1977年 イギリス映画 125分 アクション 採点★★★★
誰かと付き合うってことになる場合、だいたいは自分の方から好きになるってのがほとんどの私。「好きです!付き合ってください!」と土下座されたことなど、一度もございません。まぁ、土下座したこともございませんが。そんなわけで、女性から一方的にモテモテのジェームズ・ボンドは私の憧れと目標でございまして、劇場には足げに通い、TV放映も欠かさず観てモテる勉強をしてたんですが、未だに勉強が足りないようで。まぁ、相手を必ずカチンとさせる一言を添えることだけは忘れない男に育ちましたが。
【ストーリー】
英国とソ連の原子力潜水艦が行方不明になる事件が発生。その背後に海運王ストロンバーグが絡んでいることを知った英ソ両首脳は、ジェームズ・ボンドと、恋人を何者かに殺害されたソ連の女スパイ、トリプルXを派遣。協力し行動する中でお互いに惹かれ合う二人だが、トリプルXの恋人を殺害したのがボンドであることが判明し…。
3代目ジェームズ・ボンドのロジャー・ムーア3本目の作品で、シリーズ第10弾。マイ・ベスト・ボンド作品である『007は二度死ぬ』のルイス・ギルバートが、久々の登板を果たす。
アルプスでの激しいスキーチェイスの末、断崖絶壁からジャンプ。落下するボンドがパラシュートを開くと、柄がユニオンジャックというオープニングからして素晴らしいの一言。落下からパラシュートが開くまでの、早からず遅からずの絶妙な間と、そこに被さるカーリー・サイモンのテーマ曲の見事なアンサンブルは、何度観ても身震いがする。ザバザバと海底から浮上するカニ型巨大要塞に居を構える手に水かきのついた大富豪の“地上を核ミサイルで破壊して海底に楽園を作る”という、壮大だが意味が全く不明な野望もこのスケールの大きい作品にピッタリ。「そんだけのもの作る金があるんだったら、潜水艦ぐらい盗まないで作れよ!」というツッコミも寄せ付けないパワフルさだ。
水陸両用のロータス・エスプリなどギミック満載のアイテムや、アルプス(ロケ地はカナダだが)、エジプト、イタリアと豪華旅行気分の味わえる舞台、後のスパイ風映画やパロディにも登場する、チューブやドーム型を多用した秘密基地の形状など、どれを取っても「007を観た!!」と強く感じさせる正月映画ならではの豪華絢爛さと醍醐味に溢れた一本。地味でストイックなボンド映画に評価が偏る傾向にあるが、その地味さはこういったケレン味たっぷりの作品があってからこそ映えるもの。
スパイ同士の愛憎劇が繰り広げられそうな物語の割に、恋人を殺したのがボンドだと判明しても多少ふくれっ面をしただけで、後は「もう〜、ジェームズってばぁ〜」で終わってしまうのは確かに安易過ぎるが、「もう〜、ジェームズってばぁ〜」とボンドガールのみならず、観客が呆れながらも許してしまうのは何もこの作品だけとは限らないので、評価を下げる要素とはならず。
歴代ボンド史上、最も女に節操がなく口数が多いボンドとして記憶に残るロジャー・ムーア。3度目のボンドということで場慣れもしたのか、本作で独自のボンド像を確立。如何なる時でもユーモアと女性を追っかけることを忘れないボンドとなっている。まぁ、口説いた女性と一緒にいながら、目の前にいる『シンドバッド黄金の航海』のキャロライン・マンローにデレデレとなるボンドに女性の方々は「キーッ!」となるのかも知れませんが、仕方がないんです。ボンドに限らず、男は皆キャロライン・マンローを見るとデレデレとなるんです。デレデレとさせてやって下さい。
『ドクター・モリスの島/フィッシュマン』『おかしなおかしな石器人』と、その見事なプロポーション以外は全く記憶に残っていないバーバラ・バックがボンドの相手役として奮闘しているが、やはりその見事なプロポーション以外は全く記憶に残らず。まぁ、首から上があまり好みではないのでいたし方がないのだが。そんな、ボンドガールにばかりデレデレとしているこっちの心を見透かしたかのように登場するのが、リチャード・キール扮するシリーズ屈指のインパクトを誇る殺し屋ジョーズ。その名に恥じないギザギザの銀歯で人食い鮫にも噛み付くツワモノだ。人食い鮫に食らいつくのは、コイツと『サンゲリア』の海ゾンビくらいなもので。しかしこのジョーズ、殺し屋にしては目立ちすぎる巨体に、武器が“歯”というプリミティブさが非常にマンガ的ではあるが、ボスが半魚人みたいなもんなので違和感もない。ボンドが倒せなかった殺し屋として人気も高いジョーズだが、そりゃあまぁ、ボンドもあんなにデカイ図体を持つ相手なのに銃で歯を狙い続けてたんじゃぁ、倒せないのではと。この人気の高さによって、次回作『007/ムーンレイカー』にも殺し屋としては異例の連続登板をすることに。
本名がブースロイド少佐であることが判明するQや、どこででもボンドを待っているマネーペニー、本作よりレギュラーとなる寒々しくてただっ広い石造りのオフィスに、机一つでポツーンと座っている敵役のゴーゴル将軍等、お馴染みの顔ぶれが揃っているのも、やはりファンとしては嬉しい限り。
全部むし歯になっちゃったんでしょうか?
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
人気blogランキングへ
近頃、ボンド映画の記事が多くて感謝しております。
私もOO7が大好きなのです♪
私のベスト・ボンド作品が、
「私を愛したスパイ」
なので尚更です(笑)
砂漠でタキシード。ロシアの女スパイ。
ユーモアのバランスも素晴らしいです。
たおさんのお好きな「二度死ぬ」ですが、
私も大好きです(笑)
ルイス・ギルバート監督って、
スパイ映画らしさを感じさせてくれますネ。
尾行、出会い、接触・・・、
人物の動かし方が私の好みです。
あまりにもボンドが続くので、そろそろウンザリされ始めた方々も出てきそうですが、まだまだあるので辛抱していただくしかw
本作は非常にボンドらしさに溢れた一本で、本作を基準にリアルにするかアッチの方へ行っちゃうかでシリーズが継続されているような気も。
ルイス・ギルバートって、60年代スパイ活劇の面白さとケレン味をしっかりと表現する監督なんですよね^^
TBをありがとうございます。
ブログを始めたばかりの頃のなので、今見ると「なんじゃこれは」という内容で恥ずかしいですが、TBさせていただきました。
この映画、おっしゃる通りですね。私はこの映画が大好きで今でもエスプリの凄さ、ジョーズのインパクトが忘れられません。
私も最初のころの記事を読み返すと、あまりの恥ずかしさに封印したくなる時も。まぁ、今の記事も似たようなものですが^^;
ボンド物としては、一種の到達点にあると思える本作。ついつい常にこれを期待しちゃうんですよねぇ。
やっぱり秘密基地が出てこないと^^
海底基地だから、タコっぽいというかカニっぽいというか、非常に海鮮な感じも良いですよねぇ。
ジョーズが鮫に噛み付くのは、どーだろーとも思いましたがw
もう〜、ジェームズってばぁ〜と一度言ってみたいもんです(笑)
今回はホントに見所満載でしたね。
そしてQの本名が分かったのはファンとしてはうれしいです。そんな名前だったのね〜。
“ブースロイド”といわれても、いまいちピンとこないんですよねぇ^^;
やっぱりQはQですw
「もう〜、ジェームズってばぁ〜」って言わなきゃなんない状況になるには、相当酷いことをジェームズにされなきゃなんないので、考え物でw