メン・イン・ブラック３ (Men in Black 3)

監督　バリー・ソネンフェルド　主演　ウィル・スミス
2012年　アメリカ／アラブ首長国連邦映画　106分　ＳＦ　採点★★★

“地球に潜入している宇宙人”っていうと、真っ先に浮かぶのがアダムスキーが遭遇したとかいう金星美女。子供の頃読んだＵＦＯ関連本には必ず載ってましたし。金星美女と言われる女性の写真に“よく見ると顔のパーツが不自然”ってキャプションが付いてて、子供だった私は「ウェェ！ホントだ！気持ち悪い！」と思ったものですが、よくよく考えてみれば“顔のパーツが不自然”って当の本人にとっては最も触れて欲しくない個所なんですよねぇ。失礼にも程がありますし。もし顔のパーツが不自然な人が宇宙人ならば、ＴＶには宇宙人ばっか出てることになっちゃいますしねぇ。



【ストーリー】
政府の極秘機関“ＭＩＢ”に所属し、パートナーのＫと共に地球に潜むエイリアンの監視を行ってきたＪ。しかし、厳重警備の月面刑務所から脱獄し40年前へとタイムスリップしたた凶悪宇宙人ボリスにより歴史が書きかえられ、Ｋは既に死亡したことになってしまう。ボリスにより迫り来る地球の危機とＫを救う為、Ｊは単身40年前へとタイムスリップするのだが…。



ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズのコンビによる大ヒットシリーズ“メン・イン・ブラック”の10年振りの新作。監督はこれまで同様『ゲット・ショーティ』のバリー・ソネンフェルド、製作総指揮にはスティーヴン・スピルバーグが。
ソネンフェルドの幼児性と下品さがファミリーエンタテイメントの枠内で程良く薄まっていた1作目よりも、ネタのほとんどがウ○コに集中していた2作目の方が好きなんですが、本作は久々ってこともあってかバランス重視の一本に。
とは言っても、グロテスクでありながら愛嬌もたっぷりなエイリアン達はわんさか登場するし、小学男子的な笑いのツボやスライム感も健在。タイムトラベルものにありがちなストーリー上の穴がボコボコ開いているし、「あれ？Ｋって他に好きな人がいたんじゃなかったっけ？」とか「Ｋにピカってしなくていいの？」とか疑問も次々浮かぶが、そんなことを気にさせない畳みかける見せ場の連続や思いのほかコンパクトで軽快なストーリー展開も見事。Ｋが仏頂面の陰気な男になった原因が明らかになるってんで相当壮絶な展開を予想してたら、意外にも切なくてホッコリする結末が待ってたりするのにも驚いた。小学男子級のギャグで笑わせ、スピーディなアクションと展開で楽しませた後にちょっぴりホッコリさせる、このシリーズっぽさが良く出てたのかなぁと。
相変わらず観てる最中は面白いのに、まるで観終わった直後にピカっとされたかのように記憶からスルスルと消え去っていく作品ではあるのだが、シリーズを重ねるごとに無闇にスケールを広げるのではなく、どこか連続ＴＶシリーズかのようなそこそこ広がって深まる感覚も好みだった一本で。



Ｊに扮するのは、もちろん『アイ・アム・レジェンド』のウィル・スミス。「オレがオレが」のウィル・スミス中心主義が祟ったのか単に飽きられたのかは定かじゃありませんが、ここんとこ元気のなかったウィル起死回生ってニュアンスもある本作だけに、気合が空回りし過ぎて「オレだよ！オレ！オレオレ！」ってのとシャワーシーンばっかの作品になってはいないかと危惧したが、基本コンビ芸ってのを主体にした丁度良いウィル・スミスで安心。正反対の相方なり宇宙人なりと絡んで輝くタイプなので、この位が良い。
一方のＫ役も、もちろん『キャプテン・アメリカ　ザ・ファースト・アベンジャー』のトミー・リー・ジョーンズ。「やれやれ…」って感じの出演なのか、トミー・リーが登場するのは序盤と結末のみなんですけど、若き日のＫに扮した『トゥルー・グリット』のジョシュ・ブローリンが、「お前、実はテキサスっ子じゃね？」って思えてしまうほどトミー・リーの話し方の特徴を捉えていたので、ずっと出ずっぱりだった印象も。一瞬アフレコを疑いましたし。元々ジョシュが骨のあるテキサス顔をしているってのも、非常に功を奏してたなぁと。
その他、「エマが奇声を！」ってのがオチの全てで、その為だけのキャスティングのような気もした『パイレーツ・ロック』エマ・トンプソンや、多彩な声芸を披露した『奇人たちの晩餐会　ＵＳＡ』のジェマイン・クレメント、朴訥とした善人風情の中にどこか生理的な気持ち悪さもある、なんかロビン・ウィリアムズみたいだったマイケル・スタールバーグに、“アンディ・ウォーホル”というオイシイ役柄を見事にものにしていた『宇宙人ポール』のビル・ヘイダーらもキャスティング。ビル・ヘイダーがますますダン・エイクロイドっぽくなってきてたのも、ちょいと嬉しい。また、レディ・ガガやらベッカムやらが宇宙人としてマークされてるってことでモニターにちょろりと映る、“カメオ出演”と言うにはちょっとアレなお楽しみも相変わらずで。


なんか面白かった気がするのは、きっとコレのせい

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Comments

ジョシュさんのなりきりぶりというか、マネというか、本当にうまいですねえ。
ブッシュのときもそんなに似てるわけじゃないけど、ブッシュにしか、見えなくなってくる！
「ミルク」も、モデルがいましたが、あのうまさはすごいなあと。
結構好きな作品です。気持ちよくやられた感もよかったです。

Posted by sakurai at 2012年11月22日 15:40

>相変わらず観てる最中は面白いのに、まるで観終わった直後にピカっとされたかのように記憶からスルスルと消え去っていく作品

その感じが好きです♪
盛り沢山だけど力が入り過ぎているでもなく、良いエピソードはあるけれどお涙頂戴でもなく、気持ち良く楽しんだら後を引かずにすっきり！

Posted by 哀生龍 at 2012年11月23日 22:17

こんにちは♪
確かに観終わった後ピカッとされてましたよねぇ(汗)
今回はまさかのイイ話が待っていて驚きました。
それにしてもジョシュさんの若いKはお見事でしたね。

Posted by yukarin at 2012年11月25日 17:30

sakurai様、こんにちは！
最近では貴重になった“骨のある”役者ですよねぇ、ジョシュ。小奇麗にしても汚しても様になる上に、何にも染まらない力強さも。“技巧派”って感じもしないのに、何気に上手いってのも好みで。

Posted by たお at 2012年11月28日 10:23

哀生龍さま、こんにちは〜♪
バランスの良さが売りのシリーズですねぇ。２はさて置き。しっかり幼稚で下品さを打ち出しつつ、しんみりと大人の味わいで締める巧さを味わえた一本で。

Posted by たお at 2012年11月28日 10:25

yukarin様、こんにちは〜♪
思い返してみれば１もそれなりに良い話で締めくくってたはずなんですけど、きっとピカッとされたから思い出せないだけなんでしょうねぇ。

Posted by たお at 2012年11月28日 10:26