2005年 アメリカ映画 119分 SF 採点★★★
面白い物語を脚本という形にまとめ上げれる最低限の知識と技術、その脚本の面白さを際立たせられる演出力。“スター”ってのには色んな役割があるんで、まずはこの二つがしっかりと土台として機能してないと意味がないと思うんですよねぇ、映画に限らずTVドラマも。当たり前のことなんですが。ところが、ネットやTVを見れば“○○主演の話題のドラマ!”“○○のドラマ大コケ!”とか、いまだタレント頼りのあり様。なんと言うか、幼稚。「TVはオワコン」とシタリ顔で言うのがスマートな印象を与える風潮ですが、映画ファンとしてはTVがしっかりとしてくれないと、間違いなく映画にもどでかい影響を与えてしまうんで頑張ってもらいたいんですよねぇ。
【ストーリー】
500年後の未来。宇宙の統一を目指す“同盟”と凶暴な食人種族“リーヴァーズ”、同盟の思想に反発する反抗勢力が争いを繰り広げる中、何でも屋稼業に勤しむ退役軍人のマルコム船長ら“セレニティー号”のクルー達。その中には同盟によって最強兵器に改造された少女リヴァーも乗っていた。しかし、そのリヴァーは同盟を揺るがす秘密を握っており、彼女を追って暗殺者が送り込まれ…。
熱狂的なファンを生み出しながらも第1シーズンで打ち切りとなった伝説的TVドラマ“ファイヤーフライ 宇宙大戦争”を、クリエイターである『アベンジャーズ』のジョス・ウェドン自ら劇場映画初メガホンを握り映像化したSFアクション。
どこか“スター・トレック”を彷彿させるオールドスクールなSF劇をベースに、そう言い切るにはちょっと微妙ではある美少女アクションや、ジョン・カーペンター風味もあるウエスタン的町並みにホラーな怪人と、筋金入りオタク系監督であるジョスらしい素材に溢れんばかりの愛情が込められた本作。絶対悪の存在しない(リーヴァーズがいるが出生の秘密を知るとそうも言ってられなくなる)中で繰り広げられる、“人間性を消去してまでも平和な世界を作り上げたい同盟”と“人間の本質と向き合って自由を求める反抗勢力”の争いの構図や、しっかりと性格付けされたバラエティ豊かなキャラクター勢など、作品の世界観がしっかりと練り上げられているのも見事。なんだかんだと強い絆で結ばれたハグレ者たちが主人公ってのも好み。序盤の混乱を乗り越えられれば存分に楽しめる一本なのでは。
ただまぁ、TVシリーズのファンへ贈られたお中元みたいな作品なので、シリーズ未見の私のような人間には若干入り込みづらい一面も。知ってれば尚更面白かったんであろうことを思うと、ちょいと口惜しい気もしてくる作品で。ソフト化されないかなぁ。
ややいい加減で口ばっかりな印象もあるが仲間想いでキメる時はしっかりキメる、なんかハン・ソロみたいな主人公マルコムに扮した『スーパー!』のネイサン・フィリオンを筆頭に、そうなるとポジション的にはチューバッカな『ジャッカー』のアダム・ボールドウィン、『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』のアラン・テュディックらオリジナルキャストに、『ソルト』のキウェテル・イジョフォーなどがキャスティングされた本作。
中でも目を引いたのが、『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』で少女型ターミネーターに扮したサマー・グロー。ただ立ってるだけだと「なんか極端に個性的な顔だなぁ」って程度の印象しかないんですが、バレエで培った柔軟性を活かした格闘シーンとなると美少女に見えてくる瞬間すらあるほど俄然輝きだす。特別表現力に富んだ女優ではないようで、無表情なロボット少女か無表情な人間兵器少女くらいしかハマる役柄がないようですけど、それをやらせれば相当なものなので是非色んな作品で活躍して欲しいなぁと。マギーQと共演するとか。
でもやっぱり本作の顔は、アホウドリを模したっぽいデザインがなんとも可愛らしいセレニティー号かと。他にどんな機能があってどんな活躍が出来るのかとっても創造力を刺激する船でしたので、重ね重ねソフト化してくれないかなぁと。
口からちっちゃいメカがゾロゾロ出てきそう
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