2012年 アメリカ/南アフリカ映画 115分 アクション 採点★★★
出世欲のない若手が多いってのもアレですが、口では散々偉そうなこと言ってたのに、いざ責任あるポジションに就いた途端に「思ってたのと違う…」と逃げ出す若手が多いのも困りものですねぇ。思い通りにいかないのをなんとかコントロールすることが面白いのに。
【ストーリー】
南アフリカ、ケープタウン。CIAの隠れ家の管理を任されていた若手職員のマットは、何事も起こらない退屈な職務に不満を募らせる毎日。そんなある日、かつてはCIA最高のエージェントと称えられながらも、今では最悪の裏切り者として恐れられていたトビン・フロストが連行されてくる。ほどなく謎の武装集団に襲撃され、トビンを連れ命からがら逃げ出したマットであったが…。
CIAの新米職員が最重要危険人物である元凄腕エージェントとの逃亡劇に巻き込まれる様を描くサスペンスアクション。メガホンを握ったのは、本作が初ハリウッド作となるスウェーデン出身のダニエル・エスピノーサ。
明らかに“ジェイソン・ボーン”シリーズの影響下にある本作。「この人はボーンで言ったらあの人かな」と、キャラクターもほぼそこにすっぽりとはめ込むことが可能。そこから逆算的に黒幕が容易に判明してしまう弊害も。
じゃぁボーン観てれば事足りる亜流作品かと言えば、そんなことはなし。退屈な日々に不満を募らせる若者が元ベテランエージェントと出会った事で散々な目に遭い、その中で一人前となっていく男の成長物語として思いのほかシッカリとした内容に。マットが求める理想の仕事の行く末がトビンであり、トビンが失ってしまったかつての自分がマットであるという対比や、「こんな田舎じゃなくパリとかベルリンとか都会に行きたいよー!」と嘆くマットの前に、「いいなぁケープタウン。都会じゃん!」と羨む更に僻地の隠れ家を管理する職員が出てくるなど、テーマを明確にする要素も上手く織り込まれている。サスペンスとしての甘さや、苦みのない締め括り、組織の伏魔殿的な怖さがイマイチ活きていないって難点もあるが、骨太の成長物語として楽しめた一本だったかと。
元凄腕エージェントであるトビンに扮したのは、『アンストッパブル』『ザ・ウォーカー』のデンゼル・ワシントン。出だしこそはなんかモーガン・フリーマンみたいな頭で登場し「今日のデンゼルはお爺ちゃんモードなのかなぁ…」と不安を覚えたが、髪を刈り上げてからはキメキメのカッコイイモードへと変貌するので一安心。見た目重視のアクション指導なのか、プロなのに銃の撃ち方がギャング撃ちってのはどうかと思いましたが、全体的には怖さと頼もしさが融合した良いデンゼル仕事。
一方のマットに扮するのは、『[リミット]』『アドベンチャーランドへようこそ』のライアン・レイノルズ。若手の中にいれば兄貴分な彼だが、今回は相手がデンゼルなんですっかり小童。まぁ、もともと強烈な個性を発揮するようなタイプではないんで、デンゼルを前に一際存在感が薄くなり過ぎてたってのはちょいと残念。
その他、『ミッション:8ミニッツ』のヴェラ・ファーミガや、『グリーン・ゾーン』のブレンダン・グリーソン、役柄がまんま『ボーン・アルティメイタム』のデヴィッド・ストラザーンにスコット・グレンを足しっ放しにした感じだった『ステルス』のサム・シェパードら、実力者が揃った本作。また、『センチュリオン』のリーアム・カニンガムや、『ネバー・サレンダー 肉弾凶器』のロバート・パトリック、『プレデター2』のルーベン・ブラデスらがワンスークエンスのみ登場するという、非常に贅沢なキャスティングも楽しめた一本で。
隠れ家に守られていたのは、実は自分
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