1967年 アメリカ映画 133分 サスペンス 採点★★★★
ついつい人を見た目で判断してしまいがちですが、見た目と中身が一致するとは限らないもの。まぁ、当然のことですね。で、日々こんな文章を書いている私のことを、大多数の方々は文章を通してしか知らないわけで。一体、どんな奴だと思われてるんでしょうねぇ。稀に文章でしか私を知らない人と会うと、まぁ口々に「ワルそー!」と驚かれますが。いえいえ、ワルくはないですよ。

【ストーリー】
カンザス州で、一家四人が惨殺される事件が発生する。わずかばかりの現金の為に発生したこの凶悪事件の容疑者二人はやがて逮捕され、彼らの口からこの事件に至るまでの経緯と生い立ちが語られ始める。

『カポーティ』を観たいのだが、本作や原作を充分知っている前提で作られていたりすると、本編を観ないでいきなりメイキングを観てしまったかのような気分になってしまうのではと思い。
1959年に起きた強盗殺人事件の犯人との獄中取材によって完成された、トゥルーマン・カポーティの“冷血”の映画化。まるでそんな大それた事をしでかしそうに全く見えない安い犯罪者の、安い会話と安い行動を坦々と映し出す前半と、逮捕後の供述で事件の詳細と人格形成に至る経緯を語る二部構成の本作。ふと笑いすら誘い出す前半のユルさがあってこそ、事件の陰惨さと生い立ちの厳しさがより浮き彫りになる構成が上手い。いとも簡単に人の命を奪うその行動心理が全く理解できず、“生まれついての殺人者”としか表現できなかった大量殺人犯らの生い立ちに着目し、どのような環境が殺人者を作り上げたのかを垣間見せる、プロファイリングの初期型としても非常に興味深い。
40年前の作品とはいえ、編集の見本とでも言えるダイナミックでドラマチックな場面展開と、クィンシー・ジョーンズのイカした音楽もあって、全く退屈することがない。

『誘拐犯』など今でも顔だけはよく見るスコット・ウィルソンと、『ロスト・ハイウェイ』の白塗り顔で不気味な存在感だけは充分過ぎる程だったロバート・ブレイクらの、表向きだけでは窺い知れない狂気を内に抱えた不安定な存在感も見事であったが、やはり本作で一番目を奪われるのは、その映像の美しさ。
カラーが主流であった67年に、あえて白黒撮りした本作の随所にうかがえる闇と光のバランスが見事。特に、ガラスを伝う雨の模様が、流したくても流れない涙のような模様を処刑を間近に控えた主人公の顔に映し出すショットの美しさは絶品である。

親の愛情と子供の愛情が噛み合わない
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モノトーンならではのあの窓を伝う雨のシーンは秀逸でしたね。あれはスゴイ!!
一瞬、本当に泣いているのかとさえ錯覚するほどでした。
淡々と描きながらも犯人たちの心情にメスをいれていくかのような手腕は、原作のおかげなのか製作陣のおかげなのか・・・いずれにしても、かなりグっときました。これみてからカポーティみればよかった(^o^;
あのシーンは、ゾクっとさえしましたねぇ。絶品です!展開も淡々とはしてますが、緩急はしっかりとついていて、それを見事な編集で見せるもんだから、全く退屈しませんでしたね!