2011年 インドネシア/アメリカ映画 101分 アクション 採点★★★★
カンフー映画や格闘技映画の大半って、ぼんやりと“拳で人は殺さない”って前提がありますよねぇ。殺しちゃうのは大抵悪者の方で、善玉は相手が「ウゥゥ…」ってなったらおしまいに。それって、もし相手が体力回復して起き上ったら、もう一回「ウゥゥ…」ってさせちゃうんですかねぇ。なんか面倒臭いですねぇ。
【ストーリー】
インドネシアのジャカルタにそびえ立つ高層マンション。そこは麻薬王リヤディによって支配された悪の巣窟であった。その場所に、新人警官ラマを含む精鋭SWAT20名が奇襲攻撃を掛けるが、犯罪者たちの逆襲により一人一人と命を失っていく。退路を完全に断たれた中、ラマはリヤディ目指し奮闘するが…。
東南アジアの伝統武術シラットを用いた壮絶アクションを堪能できる、インドネシア発のバイオレンスアクション。メガホンを握るのは、イギリス出身の新鋭ギャレス・エヴァンス。インドネシア映画っていうと、あれはあれで強烈だった『首だけ女の恐怖』しか観た記憶が無いんですが、これはこれで強烈なエネルギーを放つ一本。
シラットを大々的に取り扱っただけではなく、“相手には必ずトドメを差す”その容赦のなさに大いに驚かされた本作。行動不能の最終形として、とりあえず殺す。これだけだとただの乱暴者映画なのだが、“殺さないとこっちが殺される”って恐怖の演出が施されているので、そこには陥らず。ってか、アクション部分以外はほとんどホラー映画の怖さ。敵地の放り出され、殺しても殺してソマリア人が後ろから湧いてくる『ブラックホーク・ダウン』、意志疎通が不可能なギャング団に囲まれる『ジョン・カーペンターの要塞警察』的な怖さと言うか、密室型暴走ゾンビ映画の怖さが全編に。『ザ・ホード -死霊の大群-』のゾンビがギャングになった感じ。もちろんそれだけだと単調になるのだが、次回作で膨らませるのであろうコインの裏表となってしまった兄弟の物語をしっかり絡めて、やや一本調子の展開にアクセントを付ける上手さにも唸らされた作品で。
主演のイコ・ウワイスの身体能力にも驚かされたが、やはり強敵マッド・ドッグに扮したヤヤン・ルヒアンのインパクトの強烈さが忘れられず。殺す事を目的としてるのは双方同じなのだが、こっちはそこに悦びを見出している不気味さが、そのアル・レオン的風貌と相まって作品全体の怖さを一人背負った感すら。現在撮影中の続編には出演しないようだが、アクション・コーディネーターとして作品に“鬼気”ってのを漂わせてくれるのかなぁと期待。
銃器で楽に逝かせてなんてあげない
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