1963年 イギリス映画 115分 アクション 採点★★★★★
なにかしら映画を人に勧める際に、「この映画を観ないと、人生損するよ!!」と暑苦しい勧め方をする方もおりますが、「それは貴方の人生なので、私は別に」とハッキリ言い過ぎると人間関係がギスギスするので気をつけないといけませんねぇ。

【ストーリー】
ソ連情報部に勤める女性タチアナから英国諜報部へ最新型暗号解読器と共に亡命したいとの申し出が来る。彼女の希望でジェームズ・ボンドが派遣されるが、簡単な任務に見えたこの亡命劇の裏には、国際的犯罪組織スペクターの陰謀が隠されていた。

007シリーズはおろかスパイ映画の最高傑作との呼び声も高い、007シリーズ第2弾。
“最高傑作”と言うと、もうこれ以上はないドン詰まりのような印象もあるのであまり好きな表現ではないのだが、確かに本作は面白い。シリーズが進むにつれパターン化されていく007ならではの面白い要素だけではなく、後のスパイ映画にも強い影響を与えるだけの“スパイ映画の素”がギューギューに詰まった本作。まぁ、あまりに後の映画に影響を与えているので、初めて観る方にとっては、モノマネ芸人の芸でしか知らなかった基の本人を初めて見た時に似た違和感を覚えるかも知れませんが、それはそれで面白いかと。
小さな出来事から事態が混迷を極めてくる展開は非常にスムーズ且つスリリングで、近作を観慣れてしまった際に感じがちな古い映画独特のテンポの悪さも全く感じない。スパイアクションならではの見せ場の連続のみならず、途中キャットファイトまで挟むサービス精神旺盛ぶりは、流石60年代を代表する娯楽派テレンス・ヤング。

40年以上経った今でもこれだけの面白さを感じさせるのは、もちろんジェームズ・ボンドの魅力に由るものも大きいが、やはり本作をここまでの傑作にのし上げたのは、まだまだ仕事が地味だったスペクターが誇る殺し屋グラントの存在にあると言える。“病的なまでの殺人鬼”と称される割にスマートな行動と明晰な頭脳で、常にボンドの先を行く「コイツ、ボンドよりすげぇかも」と思わせる優秀さが生むスリルは、シリーズが進むにつれ図体は大きくなるが能力値は低くなる殺し屋どもでは得られないものである。初公開時に水野晴郎が付けたという、考えてみれば字が違う“007/危機一発”のタイトルに偽りのない展開が楽しめる。『サブウェイ・パニック』のロバート・ショウ扮するグラントには、“歯が全部銀歯”のような見た目重視のインパクトはないものの、その体格と触れるだけで凍りつきそうな冷徹な顔つきが、プーチン顔というかいかにもなスペクター顔で、スパイ映画の悪役として非常に説得力のある顔をしている。考えてみれば、ダニエル・クレイグの顔って、どっちかと言えばこっち側なんですよねぇ。
そのグラントのみならず、“スパイ映画の悪役はネコを撫でてる”を決定付けたブロフェルド、ある意味一番怖かったナンバー3らスペクターの存在感が、本作をより面白くしている。

二作目にして「この人以外のボンドはボンドじゃない!」と言われるほどのボンドイメージを作り上げた、ショーン・コネリー。確かにルックス、強さ、頭脳、ユーモアのバランスは絶妙で、“帽子を投げる”“懐中電灯を受け取る”など些細な動作までキマっているショーン・コネリーは、素晴らしくカッコいい。あまりにハマっているので、この後『アンタッチャブル』までボンドイメージに苦しむのですが。
「やっぱりボンドガールはタチアナだよぅ」と言ってる人がまだいるらしいダニエラ・ビアンキ演じるタチアナだが、まぁ確かに綺麗ですねぇ。好みの問題はさて置き。M役のバーナード・リー、本作から『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』までのシリーズ最多登場を誇るQ役のデスモンド・リュウェリン、マネー・ペニーはこの人以外浮かばないロイス・マクスウェルらレギュラー陣以外にも、『007/私を愛したスパイ』のゴーゴル将軍として後にお馴染みとなるウォルター・ゴテルまで出てくる本作。ストーリー、キャスティング、ジョン・バリーの音楽とマット・モンローの主題歌、贅沢旅行気分が満喫できるロケーションと、どれをとっても満足度の高い作品である。

やってることは地味
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古い作品なのに今観ても面白いですね。
確かに最高傑作と言われるのはわかります。スパイらしい作品でした。
今着々と1作目から見始めて今、ロジャー・ムーア時代突入してます!
古典的とはいっても、決して堅苦しくもお上品でもないんですよねぇ。いい意味で、下品。「楽しませてやるぞぅ!」と、隅々気が効いてる作品でしたよね^^
ダニエラ・ビアンキは、前作のウルスラ・アンドレスとは全くタイプが違うから良かったのでしょうね。
今風に表現するならば「エロカワ」と言ったところでしょうか(笑)。
エロカワですかぁ。
んー。
そう言われればそう見えなくも^^;
エロカワかぁ。