性を理解出来ない余りに性の対象としてのみ捉えがちな男性の真理を見事に描いた一本。脚なり胸なりを極端に露出してさえいれば、無条件に鼻の下を伸ばしてしまう男の悲しい性。結局のところ鋼ちゃんは“バケモノ”以外の何者でもないのだが、相手が何を考えているのか理解しようとせず、本当はどんな姿かなのかも見ようともしないで、ただ単にセックスの対象としてしか女性を見ないような男性にとっての女性の象徴のようでもある。麻袋の中でどんなことが起きているのか理解もせずに、泣き声っぽいのが聞こえちゃうと、なんとなく肩を抱いちゃうのも、あまりに男性的で悲しくも。最終的に体内回帰を果たしてしまう主人公は、ある意味幸せだったのでは。“鋼ちゃんの川流れ”など、非常にコミカルな面が目立った一本だったが、もう少しジットリとしたエロチシズムを全面に出していれば、より一層男女差が明確になったのではと。
【総評】
バラエティ豊かなオムニバスながらも、出来に極端な差もなく退屈せずに楽しめた作品。まぁ、最終的には鋼ちゃんのことで頭がいっぱいになっちゃうんですが。
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もう、鋼ちゃんに夢中ですw
あの話だけ4回立て続けで観ちゃいましたし^^;
行動があまりに極端過ぎるのもアレですが、それはそれで充分女の子らしいとも思える鋼ちゃん。やっぱり“ちゃん”付けじゃないとシックリきませんねぇ。