2010年 カナダ/アメリカ映画 89分 コメディ 採点★★★★
「人は見た目じゃないよ、中身だよ!」とは言いますけど、コミュニケーションを取る上で一番最初の接点となる見てくれってのは、やっぱりとっても大事ですよねぇ。夜道を女性が独りで歩いている時、向こう側から現れるのが“高級スーツに身を包んだハンサムだけど実は猟奇殺人鬼”ってのと、“ハゲ散らかして小汚い上に全裸だけど聖人なみに善良な人”だったら、前者の方が圧倒的に安心感と信頼感が湧くでしょうし。つまり“服は着ろ”ってことですね。また話の軸がズレましたね。
【ストーリー】
山間の田舎町にキャンプへとやって来たアリソンら都会の大学生グループは、そこで不気味な二人組の男と出会い不穏な空気を感じ取る。しかし、その二人組のタッカーとデイルは気の良い親友同士で、岩場から足を滑らし気を失ったアリソンを発見し、看病のため自分たちの別荘へと連れていく。ところが、殺人鬼に仲間をさらわれたと勘違いした大学生らが次々と彼らに襲いかかって来て…。
名女優サリー・フィールドの息子であり、役者としては『スペース・カウボーイ』で若き日のトミー・リー・ジョーンズに扮していたイーライ・クレイグが、自らの脚本を初めて長編映画のメガホンを握り映像化した痛快ホラーコメディ。主演コンビには『恋するポルノ・グラフィティ』『天使といた夏』のタイラー・ラビーンと、『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』『ドッジボール』のアラン・テュディックが。
古くは『脱出』や『悪魔のいけにえ』、最近でも『クライモリ』や『ヒルズ・ハブ・アイズ』など脈々と作り続けられている“都会もんが田舎で散々な目に遭うホラー”をベースに、ちょいと視点を変えて描いた本作。豊富な笑いと血飛沫で直感的に楽しませつつ、コミュニケーションの難しさや先入観の怖さなど思いのほか深めなテーマを浮き彫りにする物語が秀逸。『スターシップ・トゥルーパーズ』を、侵略者だと思ったら侵略されてる側だったバグ目線で描いたかのようなシニカルさもホンノリ効いてて面白い。
場当たり的な笑いや、ホラーマニア映画にありがちな自嘲的なギャグには走らず、恐れられている対象が善良な人って以外はヒルビリー・ホラーの構図をしっかりと守っている真面目さも好感度高し。そういったホラー映画で描かれてきた世界の舞台裏を覗き見してるかのような楽しさが多く含まれているってのも嬉しい限り。どう考えても最悪な結末に向かって進んでいるように思わせながらも、そこを絶妙に回避し最もシックリと来る落とし所に着地する構成も見事で、素直に「面白い!」と膝を打った一本で。
都会者が田舎に行くとホラーになるが、田舎者が都会に行くとコメディに
↓↓お帰りの際にでもぽちりと↓↓
最近、この手の
「大作ではないが小気味良く面白い作品」
てのが、めっきり減ってしまい寂しい限りでしたが
これはかなり良いんじゃないんでしょうか。
何気に男二人の友情も盛り込まれて、ふわっとした着地も
上手く落としたなーって感じでした。
続編、作ってくれないでしょうかねえ。
本国では充分メジャーな作品でも日本じゃソフト化されないってのも多くなってしまいましたからねぇ。ようやっとソフト化されたと思ったら、弱小会社からの残念仕様での発売だったりしますし。
それにしても本作。ホラー映画の土台をしっかりとなぞりながらもコメディとして成立させる物語も、キャラ設定も非常に良く出来た一本でしたねぇ。