1995年 イギリス/アメリカ映画 130分 アクション 採点★★★★
女性と動物には優しいですが、それ以外には鬼のように厳しい態度をとるたおです。こんばんは。「また007かよ?」との声も聞かれそうですが、元々大好きなシリーズですのでご容赦を。でもまぁ、シリーズだけでもあと18本もあるので、いつも通り途中で飽きてやめちゃうこと請け合いですが。
【ストーリー】
ロシアで極秘裏に開発されていた電磁波攻撃衛星“ゴールデンアイ”が、謎の組織“ヤヌス”によってコントロールを奪われてしまう。世界中がそのターゲットになり得るこの危機に、ジェームズ・ボンドが立ち向かう。

5代目ジェームズ・ボンドのピアース・ブロスナン初登場の、シリーズ第17弾。『007/ユア・アイズ・オンリー』から長くシリーズを監督していたジョン・グレンに代わり、最新作『007/カジノ・ロワイヤル』のマーティン・キャンベルが監督するなど、キャストのみならずスタッフも一新。これまでの作品を一手に仕切ってきたアルバート・R・ブロッコリに代わり、娘のバーバラ・ブロッコリがプロデューサーにクレジットされるのも本作から。
ティモシー・ダルトンによるボンドがお気に入りだったこともあり、既に名前も顔も知られていたピアース・ブロスナンへの交代には「えぇ?あの色男なだけの奴かぁ?」と不安も不満も大きかったのだが、いざスクリーンに登場すると初ボンドとは思えぬ板に付きっぷり。まるで既に10本ほどこなしたかのような、全くの違和感のなさに驚いたもの。程よく優男で、程よく野性味があり、喜怒哀楽を程よく表現するピアース・ブロスナンは、まさに理想のボンド役者と言える。
しかしながら、新ボンドに全く不満がないとはいえ、作品自体に不満がないわけではない。寒々しいロシアと鬱蒼と木が生い茂るキューバのジャングルがメインの舞台となるため、シリーズお馴染みの観光名所巡りの楽しさはなく、秘密裏に開発されていた攻撃衛星や、ジャングルの湖からザバザバーと出てくる巨大アンテナなど007らしいケレン味溢れるアイテムが多く登場するが、それらの扱いが非常に雑。ただ出てくるだけ。ボンドカーにいたっては、なんの機能も使わないどころか、違う人が乗って帰っちゃう愛のなさ。オープニングの巨大ダムでのバンジージャンプや、やたらと長々と続く戦車での追いかけっこなど、ド派手なアクションのつるべ打ちであるが、それらのアクションも全て大味。派手なだけで工夫がないのは、マーティン・キャンベルの特徴でもあるのですが、同時期に発売されていたニンテンドー64のゲーム版の方が面白いのは、いかがなものかと。人間業の限界に挑む華麗なスタントの見せ場も減り、特殊効果による合成処理が増え始めたのも本作から。「なんか、シャーリー・バッシーっぽいよね?」と安易な考えで起用されたかのようなティナ・ターナーによる主題歌は印象に残らぬ薄味さで、確かにシリーズにおいて前へ前へとでしゃばり過ぎる傾向にある音楽ではあるが、エリック・セラによる音楽はあまりに控え目で寂しい。エンディング曲にいたっては、唖然とするカッコ悪さですし。まぁ、『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』の時に日本でのみ無理矢理挿入され観客が逃げるように劇場を後にしたルナシーの曲よりは全然マシでしたが。

しかし、それら数多くの不満を相殺しているのが、ピアース・ブロスナンをはじめとするキャスティングの魅力だ。
長らく男性のファンタジーであった007シリーズに、「あなた(ボンド)は女性蔑視の時代を象徴する太古の恐竜の生き残りよ」とセリフでもあるように“強い女性”というテーマをようやく取り入れた本作。そのテーマを象徴するように、M役にやたらとギラギラしたジュディ・デンチが初登場する。しかし本作で最大の強さを表すのが、ファムケ・ヤンセン演ずるオナトップだ。“On A Top”の名前通り、上に乗るのが大好きな彼女のいささか締め付けのきつ過ぎる下半身技は見事の一言。口元に可愛らしさの残るファムケ・ヤンセンのはじけっぷりが、本作最大の収穫と言える。まぁ、彼女以外のボンドガールが、ギャーギャーうるさいだけのイザベラ・スコルプコに、“嬉しくない女優ランキング”のトップの座に君臨するミニー・ドライヴァーなので、ファムケ・ヤンセンだけが印象に残るのも仕方がないのですが。
で、お待ちかねのショーン・ビーン。元“00”の肩書きを持つ謎の組織のリーダーという美味し過ぎる役柄なのだが、ものの見事に印象が薄い。火傷メイクまでして頑張ってるのに。まぁ、巨大な秘密基地を持ち、極秘人工衛星まで手中に収めたのに、やってることが銀行強盗という小者っぷりがまた、ショーンらしくて愛らしいのですが。単品スター映画であるはずの007にしては、物腰のしなやかなアラン・カミングなど顔ぶれが豪勢で、不安の残る初ボンドであるピアース・ブロスナンをバックアップする為のキャスティングかと思いきや、不安が残ってたのはショーン・ビーンの方だったようで。
頭が大きいのか肩幅が狭いのか、遠目で見るとバブルヘッド人形のようにも見えるブロスナンなのだが、本作を含め『ダイヤモンド・イン・パラダイス』『テイラー・オブ・パナマ』『トーマス・クラウン・アフェアー』と、やたらと南国の小島の砂浜で寝っ転がっている作品が多いようで。大好きなんでしょうね、南国の小島の砂浜が。究極の南国の小島映画『ロビンソン・クルーソー』にまで出ちゃうくらいですからねぇ。

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もちろん、やや影の薄い006も見逃せません。
>“強い女性”というテーマをようやく取り入れた本作
男勝りのMおば様と男性陣を食いつぶす勢いのオナトップの個性は、かなりの物でしたよね(爆)
再鑑賞している際に例のセリフを聞いて「もしや?」とは思いましたが、やっぱりwww
作品としてはだいぶアレな作品でしたが、オナトップは最高で^^
一時期、私の中ではオナトップとネバーセイ・ネバーアゲインのファティマが混じっちゃってました(^^;
ボリス君のやってることと、ジュラシック・パークのネドリーがやってることが似ていて吹き出してしまいました。
元々大好きなシリーズとはいえ、なんかしらのきっかけでもないと、全部再鑑賞し直す気にはなかなかなれませんからねぇ^^;
ボリスにしろネドリーにしろ、一時のPCオタク描写って、年寄りの考えるソレなんですよねぇw