2006年12月26日

サウンド・オブ・サイレンス (Don't Say A Word)

監督 ゲイリー・フレダー 主演 マイケル・ダグラス
2001年 アメリカ映画 114分 サスペンス 採点★★★

ショーン・ビーンが観たかっただけですよ

【ストーリー】
精神科医のネイサンは、友人の頼みでとある分裂症を患う少女の診断を行う。その翌日、何者かにネイサンの愛娘ジェシーが誘拐されてしまう。犯人の要求は、分裂症の少女が知っているはずの6桁の数字を17時までに聞き出すことだった。

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全くやる気の感じられない邦題とは裏腹に、思いのほか正統派のサスペンスに仕上がっている一本。
10年前の銀行強盗事件が元で意外な形で犯罪に巻き込まれてしまう典型的な“巻き込まれ型サスペンス”の一本ではあるが、事件のカギを握る少女が持つ秘密を精神科医が治療を通して解明していく過程が新味で、似たような物語でありながらも結局は肉弾勝負だった『ファイヤーウォール』と比べれば、格段と知的。事件を追う刑事の物語と秘密の数字を解明しようとする主人公の物語という二本の軸も、交わり過ぎるわけでもかけ離れすぎるわけでもない絶妙の距離感で進んで行き、地味ながらもダレることのないサスペンスを盛り上げている。とは言え、その6桁の数字が宝の在処に繋がっている事をどうのように犯人が知ったのかが全く不明であったり、殺した死体から簡単に犯人が割れてしまう計画の甘さや、後半の展開が映画を都合よく展開させる為の時間稼ぎにのみ終始してしまっていたりと、詰めが甘いのも確か。マイケル・ダグラス扮する主人公も結局のところ、頭脳明晰で、地位も名声もあり、奥さんがいい女で、ケンカもそこそこ強いスーパーヒーローに落ち着いてしまっているのも、面白味を欠いてしまっている要因でもある。

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面白味に欠けているとは言え、見所は他の所にある。もちろんそれは、ショーン・ビーン。常に冷静で冷酷な犯行グループのリーダーであるショーン・ビーンは、序盤こそ「あぁ、また見た目でキャスティングされちゃったんだぁ」と面白味に欠けている悪役なのであるが、脅しで掛けたはずの電話で逆に主人公に強気に出られたじろぐ辺りから、いつものショーンが出始めるので安心。一旦ボロが出始めると、ここからはもうショーン・ビーン祭りの如くいつものショーンが次々と。8歳児に裏をかかれ、主人公に与えたルールを反故された挙句、逆にルールを押し付けられ、主人公との唯一の接点である携帯電話をあっさりと捨てられてしまっても、歯を食いしばって必死に平静を保とうとするショーンの姿がいたたまれない。仕舞いには、謎の男として振舞ってきたのに、主人公に拳銃を突きつけられ名前を尋ねられると「パトリック…」と素直に答えちゃうショーンの姿に、もう涙が止まりません。その後に迎える最期も含め、「もぉぅ、ショーンってばぁ」とつぶやくショーン・ビーンマニアには堪らない一本。
肝心の主人公であるマイケル・ダグラスに全く魅力を感じられないのが致命的な作品ではあるが、その画面からでもムンムンと伝わってくる女好きのオーラに呼応したかのように集められた女優陣は皆魅力的。したたかに犯人を懐柔していく8歳児を演じる『ブギーマン』のスカイ・マッコール・バートシアクはさて置き、実は好きなタイプである『シン・シティ』のブリタニー・マーフィに、『クラッシュ』の時とほとんど見分けのつかない女刑事役のジェニファー・エスポジートと、やたらといい女揃い。極め付けがショーン・ビーンとは『007/ゴールデンアイ』でも共演済みのファムケ・“オナトップ”・ヤンセン。ショーンとワンフレームに収まるシーンがないのは寂しいものの、足を骨折している設定である為、劇中ずっと赤のキャミ姿でベッドに横たわっている、なんとも妄想を刺激して止まない役柄を。これといった活躍はないものの、上に乗られたことに相当プライドを傷つけられたのか、犯人を見事撃退してしまうとこなんて流石オナトップ(上に乗る)だなぁと。

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posted by たお at 15:57 | Comment(10) | TrackBack(8) | 前にも観たアレ■さ行■ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>ショーン・ビーンマニアには堪らない一本
知的で、アクションもやって、おまけにクールにボケかましてくれる。
正統派サスペンスなのに、何故か笑えちゃいました♪
Posted by 哀生龍 at 2006年12月26日 19:07
え〜っ!ショーン・ビーン出てました!?
うわ〜全然記憶に残ってないです(-_-;) マイケル・ダグラスが好きだった(今は普通)から、そのせいかも……。
Posted by りら at 2006年12月26日 20:30
哀生龍さまこんばんは〜♪
>知的で、アクションもやって、おまけにクールにボケかましてくれる
最後のボケが重要なんですよね、ショーンにとってw
「なぜそこでポカをする!?」という詰めの甘さが魅力です。
Posted by たお at 2006年12月26日 21:28
りら様こんばんは〜♪
あらあら。
じゃ、今度はショーンにのみ注目して鑑賞することをお勧めいたします。まるっきり違う映画を観ているかのような印象を受けますよw
Posted by たお at 2006年12月26日 21:37
確かコレで悪役として注目されたんじゃなかったでしたっけ? ショーン・ビーン・・・。○ショナル・トレジャーといい主人公側のほうが悪党面に見える悪役というのは問題なのでは。(やめなさいって、似合わないから、悪役はw)
女性陣はいい配役でしたよね〜♪
Posted by 座敷わらし at 2006年12月26日 22:07
座敷わらし様こんばんは!
注目されたのは『パトリオット・ゲーム』あたりかも知れませんねぇ。そこからしばらくは悪役ばっかでしたが、最近ようやく“いい人が似合う”ってことが認知され始めたようで^^
マイケル・ダグラスの趣味なのか、やたらと美人揃いでしたねぇ、本作w
Posted by たお at 2006年12月28日 01:52
ショーン・ビーンの最後に
「あっ」と声を失った私です・・・

もっと観たかったショーン・ビーンです!


今年も残すところあと1日となりました。
ときどきやってきて、読み逃げしておりました(汗)
来年もまたこっそり覗いたり、TBさせていただくと思いますのでよろしくお願いします!

よいお年をお迎えくださいませ!
Posted by D at 2006年12月30日 23:32
D様こんばんは!
この間までカブトムシを追っかけてたと思ってたら、もうもうもうもうもう大晦日ですよ。
映画を観ていた記憶以外、まーったく残ってないのですが、時間泥棒の仕業でしょうか?
来年もなんら変わったことのしないサブタレになることでしょうが、読み逃げでも立ち読みでも冷やかしでも、お気軽にお立ち寄り下さい♪
D様こそ、良いお年を☆
Posted by たお at 2006年12月31日 00:34
いつもかっちょよいヒールをみせてくれますけど、
やっぱりヒールですからね〜。
最後は、アレですが、それでも今後もかっちょいい
ヒール道を極めてもらいたいですね。
Posted by miyu at 2008年02月28日 16:43
miyu様、こんばんは!
最近はヒール以外に活路を見出したショーンですが、この詰めの甘さはヒールの時じゃないと味わえないし、ファントしては難しい所で。
Posted by たお at 2008年03月05日 02:42
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