2013年02月18日

キック・オーバー (Get the Gringo)

監督 エイドリアン・グランバーグ 主演 メル・ギブソン
2012年 アメリカ映画 96分 アクション 採点★★★★

国によって常識が異なるってのはよく聞く話なんですけど、もっと身近な部分だと家庭によっても常識って微妙に異なりますよねぇ。麦茶に砂糖が入ってたり、目玉焼きにはソースだったりと驚くことも少なくなし。まぁ、夏だろうがなんだろうがアンコを煮、餅が高確率で朝食に出る我が家も相当おかしいとは思いますけど。

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【ストーリー】
とある権力者から大金を盗み出した“ドライバー”は逮捕され、メキシコの刑務所に収監される。脱獄以外は基本自由の無法地帯と化した刑務所内で大金奪還の方法を練る彼は、ある日“キッド”と呼ばれる少年とその母親に出会う。やがて“キッド”が刑務所内のボス、ハビの肝臓移植用のドナーとして生かされていることを知った“ドライバー”は…。

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2002年に軍隊を投入しようやっと制圧した極悪刑務所“エル・プエブリート”とそこでの出来事をモチーフに、小悪党が悪知恵を働かし生き抜く様を描いたアクション。『アポカリプト』で助監督を務めたエイドリアン・グランバーグが初メガホンを握り、主演のメル・ギブソンが共同脚本と製作を務めた一本。
物騒な話題に事欠かないメキシコの、その物騒濃度が極めて高い刑務所内を舞台とした本作。“年間何百人も殺されてる”とか“知らん内に奥さんが潜り込んでて子供まで産まれてた”など情報として聞いてるだけでもぶっ飛んでるのに、それを映像として観るとどこからつっこんだらいいのか分からなくなるカオスさに圧倒。
そんなモラルにさえ縛られなければ楽園とも言えるエネルギッシュな刑務所内を、初老まで生き延びた小悪党ならではの生存本能とノウハウで生き抜いていく“『ペイバック』のその後”的面白さをベースに、壮絶な将来が待ち受けている少年との出会いから生まれる疑似家族的ドラマ、そこから一転してまるでロバート・ロドリゲスが撮ったかのようなギトギトアクションに変貌し、コミカルな展開を見せたかと思いきや、しっかりと小悪党物としてビシリと締める、舞台に負けないエネルギッシュな面白さと自由奔放さが見事。面白そうとはおよそ思えぬ残念邦題のせいで損をしている感もある、ちょいと見逃せない一本なのかと。

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名無しの主人公に扮するのは、『復讐捜査線』で久々に俳優業へと復帰したメル・ギブソン。一時はプラネット・ハリウッド三羽烏に肩を並べる勢いのあったメルギブも、思いのほか狭い芸幅と私生活でのワンパクっぷりが影響したのか大いに失速。監督業はある程度評価をされてましたが、やっぱりこっちとしては俳優としての完全復活を期待しちゃうのは已む無いところで。で、本作。もう完全にザ・メルギブ映画。“悪童”ってのがハマりにハマる役者だけに、ヤンチャっぷりがちょいと常人の常識から外れた主人公はまさにメルギブのもの。最初に名乗る偽名“ディック・ジョンソン”なんて、訳しちゃえば“チ○ポ・チ○ポ”ですし。思い起こせば『ペイバック』から十数年、こんなメルギブを待ち続けていたんだなぁと。
その他、なんか太っちゃっててなかなか気付かなかった『マイノリティ・リポート』のピーター・ストーメアや、『アルゴ』のボブ・ガントン、『インサイド・マン』のピーター・ゲレッティなどが顔を出しているが、やはり一番の注目は『ピンチ・シッター』での悪ガキっぷりが印象深いケヴィン・ヘルナンデス。今回も筋金入りの悪ガキではあるものの、似たような精神構造の主人公との相性の良さもあってか、悪ガキに男気が香る非常に魅力的なキャラを好演。特に主人公と彼の母親が談笑している様を目撃した際の、ふと考え込んだ後にうつむき加減にニヤリと笑うその絶妙な間と表情は絶品。子供でありながらも母親を守りたいし幸せになって欲しいという強い意思を感じさせる、良いシーンを演じ切ってたなぁと。

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ワルの夏休み

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posted by たお at 13:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 前にも観たアレ■か行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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