1989年 アメリカ映画 107分 コメディ 採点★★★★★
その昔ちょいとばかしアメリカにいた頃、サンディエゴ・パドレスのホームゲームを何度か観戦する機会に恵まれた私。ジャック・マーフィー・スタジアムの呆れかえるほど大きな駐車場や、エンタメとして完成されたゲームの熱気、地元ファンの反応に驚かされたものですが、何よりも驚いたのが試合開始の何時間も前から駐車場に集まり、向こうではバーベキュー、こっちではカーステレオを使ってちょっとしたパーティー、あっちでは車の屋根で日焼けに勤しみ、もうちょいあっちではチビッコがやってる野球を大人が囲んで楽しんでいる、駐車場そのものが自然発生的に一大イベント空間と化してた事。真剣に観戦するのも良いし、同じ振り付けの応援で一体感を楽しむのも良いけど、“野球を観に行く”行為そのものを楽しみ尽くすその姿勢に、「あぁ、ホント野球ってのが身近なんだなぁ」と思ったもので。
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【ストーリー】
1954年以来優勝を手にしていない弱小球団クリーブランド・インディアンズ。夫の死により新オーナーとなったレイチェルは、球団拠点をフロリダに移したいが為にポンコツ選手ばかりを集めて球団の人気をどん底に落とそうと画策する。しかしその企みを知った選手たちは優勝を目指して一致団結。遂にヤンキースとのリーグ優勝を賭けた一戦に挑むのだが…。
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『スティング』や『フライボーイズ』の脚本を手掛けたデヴィッド・S・ウォードによる野球愛の塊映画。
“負け犬たちの奮闘記”としてもスポーツコメディとしても充分面白いが、その裏に込められた溢れんばかりの野球愛に、同じ野球ファンとしては心を鷲掴みにされた揚句に涙腺をとことん刺激されまくる本作。奇抜ですらある個性豊かなキャラクター達はそれぞれチグハグな方向を向いてそうで、全員が“もっと野球をやりたい!”という思いで繋がっており、その共通の思いをしっかりと描き切っているからこそ、チームが一丸となった時の躍動感に映画であることすら忘れてしまう興奮を味わえることに。実際にその場に居て試合を観ているかのような興奮が。
“コメディだから何でもアリ”なんかではなく、試合の組み立てやシーズンの流れの作り方も非常に上手い。弱小球団がひょんなことから勝ち上がっていく流れそのもの。本作の鑑賞回数は優に二桁を超えてると言うのに、序盤のグダグダっぷりには「あぁ、今年もダメだなぁ…」と呆れかえり、勝ち星が積み重なってくると「もしやがあるぞ!?」と身を乗り出し始め、優勝決定戦の9回表にエースがリリーフで登板すれば劇中の観客と共に歓声を上げ“ワイルド・シング”を熱唱し、その裏の予告ホームランに涙を流す、まさにシーズンを通して応援してきた記憶が100分あまりに凝縮されたかのよう。
キャラクターの成長具合の描き方も何気に上手い。“とにかく野球がしたい!”から“このチームで野球がしたい!”と変化していく様が、さりげない一言や動作で見事に表されているこれが描けたからこそ、予告ホームラン後の行動に個人の見せ場のためではなく“チームのため”という深みが生まれる結果に。また、主人公の恋愛模様もチームの奮闘記と並列で描かれているが、それも添え物ではなく“野球しか出来ない男”“歳は大人だが中身は野球少年”という、キャラクター全員に共通する哀愁すら漂う不器用さと愛らしさを描き出す為に機能している見事さ。
「生まれも育ちもクリーブランドなんじゃないのか?」と思えるほど郷愁漂うランディ・ニューマンによる“バーン・オン”も素晴らしい本作。これ程までの興奮と臨場感を味わえる作品なのに、日本じゃ5.1ch音声のDVDもブルーレイも出てないってのは寂しいなぁと。
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チームの要であるキャッチャーのジェイクに扮したのは、『プラトーン』の成功で本格的にスターの仲間入りを果たした『ファースター 怒りの銃弾』『インセプション』のトム・ベレンジャー。男の色気絶頂期にいただけあって、自分のパーツを全てベレンジャーと取換たくなるほどのザ・男前。球場内では皆の兄貴分として時にニヒルな表情も見せるが、一歩外に出た途端に単なるヤンチャ坊主になってしまうギャップも魅力的。誰よりも野球を愛しているが故に、チームのために全てをなげうつジェイクをドハマリ過ぎる熱演で。
また、ノーコンの理由が“ド近眼”という、まぁ言われてみればそうだなぁってリッキーに扮したのが、トム・ベレンジャーと同じく『プラトーン』で人気若手スターとなり、本作以降意外と速いスピードで転落していった『ヤングガン』『ザ・チェイス』のチャーリー・シーン。動作からセリフから全て力一杯の、基本的にいつものチャリ坊。そのトム・ベレンジャーやチャーリー・シーンら中心組に果敢に絡んでいたのが、当時はまだ“面白い黒人”というジャンルの中にいた『クロッシング』『デモリションマン』のウェズリー・スナイプス。この後しばらくして編み出す唯我独尊スナイプス拳の気配は当然の如く全く無いが、身体能力の高さだけは存分に披露。同時に笑いのセンスの高さも披露していたので、たまには大笑い出来るウェズリーをまた観たいなぁと。
その他、『キスキス,バンバン -L.A.的殺人事件』のコービン・バーンセンや、『マイティ・ソー』のレネ・ルッソ、今のインテリイメージとはちょいとリンクしない『目撃』のデニス・ヘイスバートに、『刑事ニコ/法の死角』のチェルシー・ロスらがキャスティング。中でも、監督役に扮した『地球外生命体捕獲』のジェームズ・ギャモンの、そこそこ下品だが“オレたちのオヤジ”って威厳と親しみやすさが作品を程良く締めてくれた印象が。
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私の記憶の中ではこの場に居たことに
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
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クグって ブードゥ教徒に行き着いても
「ああ、あれに出てた!」
ってならなかったもの
デニス ヘイスバートは。
ワイルドシングの大合唱
当時感動しました
今となっては大仁田厚な
曲なんですけどねい
ちょうどこれが公開してた頃、地元の高校が甲子園で大活躍してたってのもあって盛り上がりましたねぇ。
にしても、ほとんどの人は今のデニス・ヘイバートしか知らないでしょうから、これ見たらビックリするんでしょうねぇ。
で、ワイルド・シング。大仁田がこの曲で登場した時は、正直「あ〜ぁ…」と思ったもので。