1993年 アメリカ/ペルー映画 100分 アクション 採点★★★
サバゲーに興じてる方々にとっては、密林でのゲリラ戦とかとってもワクワクするんでしょうねぇ。私も男子ですし“生涯の一本”が『ランボー』なんで分からない事もないんですけど、如何せん蚊刺過敏症の持ち主。ベトナム戦争映画とかのジャングル物を観ると、そんなロマンを感じるよりも真っ先に「うわぁ、蚊がいっぱいいそう…」ってなるんですよねぇ。『プラトーン』でチャリ坊が顔中蚊に刺されてたシーンなんて、そこらのホラーよりも怖かったですし。
【ストーリー】
パナマの麻薬王を消し去るために南米のジャングルに送り込まれた海兵隊随一の狙撃手ベケットと、腕は確かだが実戦経験のないミラー。しかし、そんな彼らを追う謎の狙撃手が迫っており…。
『アナコンダ』などの密林系監督ルイス・ロッサによる、狙撃にとことん特化したアクション。
一本調子の物語に、二次災害しか起こさない若手狙撃手が唐突に壊れる様に盛り上がりを頼る構成など、一般的に考えればアレな部分も目に余る作品ではあるが、「そんな細けぇことはいいから狙撃を見ろ!」って思いだけは充分過ぎるほど伝わる本作。そこ集中。“狙撃手の心得”のイロハのイのチャプター@からみっちりと教え込まれてるかの綿密さは見事。なにせミリタリー関係やサバイバルゲーム関係に疎いもんで、この作品が発している輝きや信号を受信できるアンテナを生憎持ち合わせていないのだが、きっと好きな方々は脳内でとことん膨らませることが出来るだけの魅力を発してる作品なんだろうなぁってのが納得できる一本。
そんな門外漢な私にも分かるように、狙撃手の人となりってのを一挙一動以外に掘り下げてもらいたかった気もするが、シンプルな物語で更に際立つ一撃必殺のストイックさや、思う存分蚊に刺されそうな密林の湿度や美しさを余すことなく映し出したのは見事だなぁと。徹夜明けでハイテンションなゴールディ・ホーンが迫ってくる内容が一瞬頭に浮かんでしまった邦題も、ちょいイカしていて好きな部類。
主人公のベテラン狙撃手ベケットに扮したのは、『インセプション』『メジャーリーグ』のトム・ベレンジャー。もう単純に彼を観たかっただけなんですが、そんな安易な希望の遥か上を行くカッコ良さに、エリアスよりも断然バーンズ派の私は悶絶。密林も兵士役も似合う彼だけに、寡黙で頼りがいもある一方で近寄りがたい狂気を漂わせるベケット役がドハマリ。シリーズ化されるのも納得。
一方、やることなすこと二次災害にしかならないミラーに扮するのは、『イラク -狼の谷-』『ズーランダー』のビリー・ゼイン。こちらもトム・ベレンジャー同様兵士役が似合う役者だが、どっちかといえば砂漠系かと。射撃の腕は確かだが実戦経験は皆無というある種のシュミレーション世界の住人であり、その経験の無さを口数と雰囲気で乗り切ろうとするある意味こちら側の人間に非常に近い主人公として中心に立てる役柄だけに、もうちょい掘り下げて欲しかった感じも。
その他、80〜90年代で脇を固めさせたらこの人の右に出る者はいなかった『カラー・オブ・ハート』『ザ・クライアント/依頼人』のJ・T・ウォルシュや、『キラー・エリート』のエイデン・ヤングらがキャスティング。
頭でっかちの若手ほど教育しづらい人種はいない
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