2011年 アメリカ映画 100分 コメディ 採点★★★
「趣味は?」と聞かれればとりあえず「映画です!」と答えるようにはしてるんですけど、そもそも“趣味”ってなんですかねぇ?“三食とばしてもやりたい事”となるとここではちょっと言えない上に、それを“趣味”と断言できるのはマイケル・ダグラスくらいなものを真っ先に浮かんじゃいますし、“金も時間も惜しまない”となると映画って作らない限りはそんなに金も掛からない。“興味のない人にとっては退屈極まりない”となるとちょっと当てはまる気もしますが、元々が娯楽なんで気が狂うほど退屈することもないのかなぁと。となると、やっぱり私にとっての映画は“習慣”でしかないのかなぁと思ってもみましたが、個人的には全然平気な“セガール24時間マラソン”なんかは興味のない人にとっては苦痛以外の何物でもないでしょうから、やっぱり映画は“趣味”で。決して“セガール”が趣味ではなく。

【ストーリー】
1年を通して行われる世界最大の探鳥コンテスト“ビッグ・イヤー”。全米の鳥愛好家が集まる中に、大企業の社長の座を退き第二の人生を鳥探しに打ち込みたいステュ、探鳥にのめり込むあまり仕事も恋愛も上手く行かず、30歳を過ぎても親の世話になっているブラッド、家庭を顧みず探鳥に打ち込むあまり離婚を繰り返す最高記録保持者のケニーら三人の姿も。この一年を通し、彼らはそれぞれ人生の岐路に立たされていき…。

全てを擲ち探鳥に没頭する男たちの姿と、様々な形で彼らを支えまたは巻き込まれる家族の姿を描いた、ロードムービー的な味わいもある人情喜劇。メガホンを握ったのは、オーウェン・ウィルソンとは『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』でタッグ済みのデヴィッド・フランケル。
仕事と趣味の狭間に立ち今後の方向を悩むステュ、何事も長続きしない生き様を父親に否定されながらも、この趣味こそが自分にとって本物だと確信している中年男ブラッド、妻を愛しながらも家庭と趣味を常に天秤にかけ、常に趣味が圧勝してしまうケニー。情熱も目的の為には手段を問わぬ様も然程変わらぬ三人が、ちょっとした(でも重要な)ターニングポイントでの選択で大きく人生を変えていく様を描いた本作。「やっぱ家族だよね!」といった心のこもっていない着地点ではなく、それぞれの人生にとって最も丁度良い折り合い点を見出す展開は好印象。約一名ほど一般的な幸せからは程遠いポイントに辿り着いちゃう方もいますが、彼自身も不本意でしょうけど、あそこが彼にとって最も丁度良い折り合い点なのかと。
ただ、ちょいと手堅過ぎるかなぁとも。ホンワリとした余韻で終わる本作のような小品はこれくらいの手堅さで問題はないんですけど、365日という時間と大陸を股にかけている割にはメリハリが無い気も。同じ様な手堅さを売りにするフランク・オズなんかだったら、季節毎のイベントを上手く利用してもうちょっと風情や情緒ってのを出したのかも。

『ザ・マペッツ』のジャック・ブラックを中心に置き、『ミッドナイト・イン・パリ』のオーウェン・ウィルソンと『ピンクパンサー2』のスティーヴ・マーティンが絡み合うアンサンブルが楽しめる本作。精神年齢がさっぱり実年齢に追い付かないダメ人間の典型でもあるジャック・ブラックが、その反面愛する物事に対する無垢なまでの真摯さを見せる好演も、ちょいとイジワルなオーウェンも見応え十分でしたが、下手をすれば大人子供がギャースカ騒ぐだけの作品になりそうな所にしっとりとしたペーソスを漂わせて締めたスティーヴ・マーティンが見事。狂気を孕んだ笑いの破壊神としてのスティーヴ・マーティンも大好きですけど、ふと寂しさをよぎらせる本作のような彼も大好き。
ただ、本作で最も嬉しいのは、「これでもかっ!」ってほど好みの役者が勢ぞろいしてたってこと。保守の塊のような父親に扮した『ランボー』のブライアン・デネヒーを筆頭に、“可愛いオバサン”の代表格である『ロストボーイ』のダイアン・ウィースト、『50/50 フィフティ・フィフティ』のアンジェリカ・ヒューストン、『40男のバージンロード』のラシダ・ジョーンズ、劇映画で見るのはお久しぶりな『ポルターガイスト』のジョベス・ウィリアムズ、「醒めきってます」ってのが見た目で分かる『タイタンの逆襲』のロザムンド・パイクと、ちょっと中心に絡むだけでもこの面子。
それだけじゃ済まないのが本作で、冒頭のナレーションを『地球が静止する日』のジョン・クリーズがやってたかと思えば、『トランスフォーマー』のアンソニー・アンダーソンや『メジャーリーグ』のコービン・バーンセンが顔を出し、『インクレディブル・ハルク』のティム・ブレイク・ネルソンに『コップ・アウト 刑事(デカ)した奴ら』のケヴィン・ポラックらも忘れた頃にやって来る。そしてトドメがウィルソン兄弟映画の隠れキャラ、『ローラーガールズ・ダイアリー』のアンドリュー兄ちゃんが結構な割合で顔を出す、劇中の鳥を数えるよりも何かと忙しい作品に。いやぁ、この顔ぶれを一気に見れたのは嬉しい。

家族と趣味を共有できるってのが一番の幸せなのかも
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愛すべきばか野郎どもで、うれしくなりました。
まじめにこういうことに打ち込めるってのが、なんかうれしい。
うーん、趣味っていうより、・・・義務か修行の域だああ〜。あたしの映画は。
ジャック・ブラックが出てるだけでほんわかしますわー。
同感です!
バードウォッチングならぬ、俳優ウォッチングを楽しみました♪
アンドリュー兄ちゃんが、一瞬よぎるだけで終わらなくて、本当に嬉しかったです(笑)
趣味ってのは、興味のない人から見ればホント役に立たない無駄な事なんですよねぇ。ただ、それにのめり込めるから楽しいというか。
映画を“趣味”というとなんか違う気もするんですけど、まぁ趣味って伝えた方が他者からすれば分かりやすいのかなぁと。
歳を取れば取るほど深みにはまりますからねぇ^^;
こじんまりとした作品に、これだけの顔ぶれ。なんたる密度!
アンドリュー兄ちゃんに関しては、珍しい鳥を何度も見れたかのような感じでw