2007年01月10日

誘拐犯 (The Way Of The Gun)

監督 クリストファー・マッカリー 主演 ベニチオ・デル・トロ
2000年 アメリカ映画 119分 アクション 採点★★★★

ナントカ山に登る映画のようにハッキリと描かなくても、男同士の友情には傍から見てしまうとゲイの香りがしてしまうもの。やはり異性の友人と一緒にいるのと違い、ふいに来る性衝動に襲われなくて済むってのは、非常に気楽。もちろん性衝動だけの問題ではなく、こんなワガママで自分勝手な私でさえ、異性と一緒だと何かと気を遣っているようで、いるだけで疲れてしまうことも。まぁ、気遣いをしていること自体、気付かれないことがほとんどですが。

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【ストーリー】
小悪党のパーカーとロングボーは、ふとした切欠で大富豪の子供を宿した代理母ロビンの存在を知る。一山当てようと早速ロビンを誘拐する二人であったが、その大富豪が闇社会と繋がっており、二人は殺し屋に追われることに…。

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ハッキリと描いていなくても、登場人物がゲイであることを、もしくはそう見えるようにも取れるようにホンノリと匂わせる作品は少なくない。『アラビアのロレンス』然り、『俺たちに明日はない』然り、そして『明日に向かって撃て』然り。その『明日に向かって撃て』のブッチとサンダンスの本名である、パーカーとロングボーを主人公らが名乗る本作。必死に「ゲイじゃない!」と否定しておりましたねぇ。
『ユージュアル・サスペクツ』の脚本家の初監督作として大いに話題になったが、「話が薄っぺら」「主人公が何を考えてるのか分からない」と散々でもあった一本。確かに脚本家が作った割には、物語の背景はスッカスカだし、展開も非常に場当たり的。主人公らに至っては、何を考えているのか、結局何が言いたかったのか最後までサッパリ分からない。しかし、それはあくまで“脚本家が撮った割りには”である。じゃぁ、マッカリーは本職である脚本家を捨て何をしたかったのかと言えば、“カッコイイ銃撃戦を描く”こと。それだけ。一介のチンピラにしては『ヒート』のデ・ニーロ一家並の重装備で、『ザ・ミッション 非情の掟』のアンソニー・ウォン一座並の見事な動きを見せるのも、それで納得。納得しないと、損ですし。実際、誘拐シーンにおける訓練された男達がお互いの背中をカバーしながら見せる美しいまでの身のこなし、ドアを開けたら戦場となっている展開の見事さ、つい「なるほど!」と膝を打ってしまうカーチェイスなど、オープニング30分間の流れるような繋がりには身震いをしてしまう。キャラクターの掘り下げが特にあるわけでもない中盤はダレるものの、ペキンパー作品を髣髴させるメキシコの売春宿で展開されるクライマックスも、その痛点を刺激する負傷描写も含め見事なもの。
序盤で散々いじってた“ゲイ遊び”が中盤以降スッカリ忘れ去られていたりと、非常に不器用で雑な作品であることは否めないが、作り手が何を差し置いてもどうしても見せたいものがハッキリとしている作品は嫌いになれず、そこだけは完成度もすこぶる高いので、評価も高めで。

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登場人物の扱いはぞんざいなものの、キャスティングは非常に豪華な本作。
最近では『クラッシュ』『父親たちの星条旗』と、大人の俳優として歩み始めたライアン・フィリップであるが、期待の若手として注目されるも、いつの間にやら“リース・ウィザースプーンの旦那”としてしか認識されなくなっていた頃だけに、イメージ打破に躍起になってる様子が伺えてカワイイ。ベニチオ・デル・トロが機械的で何を考えているのか伝わりづらい役柄だけに、ライアン・フィリップの必死さがより一層伝わってきたりも。
テイ・ディグスのキャラが『リベリオン 反逆者』の時とほとんど変わっていないのはご愛嬌として、実は大好きな女優の一人であるジュリエット・ルイスが、凄まじい雄叫びとガニ股以外印象に残らないのは残念。それでも、最近では『デビルズ・リジェクト〜マーダー・ライド・ショー2〜』で70年代風味を醸し出すスパイスとして活用されていたジェフリー・ルイスとの父娘共演は、やはり嬉しいもの。そんなジェフリー・ルイス同様、70年代風味を醸し出すスパイスとしてしか機能していない大御所ジェームズ・カーンの扱いは非常に雑ではあるが、「この世界、年寄りを見たら“生き残った者”と思え」はシビレるセリフ。年取ったら、マネしよ

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てことは、左がポール・ニューマンで、右がロバート・レッドフォード

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posted by たお at 02:20 | Comment(8) | TrackBack(4) | 前にも観たアレ■や行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お早うございます。
コメントとトラックバックを失礼致します。

この作品は、全体的には難がありながらも多彩な個性の登場人物による、それぞれの関係性に面白さが感じられました
それから、弊ブログの記事タイトルに引用させて頂いた、「 この世界、年寄りを見たら“ 生き残った者 ”と思え 」の台詞が僕も印象深かったです。

また遊びに来させて頂きます。
ではまた。
Posted by たろ at 2007年01月10日 09:09
>異性と一緒だと何かと気を遣っているようで、いるだけで疲れてしまうことも
普通、そうですよね?
哀生龍は、同性といると凄く疲れるんです。 相手がどう思っているかは分かりませんが、異性といる方が気楽だと感じることが多いです(苦笑)

それはさて置き、ストーリーもさて置き、男たちはカッコ良かったです♪
特に本当は若いけど見た目がおっさんなデル・トロが、特にカッコ良かったです♪♪

>「この世界、年寄りを見たら“生き残った者”と思え」
哀生龍の生きる世界でも、この言葉が通用すればいいのですが・・・
Posted by 哀生龍 at 2007年01月10日 12:35
たろ様こんばんは!
クライマックスも、自動小銃を持った冷静に駒のように動く若造と、リボルバーを持つ古いシューティングスタイルのご老体という対比で、なかなか面白かったですよねぇ。
ストーリーにすいては、まぁ・・・^^;
Posted by たお at 2007年01月10日 20:40
哀生龍さま、こんばんは〜♪
女性同士と男性同士では、また微妙に違うようですねぇ。
キメ台詞を真似したいのもヤマヤマなんですが、まぁこの世界じゃただの年寄りですからねぇ^^;
Posted by たお at 2007年01月10日 20:44
 こんばんは、いつも楽しく拝見しています。僕もこの映画は、あまり期待しないで行ったら、かなり満足感高く映画館を出てきた一本です。なんというか、キャラクターの対比とか、スタンスというのが良く出ていて、面白かったなあと思ってます。
Posted by フランケントミー at 2007年01月14日 21:27
フランケントミー様こんにちは!
映像で人物とその背後を描こうと試みたような作品でもありましたねぇ。そのせいか、キャラクター像にハッキリとコントラストを効かせていたようにも。
Posted by たお at 2007年01月15日 15:55
たおさん、こんにちは!
古い記事にTBさせていただきました。
すみません<m(__)m>

ゲイの香りには全く気がつきませんでした。
そのものズバリを描いてくれないと・・・。

>『明日に向かって撃て』のブッチとサンダンスの本名である、パーカーとロングボーを主人公らが名乗る本作。

左がニューマンで右がレッドフォード、そうだったのか〜。
Posted by Rieko at 2010年11月23日 15:07
Rieko様、こんばんはー!
古い記事だろうが、御遠慮なく。新しい記事だって、古い映画ばっかり出てくるサブタレですし。
男同士の友情をラブロマンス風に描くブロマンスってジャンルも定着するくらい、仲の良い男の友情にはおのずとゲイっぽい香りも漂うんですよねぇ。
こっそり主人公をゲイっぽく描いてる作品って、結構多かったりも。
Posted by たお at 2010年11月24日 00:59
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