2004年 フランス映画 85分 アクション 採点★★★
何度も書くようではあるが、映画を楽しむポイントは決して一つではない。感動の物語を楽しむのもよし、情け容赦ない恐怖を楽しむのもよし。それこそ、景色だけ、美女だけ、筋肉だけを楽しむのでもよい。何を楽しむべき映画なのかを間違わなければいいだけの話である。『私の頭の中のなんとか』みたいな映画に、躍動感溢れる大胸筋の活躍を期待する方が悪い。ただ問題は、その楽しみ方に優劣が付けられがちな事で。「アクションやホラーよりも泣けるドラマの方が格が上」のような認識がまかり通ってしまっている。極端に言えば、「デ・ニーロの方がトニー・ジャーより演技が上手いから偉い」と言う意見は通っても、「トニー・ジャーの方がデ・ニーロより高く飛べるから偉い」とはならないようなもので。なんというか、寿司屋と大工を比べるような無意味さなんですが。

【ストーリー】
2010年、パリ。治安の悪化により周囲を高い壁で封じ込められた13地区で育ったレイトは、持ち前の正義感で街のボス、タハに立ち向かうが、逆に警察に捕まってしまい、妹ローラもタハに連れ去られてしまう。半年後、輸送中の中性子爆弾がタハに強奪され13地区にあることを知った政府は、武術の達人である捜査官ダミアンに、投獄中のレイトを案内人に13地区への潜入を命じる。爆発まで時間は残り僅か。しかし、この事件にはある陰謀が隠されていた。

自分が本当に観たい映画は後輩に作らせるベッソンが手掛ける、身体のバネ一本勝負の作品。
かねてから子飼いにしていた『トランスポーター2』などのスタントマン、シリル・ラファエリと、『クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち』のスタントマン、ダヴィッド・ベルらがあんまりにも凄いので、「一本作っちゃおうよぅ。この間観た『マッハ!』だってそんな映画なんだからぁ」とばかりに完成させた一本。彼らの身体能力を存分に発揮させられる、余計なことに頭を使わせない程よくスカスカの脚本を用意させたらベッソンはピカイチ。毎週欠かさず“ショービズ・カウントダウン”を見ているであろう新しい物好きのベッソンらしく、「『要塞警察』が『アサルト13』にリメイクされるんだって!これからは、ジョン・カーペンターなんだって!」と、『要塞警察』と『ニューヨーク1997』を土台に…というか、核ミサイル発射ボタンを持つ大統領をより明確に中性子爆弾に変え『パリ2010』として、お気に入りのコクヨ自由帳に脚本を書き上げたベッソン。もちろん神さまブルース・リーへの敬意も、僅かではあるが忘れてはいない。
そんな彼らにとって非常に動きやすい舞台設定の中、「なんでわざわざ現場で起爆装置を入れなきゃなんないの?」などという設定の不満なんて吹き飛ばす、常識外れの肉体技を繰り広げる彼らは素晴らしい。物語の展開以上に素早い彼らの動きに、感嘆の声をあげるばかり。しかしながら、彼らの技の撮り方があまりにも淡白。如何に凄いことをやっているのか明確にわかるワンカットでのロングショットが思いのほか少なく、妙な所でカット割りが入ってしまうのは興醒め甚だしい。また、“クドイのはカッコ悪い”とでも思ったのか、どんなに凄いアクションでも、スローなどで繰り返し「これでもか!」と見せることもなく、非常にアッサリしているのも食い足りない印象を与えてしまっている。

マーシャルアーツのシリル・ラファエリに、『007/カジノ・ロワイヤル』で度肝を抜くアクションを披露したセバスチャン・フォーカンらと共に“パルクール”を創設したダヴィッド・ベル。それぞれの個性を活かしたアクションが見ものなのだが、特にダヴィッド・ベルが素晴らしい。彼の技もさることながら、ルックス、身体つきのどれをとっても非常にスクリーン映えのする役者だ。もちろん“泣かせの演技”など期待は出来ないが、“普段は見れないものを見せる”という映画の基本にのっとって考えれば、彼の肉体と技は充分に木戸銭を払って観る価値がある。どんなに偉そうなことを言ったって、「ほぇぇ!」と驚かせれば映画の勝ちなのだから。
どんな言語のどんな世代の人間にでも、映画の面白さをストレートに伝えることが出来るのは体の動きであることを証明したバスター・キートンやハロルド・ロイドらが蒔いた種が、ジャッキー・チェンを経由してフランスやタイで発芽したと考えるのは大袈裟かもしれないが、CGで塗り固められた背景の中にただ俳優が突っ立っているだけのアクション全盛の時代には、こういう映画は非常に快感でありますね。

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今年は、ありがとうございました!
来年もよろしくお願いしますね。
よいお年を〜!
私の頭が単純な作りなもので、リュック・ベッソン脚本の作品は大好きです。
今年もあとわずか、、、
いろいろとお世話になりました。
来年もどうぞ仲良くしてやってくださいませ☆
昨年は私のブログにご来店・TB等ありがとうございました◆◇◆
今年もよろしくお願い致します(*^∀^*)
これからもお互い良いブログになるよう頑張っていきましょう♪
いえいえ、TBのやり逃げばかりしているこんな所をお相手していただきまして、誠にありがとうございました。本年度もちょくちょくノゾキに伺いますので、よろしくお付き合い下さいませ^^
中学生が授業中にノートにビッシリと書いたような話ばかりのベッソンですが、そこが魅力。作ってる本人があれこれ考えすぎていないってのが、いいですねぇw
TBのやり逃げばかりの昨年でしたが、本年度もきっとあまり変わらないのでは・・・^^;
“良いブログ”とは縁遠いサブタレでございますが、なにとぞよろしくお願いいたします^^
TB溜まりまくってます。こつこつお返ししてます。
いやーたおさんの喩えは素晴らしいですね。
すかっとします。シンプルでご都合主義的展開もすかっとします。
同キャストで続編ができたら 観に行きます。絶対。
でも、これ以上にひっそり公開されて終わりかも。
お手の空いた時で構いませんので、お気になさらずに^^
しかしながら本作、ホントに楽しかったですねぇ。こんだけすごい身体能力を持つ人がいるなら、話はスカスカでも映画にするだけの価値はありますよね!
続編があったら、というか彼らが出る映画なら是非観たいですねぇ☆
あ、コメントも反応が遅いんですよ・・・^^;
こいつは、爽快な映画でしたねー。新たな若ハゲが出てきやがった・・・と思ったとか思わないとか出てくるなり、そう呟いたとか言うのは想像にお任せします(笑)
まさか映画で上海雑技団とかシルク・ド・ソレイユとかボリショイとか見ている気分になれるとは思いませんでした。
この映画はストーリーとか設定じゃなくって、かっちょいいオシャレなマッハ!!!!!を撮りたかっただけって認識で間違いないですよね(苦笑
確かに若いしハゲてましたが、イケてるかどうかといえば・・・^^;
そんでもって、確かにかっちょいいしマッハでしたが、オシャレかどうかもw
ただ、「スゲー!!!あいつら、スゲーーーー!!!」って観る分には申し分ない映画でしたねぇ。
単純に見て、非常に面白かったと思います。
面白ければ価値ですね。
確かに「アバター」みたいな、どこまでCGで、どこまでが人間か?
(ほとんどCGみたいだけど)みたいな映画と、
こういった体一つのアクションの両方を堪能できるとは
面白い時代に産まれたんだなぁと、感心してますw
「なんかスゲェもの見せてやる!」って姿勢は単純だけど、とっても大切ですよねぇ。これも映画の基本で。