2012年 フランス映画 95分 アクション 採点★★★
もともと“クリエイター”って資質の欠片もない人間なもんで、いくら映画が好きだっていっても作ろうとか出ようとかは思った事もない私。ただただ他人の作ったものを「美味い!不味い!」と言ってるだけのワガママ亭主状態。でも、やっぱり物作りをする人ってのは、好きなものを自分の手中に収めたいって思ったりするんですかねぇ。

【ストーリー】
2079年。宇宙空間に作られた監獄“MS−1”で暴動が発生。たまたまそこを訪れていた大統領の娘エミリーが人質となってしまう。この事態に政府は、重要参考人殺害の容疑で囚われていた元CIAの凄腕エージェントであるスノーを送り込むのだが…。

リュック・ベッソンが自分の夢ノートに走り書きしたメモを、若手監督があの手この手で映画化する“まずはベッソンさんを満足させなきゃ!”っていういつものアレ。今回つかまったのは本作が長編デビューとなる、スティーヴン・セイント・レジャーとジェームズ・マザーのコンビ。
“ジョン・カーペンターの『ニューヨーク1997』”ってキーワードを除いちゃうと何にも残らなくなっちゃう本作。ただまぁ、アレコレ比較して不満を募らせるよりは、「ホント、ベッソンってカーペンター好きだよなぁ」と気楽に構えて観賞するのが良いのかと。確かに暴動中とは言え厳重警備の刑務所に(それも宇宙の)易々と潜入しちゃう大雑把さや、特に世界観が構築されていない特徴のない舞台をタイムリミットもないままウロウロする緊迫感のなさは目に付くが、どこかそこに80年代的大雑把さが感じられ苦にもならず。地球上で繰り広げられるチェイスシーンのCGが前世代ゲーム機のような仕上がりなのも、きっとその大らか&大雑把さを表現するためなのではと好意的に受け止めたりも。何の予定もない土曜の午後に、まったりとソファーに寝そべりながら観るにはうってつけな一本なのかと。

主人公のスノーに扮したのは、なんか最近大作を中心によく目にするようになった気もする『プロメテウス』『ハングリー・ラビット』のガイ・ピアース。孤高のヒーローにも我が道を行くアウトローにも見えないが、もわもわと湧き出る下品さが腕っぷしの強さよりも減らず口が先に出てくる主人公にピッタリ。この“スネーク・プリスキンじゃない”感が、本作に程良い個性を。
その他、ベッソン好みの気の強い娘を演じた『96時間』『ファースター 怒りの銃弾』のマギー・グレイスや、『コロンビアーナ』『スリーデイズ』のレニー・ジェイムズ、『キック・オーバー』のピーター・ストーメアらがキャスティング。決して悪い顔ぶれではないんですけど、『タイタンの戦い』のヴィンセント・リーガンと『狼たちの処刑台』のジョセフ・ギルガンらによる悪党兄弟に、もうちょっとパンチが効いてればなぁと。すぐに爆弾を投げつけてくるアイリッシュ兄弟とか、冷凍睡眠の影響で妙に編み物が上手いって設定にするとか。まぁ、この辺も本作の“ほどほどさ”なんでしょうけど。

『ニューヨーク1997』にじゃじゃ馬を混ぜればベッソン脳の出来上がり
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