2011年 アメリカ/イギリス/スペイン映画 100分 ホラー 採点★★
大人になっちゃってからは非現実的な悪夢ってのをめっきり見なくなりましたが、子供の頃は頻繁に見たものですねぇ。以前も書いた気がしますが、その中でも未だ明確に覚えてるのが米粒状のイボイボがビッシリ顔面に貼り付いてる“米粒魔人”の夢。親なり親戚なり知っている人が突然米粒魔人になって襲ってくる夢に、小さい頃は大いに泣かされたものです。今でもそうなんですけど、小さい物が密集してるのが怖いって心理が夢に出たんでしょうねぇ。そのくせ粒あんのおはぎは大好きなんですけどね。

【ストーリー】
少女ミアがひょんなことから発見した古びた手紙。そこには恐るべき“顔なし魔人”について書かれており、その日を境に怪現象が彼女を襲い始める。当初は子供特有の悪夢だと思っていた父親のジョンであったが、ある晩二人の目の前に“顔なし魔人”が実際に現れ…。

マドリードとロンドンを舞台にトリッキーな展開で魅せるホラーサスペンス。メガホンを握ったのは、『28週後...』のフアン・カルロス・フレスナディージョ。
別の場所と別の○○で繰り広げられる二つの物語が、予想外だが納得のいく接点で繋がっていく展開が面白い本作。多少強引さは感じるが、“親子”であるからこそ成立する物語も興味深い。愛されたいが為に他者の顔を奪おうとする“顔なし魔人”も、その背景にある設定やそれが生み出す雰囲気もなかなか不気味でイイ感じでも。
ただまぁ、あまりに展開がまどろっこしい。二つの物語を同じペースで描いき、それぞれに起承転結を持たせ交互に描くせいで、“起・起・承・承・転・転と来て唐突に結”となるすこぶるバランスの悪い一本に。事情が明らかになるクライマックスに思わず「おぉ!」と驚かされた非常に面白い物語だっただけに、このまとまりの悪さは余りに残念。

娘と仲良し過ぎて余計なものまで共有しちゃった父親に扮したのは、『キラー・エリート』『シューテム・アップ』のクライヴ・オーウェン。誰かと深い関わりを持つ役柄はちょい珍しかったんですけど、子煩悩な父親役も案外似合ってたなぁと。その反面、“旦那”って感じはしませんでしたが。
一方、親子関係においても物語においても一人蚊帳の外だった母親役には、『ブラックブック』『ワルキューレ』のカリス・ファン・ハウテン。時代と舞台が揃えば非常に輝く女優だと思うんですが、今回は別に誰がやっても変わらなさそうな非常にもったいないキャスティングで。
その他、「あぁ、確かに神父の服っていつの時代もあまり変わらないよなぁ」と思った『ボーン・アルティメイタム』のダニエル・ブリュールや、とってもスペインっぽい顔立ちのピラール・ロペス・デ・アジャラ、角度によって雰囲気も大きく変わる娘役のエラ・パーネルなど、悪くはないキャスティング。まぁそれだけに、何かにつけもったいない一本になっちゃったんですけど。

極端な“親子水入らず”の例
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