2011年 アメリカ/カナダ映画 103分 SF 採点★★
まぁ、作品が面白いからこそそう思うんでしょうけど、そこに至るまでに“何があったのか?”そして“その後どうなったのか?”ってのに思いを馳せてしまいますよねぇ。だからこそ続編や前日譚が作り続けられてるんですけど、頭の中であれこれ想像していた以上のものにはそうそう出会えないもので。
【ストーリー】
1982年。南極大陸の氷層から未知の飛行物体と生命体が発見される。調査の依頼を受けたアメリカ人古生物学者ケイトはノルウェー基地へと向かうが、氷漬けだった生命体が蘇り隊員たちを襲い始める。しかも、その生命体は他の生命体を取り込み擬態する能力を持っており、隊員たちは誰が人間で誰が生命体なのか疑心暗鬼に…。
ジョン・W・キャンベル・Jrの短編SF“影が行く”を、1982年にジョン・カーペンターが映像化した『遊星からの物体X』の前日譚。長編初となるマシーズ・ヴァン・ヘイニンゲン・Jrがメガホンを握り、主演には『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』のメアリー・エリザベス・ウィンステッドが。
製作されると聞いた時は、ラストシーンが決まってる上に「ノルウェー基地でも似たようなことがあったんだろうなぁ…」と展開まで容易に想像出来るのに「何で作るの?」と疑問に思った本作だが、多少は捻るなり意外な面白さが発見できるかもしれないという淡い期待を持って観賞してみたが、案の定前作をなぞっただけの本作。きっちりなぞってるならまだしも、肝心の“疑心暗鬼”ってスリラー部分を軽く流し、ロブ・ボッティンによる超絶SFXをCGで簡易化したクリーチャーショーになっておしまい。展開も基本的に“物体出現→火炎放射器でボー!”の繰り返し。まぁ、あの現場にアメリカ人がいたってのには驚かされましたけど、劇中言語を英語にする以外の役割はないので驚き損。
一応“誰が物体?”ってのが展開のカギを握ってはいるのだが、“無機物は複製できないから歯に詰め物の無い奴がたぶん物体”という歯磨きの努力を台無しにする識別方法や、付いてる位置が左右変わっているという、それまで全く触れられていなかったピアスに突然注目するというデタラメっぷりにも辟易。クライマックスも終え「あれ?犬とヘリと二人のノルウェー人は?」と疑問に思っていると、エンドクレジット中にバタバタと辻褄合わせが始まるのだが、知らん内に自殺してる人がいたり、生存者の一人はそれまでの状況を全く知らない人だったりと、結局最後までデタラメ。ただでさえ負け戦濃厚なのに、よくこんな脚本を書けたなぁと脚本家を調べてみたら、リメイク版『エルム街の悪夢』や『ファイナル・デッドブリッジ』などお手本なぞりばっかのエリック・ハイセラーだったので、妙に納得。
まぁ、エンニオ・モリコーネによるカーペンター風味満点のテーマ曲が流れてたんでちょいと嬉しかったですし、もしかしたら本作の影響でカーペンター版を手に取る人が増えるかもしれないって希望もなきにしろあらずなので、★ひとつオマケ気味で。
服をきちんと脱いでから同化して、そのあとまた着直してるんですかねぇ
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓