2007年01月12日

007/ムーンレイカー (Moonraker)

監督 ルイス・ギルバート 主演 ロジャー・ムーア
1979年 イギリス映画 126分 アクション 採点★★★

物置の奥から出てきた昔の写真など眺めていると、そこには初恋の相手の写真やら、最初の彼女の写真やら。見れば見るほど当時の自分の正気を疑ってしまう様な方々なのであるのだが、だからといって嫌いになれるわけでもない。なんというか、すり込みのようなものなのでしょうか?

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【ストーリー】
イギリスへ輸送中のスペースシャトル“ムーンレイカー”が、何者かによって奪われる事件が発生。調査に乗り出したジェームズ・ボンドだが、事件の背後に人類を抹殺し新たなユートピアを作り上げる野望を持つ大富豪ドラックスの存在が…。

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3代目ジェームズ・ボンドのロジャー・ムーア4本目の作品で、シリーズ第11弾。前作『007/私を愛したスパイ』に引き続き、ルイス・ギルバートが監督を務める。『スター・ウォーズ』以降吹き荒れていたSFブームに乗り遅れまいと、駆け込み乗車気味に宇宙を舞台にボンドが活躍をする本作を製作するが、出来上がったものはなんとも奇妙な作品に。
ボンドファンには散々な評判の本作。宇宙空間をふわぁふわぁ漂いながらレーザー光線をピーピー撃ってる様を、遠巻きに眺めているだけのクライマックスの迫力のなさや、当時でさえ微妙にズレていた時代感覚から生じるそら寒さが槍玉に挙げられているが、本作の問題点はそこではない。モテモテで完全無欠のヒーローが有り得ないことを平然と成し遂げてしまう本シリーズは、確かにマンガである。しかし、そのマンガ的な部分を作り手も登場人物も建前上認めないからこそ、映画の中の現実として観客は楽しむことが出来る。ところが本作では、その建前を「マンガですから」とぶっちゃけてしまう。“ユートピア建設”を野望に持つ大富豪と、前作『007/私を愛したスパイ』と大して変わらぬ悪役に新味がない分を補う為か、ロジャー・ムーアに代わってから徐々に増え始めていたユーモアを大幅にアップ。しかし、そのネタにされているのがボンド映画らしさを保っているエッセンスの部分。ボンドが異常なまでに女好きで、どこに行っても美女が過剰に登場し、殺し屋は揃いも揃ってマヌケであり、その死に様もギャグになってしまう有様。“ボンド映画における脱構築”と言えば聞こえはいいかも知れないが、どれもこれも締りが悪く、非常に居心地も悪い。

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科学者だろうがスパイだろうが「女は女」としか見てない様に描かれている本作のボンドは、大活躍をしていてもそうは見えない緊迫感のない演出も相まってか、思いのほか印象が薄い。その分、前作での人気に応え再登場したジョーズが大活躍をしてくれるのだが、飛行機からだろうが宇宙空間だろうが、どこから落ちても死なないマンガ的キャラクターに変貌し、人気が出ると同時に悪玉から善玉に転向するレスラーの如く、殺し屋の分際で誰一人殺さないただの銀歯に成り下がり、メガネにおさげの痛々しいコスプレ女とフランケンシュタインごっこに興じる始末。結局、本作でボンドと対峙する殺し屋といえば、剣道の面をつけ竹刀を構え、「胴ーーーーーっ!」と叫びながら面を打つ、微妙に卑怯な日本人ただ一人に。そもそも竹刀でどうするつもりだったのか?
未知との遭遇』や『2001年宇宙の旅』から音楽を拝借するベタなSFギャグや、馬に乗ったらすかさず『荒野の七人』のテーマが流れるオジサンの固定概念のような音楽遊びにも辟易するが、3度目の登板となるシャーリー・バッシーによるテーマ曲はなかなかなものであるし(エンディングの“ディスコ・ムーンレイカー”はなかったことに)、ボンドガールのロイス・チャイルズも非常に好きなタイプの顔立ちである。世界旅行の贅沢な気分だけはたっぷりと味わえる、多彩なロケ地も魅力。そして、なによりも本作が私が最初に劇場で観たボンド映画が本作なので、どう文句をつけても嫌いには到底なれず、採点はやはり甘めに。

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スタントだけは、相変らずスゴイ

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posted by たお at 02:40 | Comment(6) | TrackBack(6) | 前にも観たアレ■た行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして、おじゃまします。昨夜TVで観ましたのでTBさせて下さい。『未知との遭遇』や『2001年宇宙の旅』『荒野の七人』のパクリ・ギャグには笑ってしまいました。そしてあの殺し屋ジョーズに恋人まで!かなり昔に観たきりだったので細かいところはすっかり忘れていて、こんな荒唐無稽な話だったとは知りませんでした^^;)。でも今回の放送、シャーリー・バッシーの唄うオープニングがカットされていたんです。すごく残念。
Posted by ぶーすか at 2007年01月29日 22:25
ぶーすか様こんばんは!
久々に観てみたら「アレェ?こんなんだったっけ?」と途方に暮れた作品でしたが、身体が拒否できないので甘めにw
TVでやってたのは見なかったんですが、なんですと!?歌カット!?
ボンドの出番を全部カットするのと変わらない暴挙じゃないですか!
Posted by たお at 2007年02月01日 01:44
TBありがとうございました。
この作品も何回か観てるはずなのにほとんど覚えてませんでした。
「胴ーーーーーっ!」と叫びながら面を打つ絶妙なシーンも見逃しちゃいました。
(TV版ではカットされた??)
また、同じ映画の記事がありましたらTB&コメントさせてください。
ではでは。
Posted by さとかつ at 2007年02月04日 11:13
さとかつ様こんばんは!
私はこの作品何回も観ているわけではないのに、隅々覚えていて驚きました^^;
恐るべし、刷り込み。
Posted by たお at 2007年02月05日 00:24
なんか路線がえらい方向にいっちゃいましたね。
この頃はSFブームだったのか、、、
まさかボンドが宇宙までいくとは!
すっかり前半部分を忘れてしまいそうになるくらい宇宙編はびっくりでした。
怪しい日本人は一体、、、
ジョーズのロマンスありでなんだかわからなくなりまた(笑)
それよりもQの下ネタにはまたまたビックリ(笑)
Posted by ゆかりん at 2007年03月07日 18:36
ゆかりん様こんばんは〜♪
ある意味、行く所まで行っちゃった作品ですよねw
でも、宇宙にまで行ってやるような話でもない気も^^;
Posted by たお at 2007年03月10日 02:00
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