2011年 アメリカ映画 91分 サスペンス 採点★★
家族や命ってのを別にすると、“絶対に奪われたくない物”ってのは案外ないもんですねぇ。そりゃぁ鉛筆一本だって盗まれれば気分も著しく悪くなりますが、気分が悪くなる以上の事は起きませんし。まぁ、お金持ちの方はちょい事情が異なるんでしょうけど。
【ストーリー】
ダイヤモンド・ディーラーのカイル一家が住む豪邸に、突如武装強盗集団が押し入る。強盗団はカイルの妻と娘を人質に取りダイヤの入った金庫を開けるよう迫るが、カイルはそれを頑なに拒み…。
『ザ・クライアント/依頼人』『フラットライナーズ』のジョエル・シューマカーによるサスペンス。ニコラス・ケイジとニコール・キッドマンの初共演も話題に。
裕福で幸せそうな一家の裏側が、強盗事件を機に明らかになっていく様をスリリングに描いた本作。舞台と登場人物を限定したシチュエーションスリラーには正直食傷気味ではあるのだが、規模が小さくなればなるほど本領を発揮するシューマカーの手腕もあり、よく考えさえしなければそこそこ楽しめる一本に仕上がっている。
ただまぁ、やっぱり物語のお粗末さは隠しきれず。肝心の“金庫を開ける/開けない”の顛末は、一家の経済状態がひっ迫していることをオープニングから匂わせてしまってるのでさっぱり盛り上がらず、その後の展開も情緒不安定なキャラに全てを握らせてしまってるので、“何をしでかすか分からない”反面、“何をやっても驚かない後付け感”もハンパなく、やっぱりこれはこれで盛り上がらず。非常に些細なことではあるんですが、窓から家を抜けだし窓から戻って来た娘が、強盗から逃げる時だけ強盗の前を横切り玄関から逃げようとする、この細部に目が行き届いてないシーンが作品全体を象徴してしまってる気も。余韻も後日談もなく逃げ出すようにボツっと終わる本作だが、その気持ちも分からないでもない一本で。
一家の長カイルに扮したのは、『ドライブ・アングリー』『キック・アス』のニコラス・ケイジ。ニコケイだけが気持ちいい“ニコケイ映画”じゃなかったせいか、製作前に「夫役じゃなくて強盗役やりたいー!ダメ?じゃ、降りるー!」と降板するも、「やっぱ夫役でいいよー!出るー!」と駄々をこねたことも話題に。今ではエキセントリックと(私の中では)同意語のニコケイ仕事は控えめに演技派モードで挑んでましたが、別に目一杯その方向にシフトしてたわけでもないんで中途半端なニコケイ仕事って印象が。
妻のサラ役には、ニコケイとの初共演が話題となった『ウソツキは結婚のはじまり』のニコール・キッドマンが。唇を中心に下品になってしまった今のニコマンの顔立ちは苦手なんですが、観客を巧みに惑わす好演で裏側がありそうでない薄っぺらな役柄を救った実力は流石。ただまぁ、ニコケイだけならどんなダメ映画でも「ニコケイ映画だから」と妙に納得できるんですが、そこになまじ名の知れたニコマンが加わっちゃったせいか“落ち目な大物共演”という哀愁が作品に漂ってしまった感は否めず。
その他、『ダークナイト ライジング』のベン・メンデルソーンや、強盗映画としてはアレだがストーカー映画としてはある程度の筋を通す役割を果たした『パンドラム』のカム・ジガンデイ、『アイ・アム・レジェンド』のダッシュ・ミホクらが出演しているが、作品が作品なもんで特に印象には残らず。
ある意味非常に前向きなストーカー思考
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