2007年02月20日

ザ・シークレット・サービス (In The Line Of Fire)

監督 ウォルフガング・ペーターゼン 主演 クリント・イーストウッド
1993年 アメリカ映画 128分 アクション 採点★★★★

厳重警備の中、一発の弾丸を持ち込む難しさと、その難題を乗り越える知恵と技の見事さに言葉を失った『ジャッカルの日』。暗殺成功のみならず自身の逃走経路までしっかりと計画されたプロの仕事に、悪役であるにもかかわらずついつい声援を送ってしまうことに。しかも、男前ときたもんだ。そんなジャッカルとマルコヴィッチを比べちゃぁ、マルコヴィッチが可哀想ってなことで。

itlof8.jpg

【ストーリー】
ケネディ大統領を暗殺から守れなかったことを今もなお悔い続けているベテランシークレット・サービスのホリガン。ある日、彼の下に不審者の情報が入り、調査を進めると大統領暗殺を目論む元特殊工作員の男が浮かび上がる。

itlof6.jpg

傍観者の方が、当事者よりもその当事者について知っていたりすることも多いようで。ドイツ人であるペーターゼンは渡米後、古典的な悪女物である『プラスティック・ナイトメア/仮面の情事』、パニック映画の復興に一役買った『アウトブレイク』、スペクタクル史劇『トロイ』、パニック映画にまた止めを刺したポセイドン』と、今ではアメリカ人も作らないようなアメリカ映画らしいアメリカ映画を撮り続けている。いつまでも心に刻まれるような傑作こそ少ないが、その手堅い演出により、駄作も多くはない。で、本作でペーターゼンが再現してみせたのは、“イーストウッド映画らしいイーストウッド映画”。
動機こそ違えど、プロの殺し屋が大統領を暗殺すべく着々と計画を進める様は容易に『ジャッカルの日』を髣髴させるが、その凄腕の殺し屋を追うのは、地道で堅実な捜査をするフランス人ではなく、鷹の眼つきで地獄まで走って追っかけてきそうな、いつも以上にイーストウッドらしいイーストウッド。もちろん『ダーティハリー』のまんまでは、例え殺し屋がジャッカル本人でもご愁傷様としか言いようがない結末が目に見えてしまうのだが、“老い”というハンデをイーストウッドが背負うことにより、息苦しいまでのサスペンス感を生み出している。まぁ、ご老体が息を切らせて走る姿ばかりなので息苦しいとも言えますが。

itlof7.jpg

itlof5.jpg製作には一切携わっていない俳優オンリーの仕事とはいえ、エンニオ・モリコーネの音楽とジャズが流れる中、ピアノと女をこよなく愛する主人公は、非常にイーストウッド的。端からイーストウッドを想定して書かれた作品かと思いきや、彼以外にもロバート・レッドフォードやらショーン・コネリーやらご老体勢のみならず、ヴァル・キルマーにまでオファーがいってたようで。まぁ、オファーを受けてからアレコレ注文はつけたんでしょうが。それにしても、御歳63にしてノースタントで宙ぶらりんになってみたり、実の娘ほど歳の離れた女性を口説いたりと、最近のなんか精子の薄い感じのする若手俳優らがとても近づけないギラギラ感は流石。
逃走経路を全く考えていない自爆テロ的暗殺計画の割に、失敗と同時に往生際が悪くなる不思議な暗殺者役のジョン・マルコヴィッチ。如何様に変装してもマルコヴィッチにしか見えないものの、何を考えているのか分からない、出来ればお近づきにはなりたくはない不気味な人物を好演。イーストウッドに口説かれる以外はさして見せ場のないレネ・ルッソや、『アフター・アワーズ』での考えてみればはた迷惑なバーテン役が印象深いが、『ホーム・アローン』でのお留守番の達人のパパ役の方が認知されているであろうジョン・ハードの出演も嬉しい。最近の映画ファンにとっては、『ソウ』シリーズのジグソウの登場に驚かれるのだろうが、まぁさすがの処刑マニア、ジグソウとてハリー・キャラハンには全く敵わないのが明らかになるだけなので、サブタレ的には『エド・ゲイン』『デビルズ・リジェクト』のスティーヴ・レイルズバックが出演していることに驚いていただければ幸いかと。「えぇ!?レイルズバックが出てるんだってぇ!?」と、この作品を観ようとする方がおられるとは全く思えませんが

itlof1.jpg
こうなると「結婚してくれ」も「介護してくれ」も同じ意味に

↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
人気blogランキングへ

        

        
posted by たお at 23:35 | Comment(4) | TrackBack(2) | 前にも観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この作品結構好きです。
何故か何度もみてますね^^;

私は停電したエレベーターで
指示するところが
「よっし!」とついつい思ってしまうんです^^;
Posted by じゅりまの at 2007年02月21日 13:15
この映画で初めてジョン・マルコビッチを知ったのですが、「この人本当に犯罪者なんじゃ・・」と思いました。正直怖かったです。

Posted by 怪盗紳士 at 2007年02月21日 20:02
じゅりまの様こんばんは〜♪
ついつい観ちゃいますよねぇ。
あのクライマックスも、なかなかのものなんですが、ふとマルコヴィッチは逃げる気だったのかどうなのか不明になるんですよね^^;
Posted by たお at 2007年02月23日 19:41
怪盗紳士さまこんばんは〜♪
マルコヴィッチ、どっちかと言えば理数系の犯罪者っぽいですよねぇw
Posted by たお at 2007年02月23日 19:42
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

ザ・シークレット・サービス
Excerpt: ダーティハリーシリーズ鑑賞から少々遠ざかっていたイーストウッド。今回はザ・シークレットサービス。 なぜこれをチョイスしたかというと、DVDの日本語吹替が山田康雄(ルパンの)だという情報を得ていた..
Weblog: しーの映画たわごと
Tracked: 2007-02-21 09:00

JFKを守れなかった男〜「シークレットサービス」
Excerpt: 1993年 アメリカ 原題 IN THE LINE OF FIRE
Weblog: 取手物語〜取手より愛をこめて
Tracked: 2007-02-21 21:21